自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆祈りの回廊‐野町和嘉ワークス

2006年03月20日 | ⇒ドキュメント回廊

 インターネット上ではすでに無数の動画があふれている。でも私自身これまで心を揺さぶられたとか、最後まで心して視聴したという動画は正直お目にかかったことはなかった。でも、きのう19日、初めて「感動もの」と言えるムービーとめぐり会えた。写真家、野町和嘉氏のサイトである。

  去年5月、金沢の知人の紹介で初めてサイトを見て、この「自在コラム」でリンクを勝手にはらせてもらっていた。きのう久々にサイトを訪問して動画の存在に気がついて視聴した。そして、目頭が熱くなった。

  野町氏はイスラム教のメッカ、カトリック教のバチカン宮殿、チベット仏教、ヒンズー教のインドと、それこそ彼自身が「祈りの回廊」と呼び、世界の宗教の祈りの現場を撮影に歩いた。死を迎えるため、200㌔も離れた村からインダス川のほとりにやってきた老女、マイナス10度のチベットの聖地を野宿しながら向かう人々、一日わずか15分しか日差しのない洞穴で祈りを捧げるエチオピアのキリスト教信者…。

  野町氏は「なぜ人々は祈るのか」を念頭に置き、撮影を続けてきた。その世界は、金で心も幸福も買えると信じている人々とはまったく別世界の人たちの姿である。そして、野町氏は「なぜ人間は祈るのか。それは人間のDNAかもしれない」と言う。自らの来し方行き先をふと振り返ってみると、余りにも慢心し敬虔さを失ってしまっている自分の姿が見えてくる。

  ストリーミングに引き込まれる。砂漠と天空のコントラスト、野町氏を受け入れ信者の目線と一体化したアングル。そこには自然と人間、生と死が活写されている。この映像をぜひとも文化遺産として残してほしいと思った。

 ⇒20日(日)朝・金沢の天気   くもり


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5 コメント

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こんにちは^^ (latifa)
2006-03-20 15:49:54
偶然gooの編集トップ画面で目が留まり、お邪魔しました。私も野町さんの写真とかは、崇高で神がかってる感じがして、凄いなーと見る度に思っています。以前手持ちの野町さんの写真集についてと文を書いたことがあります・・。臆病なもので、自分から面識の無い方のサイトにTBを貼ることしない性分なのですが、今日はなぜだか、、貼らせて頂きますネ

動画拝見して来ました。良い情報ありがとうございました。
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こんにちは♪ (kiwalin)
2006-03-20 16:47:43
コラム掲載、感謝です!キワダです。

野町さんの動画、ご覧になったのですね。

私も、動画を見たあと写真も読む(見る)と、再び、胸があつくなって涙腺がゆるむことがあります。何度見ても感動しています。

野町さんご自身が祈りの大地のような、、、ほんと、すごい方ですよね。

どうもありがとうございました
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感動しました。 (ラナ)
2006-03-21 08:43:42
インターネットの真髄、すばらしさをしみじみ思い知らされました。
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コメントありがとうございます (uno)
2006-03-21 09:27:32
 みなさん、コメントをいただきありがとうございます。人間をみつめる野町さんの眼差しのスケール感がストリーミング画面をはみだすくらいに大きいと感じています。時代を超えた映像ですね。
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はじめまして (ぽんすけ)
2006-03-21 17:32:10
約20年くらい前に彼の写真集「バハル」を手に取り、以来アフリカに夢中になり何度も足を運ぶきっかけとなりました。本当に彼の作品は素晴らしいですね。
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