自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆樹木希林と宝島社のメッセージ性

2018年11月01日 | ⇒メディア時評

       つい先日(10月23日)に映画『日日是好日』を鑑賞したばかりだったので、29日付の朝刊の見開き全面広告を広げて唸ってしまった。「樹木希林の存在感って何だろう。それにしても、出版社の宝島社はなぜそこまでやるのか」

   広告は樹木希林が「あとは、じぶんで考えてよ。」と、自分で内田裕也や長女の本木雅弘らファミリィに呼びかけている構図だ。左面上には「絆というものを、あまり信用しないの。期待しすぎると、お互い苦しくなっちゃうから」と、いかにも樹木希林が言いそうなメッセージが掲載されている。生前のインタビューから取ったコメントのようだ。

   宝島社は2016年1月5日付でも、「死ぬときぐらい好きにさせてよ。」の15段カラー見開き広告を掲載した。樹木希林が草花とともに水面に浮かぶ様子を、イギリスの画家ジョン・エヴァレット・ミレイの名作「オフィーリア」をモチーフに写真で表現していた。とても話題になった。

   宝島社はほかにも、2017年1月5日付でも2ページの見開き白黒で、向かって左面に真珠湾攻撃の写真を、もう一方に広島に落とされた原爆によってできたきのこ雲の写真を配置してある。そして、「忘却は、罪である。」「子孫のために、借金を残す。」(2013年)、「ヒトは本を読まねばサルである。」(2012年)など。過去の作品の多くは、数々の新聞広告賞を受賞している。1998年から、商品では伝えきれない「企業として社会に伝えたいメッセージ」を発信したいと新聞広告を掲載している。

   出版社のメッセージ性としてはインパクトがある。実にうまい。宝島社のホームページには以下の「広告意図」が掲載されていたので、全文を紹介する。

樹木希林さんが、
2018年9月に逝去されました。
死生観、人生観、恋愛観、仕事観…、
樹木希林さんが残された数々の言葉をもとに、
世の中に向けて、樹木希林さんからの最後の言葉として
2つのメッセージをつくりました。
どう生きるか、
そして、どう死ぬかに向き合った樹木希林さんの、
地球の人々への最後のメッセージ。
どう生きるか、どう死ぬかについて、
あらためて深く考えるきっかけになれば幸いです。

⇒1日(木)夜・金沢の天気      はれ


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