自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆能登半島地震 災害あれど稲が風そよぐ千枚田

2024年03月05日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登のリアス式海岸のシンボル的な光景が輪島の白米千枚田だ。きのう(4日)ようやく現地を訪れることができた。それまでは土砂崩れで国道249号が切断されていたので行けなかった。2ヵ月余り経って、輪島市街からようやく行けるようになった。しかし、千枚田からさらに東方向へは通行止めが続いていて、曽々木海岸や揚げ浜式塩田などへは行くことができない。

  千枚田は正確に言えば1004枚の棚田が広がる。元日の地震で多くの住宅が損壊し、名所の曽々木海岸の窓岩は崩れ、平家ゆかりの時国家住宅などは損壊した。また、輪島の朝市通り周辺の200棟が全焼するなどした。千枚田は土砂崩れなどはなかった=写真・上=。ただ、よく見るとところどころに亀裂が見える。近づいてよく見ると、大きなもので、幅10数㌢、深さ50㌢ほどの地割れが数㍍続いている。

  田んぼは水はりをするので、地割れで水耕は大丈夫なのかと、素人ながら考えてしまう。千枚田を運営管理する公益財団法人「白米千枚田景勝保存協議会」では稲作を続けようと、クラウドファンディングで呼びかけている。「修復には大量の土砂や杭が必要であり、また、人力での修復となりますので、人を動かすお金も必要です。これらの資金を調達するため、みなさまから支援を募り、修復費用等に充てさせていただきます」と。目標1000万円に対し、きょう5日現在で1247万円が集まっている。

   亀裂が入った田んぼ眺める。ところどころに岩石がある=写真・下=。これを見ると千枚田の歴史を思い浮かべる。「大ぬけ」と今でも地元で伝えられる大きな土砂崩れがあった。1684年のこと。いまで言う深層崩壊だ。その崩れた跡を200年かけて棚田として再生した。そのときに落ちてきた岩石は今でもところどころにある。そして、今回の地震で地割れが起きた。

  これまで災害にめげずにひたすら棚田を耕してきた。人手が足りなければ「棚田のオーナー制度」で人を集め、田に亀裂が入ればクラウドファンディングで資金を集めて修復を行う。ひたむきなアイデアと地道な努力で千枚田の稲が風にそよぐ。

⇒5日(火)夜・金沢の天気    あめ


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