自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★被災地や過疎地でドローン活用 能登でノウハウ蓄積

2024年04月21日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島地震で最初の揺れが起きたのは元日の午後4時すぎ。スマホの緊急地震速報が不気味な音で鳴り出した。グラグラと家が揺れ出し、押し入れの引き戸などがガンガンと音を立てて閉じたり開いたりを繰り返している。数十秒も続いただろうか。いったん止んだが、しばらくして、またピューンピューンと緊急地震速報が鳴り、再び強烈な揺れが走った。

  NHK地震速報で、女性アナウンサーが強い口調で津波が予想される地域住民に避難を呼び掛けていた。間もなく外が暗くなり、輪島の朝市通り周辺での大規模火災の様子がテレビ画面に映し出された。しかし、能登各地の地震の全容はテレビ画面では映し出されることはなく、スタジオと朝市通りの火災の映像が中心だった。

  翌日2日からはテレビ各社がヘリコプターでの上空からの中継映像を輪島の朝市通りの火災を中心に流していた。震度7の揺れで能登の中山間地ではいたるところでがけ崩れが起き、集落が孤立した。さらに、がけ崩れで谷川がせき止められる「土砂ダム」ができ、各地で民家や集落が水に浸かった。また、隆起して白くなった海岸線が何㌔にも渡って続いていた。このリアルな能登の被災地の状況を知ることができたのはテレビ映像より、むしろドローンによる画像だった。(※写真は、土砂ダムで孤立した輪島市熊野町の民家=1月4日、国土交通省TEC-FORCE緊急災害対策派遣隊がドローンで撮影)

  その後、ドローンが孤立化した集落に食糧などの救援物資を届けるなど、被災地におけるドローンの存在感が高まった。きょう付の日経新聞によると、経産省は石川県にドローンの運航航路や発着の拠点を整備する。能登半島地震の影響でなお医療品や生活必需品などの輸送が滞っているため、復興を迅速に進める狙い。復興後の平時にも活用を続け、ノウハウを蓄積して地方を中心にドローンの利用を広げる、とう。

  確かにドローンは単なる物資の輸送だけでなく、人手不足の解消という視点で見れば、被災地だけでなく、これからの地域の過疎化対策で必要不可欠な「生活インフラ」に位置付けられるかもしれない。記事によれば、経産省では地元自治体や国交省と連携して、複数の避難所をドローンの発着拠点として、専用の離着陸用のポートや充電設備を置く。航空法や電波の状況の観点から飛んでよい場所を事前に定め、ドローン航路をつくる。

  ドローンの新たな可能性を引き出す、実証する、そしてドローン人材を育成する。能登がドローン活用の全国の拠点となれば復興の一助につながるかもしれない。そう期待したい。

⇒21日(日)夜・金沢の天気    くもり時々あめ


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