自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★世論調査の「重ね聞き」

2018年09月23日 | ⇒ニュース走査

    きょう(23日)日本経済新聞社とテレビ東京による世論調査(今月21-23日実施)の結果がWeb版で掲載された。安倍内閣の支持率は55%となり、前回の8月調査の48%から7ポイント上昇し、不支持率は42%から39%に下がった。支持率が55%以上になるのは、財務省の決裁文書改ざんが発覚する前の2月調査の56%以来と報じている。読売新聞社も世論調査(今月21-23日実施)を掲載していて、安倍内閣の支持率は50%、前回8月調査でも50%なので横ばい。不支持率は41%(前回40%)と1ポイント上昇した。

    NHKも今月の世論調査(今月15-17日)を発表していて、安倍内閣を「支持する」は先月の調査より1ポイント上がって42%だった。「支持しない」は39%で、先月より2ポイント下がっている。朝日新聞の世論調査(今月8-9日実施)では安倍内閣を「支持する」が41%で前月比で3ポイント上昇、「支持しない」は38%で前月比3ポイント下がった。

    マスメディアによる世論調査の方法の主流は「RDD(Random Digit Dialing)」と呼ばれ、全国の18歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける世論調査。NHKの場合、今回調査の対象となったのは2128人のうち57%に相当する1215人から回答を得たと説明している。日経の今回の回答率は46.4%だった。

    それにしても、数字だけ眺めて不思議に思うのは、日経と読売が内閣支持率が50%を超えているのに、NHKと朝日は40%台だ。世論調査とは言え、調査に答える人はそれぞれのメディアのシンパなのだろう。だから日経と読売の支持率は高く、NHKと朝日は低い、と思いがちだ。実は、設問方法が違うのだ。

    最初に「内閣支持」か「不支持か」を尋ねるが、答えなかった人は「言えない・分からない」に分類される。朝日の場合はこれでこの設問は終わりだ。ところが、日経は「重ね聞き」をする。「言えない・分からない」と答えた人に再度、「お気持ちに近いのはどちらですか」と尋ねるのだ。Web版から引用して数字で示す。最初「支持する」51%、「支持しない」36%、「言えない・分からない」12%だった。「言えない・分からない」と回答した人に再度「お気持ちに近いのはどちらですか」と尋ね、「支持する」32%、「支持しない」25%、「言えない・分からない」43%の数字を得た。これを算定して「支持する」55%、「支持しない」39%としている。重ね聞きの場合は、「言えない・分からない」の割合が減る分、結果的に「支持する」と「支持しない」の割合が増えるのだ。

    結論、NHKと朝日は重ね聞きをしないので内閣支持率も不支持率も低い。ところで、私自身もこれまで何度かRDDに答えたことがあるが、ロボット的な自動音声に設問されると「早く終われよ」との感情が先立つ。世論調査は有権者の気持ちを引き出すものだ。ロボット調査は勘弁だ。ちなみに、朝日の調査は自動音声ではなく、調査員の肉声だった。肉声だから素直に答えるという訳でもないのだが。

⇒23日(日)夜・金沢の天気    くもり


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