自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登半島地震 東京ドーム2個分の災害ごみをどう処分

2024年02月12日 | ⇒ドキュメント回廊

   被災地を訪ねるといや応なく目につくのが倒壊した建物の残骸だ。半壊でもあってもこのままでは住めず、いずれ解体することになる。こうした被災地の光景を眺め、想い出や人生が詰まった家が一瞬にして瓦礫と化したことに無念さを感じる。

   先日(1月29日)七尾市を訪れると、県道は廃棄物を積んだトラックや小型トラック、乗用車などが列をなして渋滞となっていた。同市では災害廃棄物の一時的な集積場を同市石崎町にある市営駐車場に設けている。災害ごみの仮置き場に行ってみると、ソファやベッドなどの家具、家電など10種類のコーナーがあり、市民が持ち込むことができるようになっている。写真は1ヵ所だけを撮影したもので、この数十倍に廃棄場所は広がっていて、相当なごみの量だった。 

   石川県のまとめ(2月6日)によると、地震で損壊した建物の解体で発生する災害廃棄物は推計244万㌧に上る。県内で発生する年間ごみ排出量の7年分に相当するようだ。被害が大きかった奥能登の4市町のうち、珠洲市では132年分、穴水町は96年分、能登町は46年分、輪島市は31年分に相当する量だとメディア各社が報じている=写真・下=。

   県では17市町で5万棟が全半壊、部分損壊したと推計し、うち2万2000棟の解体が必要になると仮定して災害廃棄物の発生量を見積もった。解体・撤去は所有者の申請に基づき市町が行い、公費での解体の対象となるのは「全壊」「半壊」と認定された建物。個人で業者に依頼して解体した場合も公費負担にできるケースもあるという。県では2025年度末までに処理を完了する目標を掲げている。

   来月3月から解体作業が本格化し、市町の仮置き場に、品目ごとに分類して一時保管。その後、ダンプカーや船舶で県内外の処理施設に運搬される。金属くずは売却・リサイクルし、コンクリートやブロックなどは復興資材などに再利用される。ちなみに、県全体の災害廃棄物244万㌧は、水をいっぱいに入れた東京ドームの約2個分に相当する量だという(2月6日付・朝日新聞Web版)。

   これだけ膨大な量を処分する人員とダンプカー、トラック、ショベルなどの必要数量は想像もつかない。全国から業者を集めて運搬作業などを行うにしても、国道であっても細く曲がりくねった半島の道路事情などを考えると計画通りにいくのかどうか。ましてや、震災で各地の道路はかなり損壊している。先月、自民党の高市経済安保大臣が岸田総理に震災復興を最優先し大阪万博の開催延期を進言したことが物議をかもした。震災復旧と万博開催の両立は果たして可能なのか、いよいよ現実めいた話になってきた。

⇒12日(月)午後 金沢の天気    はれ


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