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大和ミュージアム

2008-02-08 11:22:34 | 講演録


精密模型は入り口

先日、広島県呉市にある大和ミュージアム館長戸一成氏のお話を伺う機会があった。

戸館長は1/10精密模型を見て感心されるのは良いが、ここから、技術背景、世
界情勢背景、軍部の戦略背景などを推測する入り口として、見ていただきたい。
と述べられた。

戦艦大和の1/10模型は、船体の鉄、板金技術、甲板の板張り、スクリューの芯だし、
甲板柵支柱を倒す方向など、本物と同じ工法で制作した。模型の制作ではなく、
本物の戦艦を作る気持ちで作った。

新日本製鉄の技術者に当時の記録を調べてもらい、同じ配合成分の鉄を精製、甲
板の板張りも、1/10の縮尺で、当時の工法、材料とも同じにした。スクリューの
芯だしは、本物と同じ工法で作り、動力さえつければ、いつでも航海できるよう
になっている。甲板柵も、90度倒す方向が違っていたので、小さい部品を取替
え、全部やり直した。

そこから見えてくるのは、明治維新からわずか40年で、これだけの技術、工員、
ドックが日本にあったこと、日本は量でなく質で勝負しようという戦略だった事
(軍縮条約批准)、特攻思想が軍部全体にあったのか、という疑問などである。

中でも、工業国でなかった日本が、何故(この時代では)世界最高の戦艦を作り
えたのか、という疑問の入り口にしていただければ嬉しい。

例えば、大正、昭和初期になぜ、戦艦の修理改造が頻繁に行われたのか。そんな
に技術が未熟だったのか。明治40年には当時世界一といわれる「長門」を造る
技術があった。
しかし、軍縮条約で新建造船が出来なくなったので、意識的に大幅な改造、修繕
を行い、技術の保存を図ったのである。

こんな話を聞くと一度行ってみたくなる。