自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆領海からハイテクまで曲がり角に入った対中関係

2021年03月17日 | ⇒ニュース走査

        中国との付き合い方が曲がり角に入った。「国」と「国」との関係では、日本と中国の場合、武器使用が認められ中国海警局の艦艇による尖閣諸島への領海侵入がクローズアップされる。 中国の経済圏構想「一帯一路」の対立軸として、「自由で開かれたインド太平洋」構想をテーマに日本、アメリカ、オーストラリア、インド4ヵ国の枠組み「クアッド(Quadrilateral Security Dialogue)」も動き始めている。

        「会社」と「会社」の関係性もうまくいくだろうか。中国のファーウェイは16日、高速通信規格「5G」対応スマートフォンから同社が徴収する必須特許の使用料を初めて公開した。1台当たり2.5ドル(約270円)を上限とし、端末の価格に応じて「合理的な比率」にするという。必須特許はあらゆるメーカーが製品で使うのを避けられない技術を指し、保有者は合理的な水準の使用料を受け取って競合企業などにも使用を許諾する仕組み(3月16日付・日経新聞Web版)。

   通信アプリ「LINE」の日本の利用者の個人情報などがシステムの管理を委託されていた中国の会社の技術者からアクセスできる状態になっていた。個人情報保護法は外国への個人情報の移転が必要な場合には利用者の同意を得るよう定めている。2018年から中国人の技術者が日本国内のサーバーに保管されている利用者の名前や電話番号、それにメールアドレスといった個人情報のほか、利用者の間でやりとりされたメッセージや写真などにアクセスできる状態になっていた(3月17日付・NHKニュースWeb版)。

   企業だから安心できるという次元ではない。中国が2017年6月に施行した「国家情報法」がある。11項目にわたる安全(政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核)を守るために、「いかなる組織および国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助および協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人および組織を保護する」(第7条)としている。端的に言えば、政府や軍から要請があればファーウェイなど中国企業はハッキングやデータ提供に協力せざるを得なくなる。

   この中国の国内企業への統制を受けて、アメリカでは2018年8月に「国防権限法」をつくり、ファーウェイなど中国のハイテク企業5社からアメリカの政府機関が製品を調達するのを2019年8月から禁止している。2020年8月からは、5社の製品を使う各国企業との取引も打ち切るなど徹底している。領海侵入からハイテク技術まで、中国との関係はすでに曲がり角に入っている。

⇒17日(水)夜・金沢の天気      くもり   


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