遅いことは猫でもやる

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母べえ

2008-02-24 08:18:35 | 雑感
久しぶりに映画を見た。

家族の絆、夫婦のあり方、国家権力の無残さ、を感じさせる映画であった。
ストーリーが取り立ててよいできだというより、演出がすばらしい。テーマは違うが
マジソン郡の橋」と同じ様な気がする
これから結婚する人、家庭を持っている人、夫婦向き合って生きている人にもお勧めする。

サユリストの私としては、吉永小百合のひたむきさ、ピュアーな姿を見るだけで満足だが、
キューポラのアル街」「泥だらけの純情」時代と、演技は殆ど変わっていない。
さすがに、歳を取り母親らしさが加わったことくらいが変化か。

傍役陣がすばらしい演技を見せる。義妹、書生、二人の子供、近所の薪屋、鶴瓶演ずる
義兄など。いかにも適材適所のように見えるのは、山田洋次監督の腕なのだろう。

戦時中に学者の夫が、治安維持法に触れ逮捕拘留され、留守を守る家族3人と、弟子を
中心とした生活を描いた映画である。国家主義の下で、けなげに生きる庶民の日常生活を
描いているのは、寅さんシリーズを髣髴とさせる。

少し、さらっと描きすぎているのではないかと感じるのは、鶴瓶演じる義兄が、
自由奔放・金が第一と主張する、当時としては異端の生き方、近所の人たちの、
この家族の接し方である。
皆善人ばかりで、これも柴又の隣人と重なって見える。庶民はこのように肩寄せ合って
生きてきたのだろうが、軍国・国家主義の日本では、この家族に対しもう少し風当たりが、
強かったのではなかろうか。

母べえの臨終で、次女が「向こうで、父や、義妹、書生と会えるからね」というのに対し、
最後に「あの世でなく、この世でこそ会いたい」と言い残す。ジハード意識に対する
痛烈な批判である。

サユリストは勿論、そうでない人でも、満足できる映画だと思う。