以前にも書いたことがあるが、砂川の内海眞治さんは不思議な方である。
陶芸家なのだが、個展会場には食器や花器のたぐいはあまりなく、陶板の絵や、色とりどりの釉薬をほどこされたさまざまなかたちのオブジェや人形がひしめいている。
今回は「ぼくのどうぶつえん」と題して、奇妙な生き物たちの置物がテーブルの上いっぱいに並んでいる。
「持ってみてください」
そう言われて手にすると、驚くほど軽い。
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今週のさいとうギャラリーは、道都大(現星槎道都大)中島ゼミでシルクスクリーンを学んだ若手女性2人が、それぞれ個展を開いています(吉永さんはこちら)。
ナガイユカリさんは、染色の展覧会らしく布を縦長に並べた展示が中心で、物販はありません。
以前は、女性の顔をいくつもあしらったり、文字を導入したり、都会的な直線主体のデザインを見せたりと、なかなかとんがった作風を試していましたという印象が . . . 本文を読む
今週のさいとうギャラリーは、道都大(現・星槎道都大)の中島ゼミで学んだ2人が、個展を開いています(ナガイユカリ個展はこちら)。
吉永眞梨香さんは昨年に続き2度目の個展。
「今回のテーマは『白』です」
と言うように、キジをデザインした作品以外のほとんどに白が用いられています。
冒頭画像は「ろくらく」。
正方形の中に、洗濯ばさみや文鳥、キノコ、ろうそくなどをあしらっています。
「昔は苦手 . . . 本文を読む
いまは石狩在住の銀のジュエリー作家、伊藤紀久野さんの個展を、最終日に駆け足で見てきました。
根付、帯留め、ピアス、ネックレス、壁に掛ける作品などが並んでいます。
今年から取り組みはじめたシリーズは「Tile」。
昔のお風呂などの壁にも使われていたタイルが着想のもと。古いタイルには、さまざまなデザインがあり、その文様を生かしています。
ネックレスや、額におさめた壁掛け作品は、雪の結晶 . . . 本文を読む
(承前)
ギャラリー大通美術館で開催中の、北海道陶芸会展の続き。
冒頭画像のぐいのみで、11日に日本酒の試飲ができるんでしょうか。
現在、北海道陶芸会の会長を務める中村裕さん(札幌、草の窯)。
北国の風土を、白を基調としたデザインに表現した「月下雪原皿」「雪渓文壺」「白月文香合」など。
静かな月夜の雪野原やシラカバの木立などが簡素な意匠と落ち着きある表面にあらわされ、まさに北の叙情 . . . 本文を読む
北海道陶芸会は1968年に設立された、プロの陶芸家の集まり。
これまで何度も書いていますが、北海道陶芸協会、北海道陶芸作家協会とは別の団体です。
道展や全道展のような団体公募展ではなく、会員の推薦で入会できる仕組みになっています。
(※12月7日、上記の段落の一部を削除しました)
毎年、展覧会を開いており、今年は会員30人に加え、新たに相談役に就任した陶芸家小山耕一さんが作品を出品してい . . . 本文を読む
谷口大さんは陶芸家で、2012年から毎年のように札幌のギャラリー犬養で「●●との対話」と副題をつけた個展をひらいています。
土の味を生かした焼き締めの作品が多いという印象があり、実用性は排したオブジェを中心に制作・発表してきた点が、他の多くの陶芸家と異なります。
ただし今回は、花瓶などとしても使える作品も、実用性のないオブジェも、両方があります。
タイトルの「両義性」はここに由来するもの . . . 本文を読む
函館の陶芸作家石川久美子さんといえば、同率函館美術館が2008年で開いた「トンちゃんアート hakobiでBOO!」でメインビジュアルに作品が使われたこともあって、「ブタ」というイメージが強いのですが、今回のテーマは、なんと「植物」。
石川さんによると、イベントに参加するときはどうしても器が中心になってしまうので、個展の際にはあえてテーマを決めているのだそう。
そのほうがメリハリがついてい . . . 本文を読む
道内のプロ陶芸家の集まり「北海道陶芸会」で会長を務める陶芸家で、札幌市に「草の窯」を開いている中村裕さんの個展。
北海道の風土に触発された作品を手がけている美術家は、陶芸の分野も含めて多くいますが、単にモティーフが北国っぽいというだけでなく、精神的な何かを感じさせるものを作っている人ばかりとはかぎりません。
その点、中村さんの陶器は、見ているとまさに「北方の冬」を強烈に思わせてくれる真率さ . . . 本文を読む
クリスノゾミさんのアクセサリー展に行ってきました。
アクセサリー展なので、シルバーのネックレスやピアスがもちろん並んでいます。
しかし、筆者は男性で、あまりアクセサリーに興味がない上、価格のこともあって、真鍮の小物のほうに目が行ってしまいます。
冒頭の画像で、手前にあるのは、羽ばたくフクロウを正面から見ている図。
このほか、工藤ちえ奈さんらが開いている「ペンギンコロニー」展に出品 . . . 本文を読む
バティックはインドネシアの伝統的ろうけつ染めです。
札幌の中田ゆう子さんは現地で技法を学びました。インドネシアのバティックは衣服などの染色としてふつうに用いられていますが、中田さんは鮮やかな色彩による絵画作品をメインに制作しています。
コットンサテンを染めては洗うという工程を何度も繰り返し、鮮明な色が表現されています。
「芽吹き」「クレマチス」「ツリガネ草」など、花を図案化してデザインした . . . 本文を読む
今週、ギャラリー大通美術館では三つの絵画展と陶芸展、プリザーブドフラワー展と、5室すべてでそれぞれ展覧会が開かれています。
ひとくちに絵画といっても、風景などを水彩で描いている渋谷幹男水彩画展、酒井芳元さんの指導による絵画グループ「かおり」III展、山崎幸治さんが主宰し抽象画などの油彩画が多い光画会展と、ぜんぜん違うものだなあとあらためて思います。光画会は、山崎さんはあいかわらず全道展・独立美 . . . 本文を読む
(承前)
会期がすでに終わっています。
情報、PRとしてはお役に立てず、すみません。
ちょっと、写真をたくさん撮りすぎてしまったかもしれませんが、記録として何かの役に立つかも。
個性的なシルクスクリーンの版画・染色作品の新進作家を輩出してきた道都大(星瑳道都大)の中島ゼミ学生有志や卒業生による小品&即売展。
「ナカジプリンツ」が版画中心なのに対し「ナカジテクス」はテクスチュア、つま . . . 本文を読む
(承前)
都合により、(3)~(5)よりこの記事を先にアップします。
「手芸作品展」で、机の上に並んでいるのはコサージュやピアスのようなアクセサリー類ですから、ふだんであれば見に行っていないと思います。
しかし、よく見ると、ちょっとグロテスクな形状の作品が並んでいます。
しかもそれは、単にホラー効果や奇怪さを狙った、趣味的なものではないようです。
もちろん、シンプルに美しいものも . . . 本文を読む
(4月28日、画像を差し替えました。当初の画像は天地逆でした。申し訳ございません)
アップが遅れてすみません。
版画家の川口巧海さんがツイッターで、吉永眞梨香さんの今回の個展について次のように書いていました。
なんとも愉快で愛くるしい“解剖台の上のミシンと蝙蝠傘”のような組み合わせ。アルパカの表情好きです。
「解剖台の上のミシンとこうもり傘の偶発的な出会い」というのは、19世紀の詩人 . . . 本文を読む