小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「志をまっとうした人」

2005-05-20 10:57:19 | ニューヨーク暮らしの日々

ターシャ・テュダーさんの生き方 

ボストンソサエティをにぎわした両親はターシャさん9歳の時離婚。
肖像画家である母親はナサニエル・ホーソンの孫娘に当たる友人
の家にターシャさんをあずけた。そこでターシャさんはクリエイティブ
な暮らしと自由精神を学び取る。自然とともに生きる決心はこのとき
に育まれた。手にハートをこめた手つくりの暮らしは過酷な労働が
強いられるが、90歳の現在も19世紀そのままの暮らしを続けてい
る。
40代で離婚。4人の子供たちを育てた。イラストレーターであり作家
のターシャさんは100冊近くの本を出版している。リチャードブラウン
の撮る写真、美しいターシャさんのガーデンの本は折からの園芸ブ
ームでアメリカでも日本でも大ヒットした。4月末、ターシャさんをヴァ
ーモントの家に訪ねた。4度目の訪問である。最初に訪ねた時は19
83年、迎えに来たターシャさんは羊歯に覆われた細い田舎道を猛
スピードで車を飛ばし、彼女の美しい庭でカモミールティーと手造り
クッキーをご馳走になった。息子が作った50人席の劇場で自作のマ
リオネット劇を高いはしごに登って演じてくれた。まるでメルヘンの世
界だ。しかしこの美しさは労働の賜物である。 「もう私の写真は撮ら
ないでくださいね」と小さくなったターシャさんは言った。今も絵を描き
続けている。
開拓時代はすべてが手造りであった。私たちは忘れられたその世界
に感動する。アメリカの人間国宝だと人々はいう。便利になった21世
紀の今、「ヤンキースピリット」とは、「開拓精神」とは何かをターシャさ
んは我々に教えてくれている。

写真は小林恵さん、コーギーとともに大歓迎と書いてくださった料理本


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