東野圭吾「禁断の魔術」文春文庫 2015年刊
年末、気分だけは慌ただしいが、何故か本はよく読める。この秋我が家に蔵書をたっぷり持ち込んでいただいた畏友に感謝する毎日である。
さて、本屋にコーナーができるほどのこの人気作家の本を読むのは初めてである。若者に人気があり、新聞の広告欄にもよく宣伝文が載る。今まで手にも取らなかったのは、ちょっとした天邪鬼だったのだろう。今回はじめて読んでみて、そのテンポの良さと、ストーリー展開の自然さ、描写力の自在さに唸った。
ベストセラーを連発するはずである。直木賞はじめ江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞、本格ミステリー大賞、ミステリーベスト10第一位、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞など各賞を文字通り総なめにしている。
これは、ここでくだくだと紹介したり論評をしたりするより、まずは読んでみたほうがいいと思う。この作者の本はまだこの一作しか読んではいないけど、この力量は大したものではないか。