「松風庵日記」 心はいつもお茶日和  

後半の人生の楽しみ方見つけましょう!

津波で消えた六角堂

2011年03月19日 | お茶三昧
地震後の読売新聞のニュースでこんな記事が。


 「文化庁の12日午後6時現在のまとめによると、
岡倉天心ゆかりの登録有形文化財「茨城大学五浦美術文化研究所六角堂」(茨城県北茨城市)
が津波によって消失するなど、9都県で21件の文化財被害が確認された。
六角堂は天心率いる日本美術院が北茨城に拠点を移す際、
1905年、思索の場所として天心が自ら設計した。・・・」




六角堂にはずいぶん昔に一度訪れたことがあります。
岡倉天心の「茶の本」を読んだ事もあり、
六角堂のある五浦はそう遠くもないところなので出かけて行って、
とても興味深く見学してきた記憶があります。

「茶の本」は岡倉天心が、日本の文化「茶道」を語るために、
初めから英語で書かれた本です。
私はお茶を初めて間もないころに、この「茶の本」という題名にひかれて読んだのですが、
難解だけれど、とてもドラマチック(こんな表現破片かもしれませんが)な内容に、
良く理解できないままに、でもとても惹かれたのを思い出します。
折に触れて時々、思い出したように、初めて読んだ時の気持ちを確かめるように、
何度か読むことがありました。

40年たって、あらためて読んだ時は、さすがに長くお茶にかかわってきたので、
自分の中で理解できる部分はずっと増えましたが。
それが初めから外国語で描かれているために、
訳者の解釈で微妙に違う表現に、翻訳ものを読むような面白さも感じました。

お茶を始めた方に、一度は読んでみたらと薦める本ですが、
薦めながら持っている本を貸してしまうので、その本が探すといつも手元にありませんが。
本とは貸したら帰ってこない確率90パーセントですね。
読んでくださればそれで良いのですが。

六角堂が今回の地震による津波で流されたのは残念ですね。
他にも海岸沿いには保存したい遺産がたくさん点在していたでしょうに、
それらを大切に守り続けてきた人たちの気持ちもさぞかしと思います。