自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登半島地震 「耐震のDNA」を引き継ぐドラッグストア

2024年02月14日 | ⇒ドキュメント回廊

            きょう14日午前10時32分、能登半島の穴水町で震度4の地震を観測した。そのほかきょう能登で震度1以上が7回あった。

            ◇

   これまで何回か被災地を訪ね不便さを感じたのはコンビニなどの店舗が閉鎖していることだった。コンビニだけでなく、スーパーや飲食店なども被害が大きかった奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)に入ると静まりかえっていた。道路事情が悪く物資が運べない、電気や水道が使えないという悪条件が重なり、経営者や従業員が被災したこともあるのだろう。震災から7週間目に入り、そうした店舗が徐々に営業を再開している。

   震災後に奥能登に初めて入ったのは1月5日だった。金沢の自宅から能登町に行くまでにじつに6時間かかった。道路があちらこちらで崩れていて慎重に運転しないと道路の割れ目にタイヤを落とし込んでしまうことになる=写真・上=。また、救急車など緊急車両が頻繁に往復していてそのつど道路の左側に寄って道を譲る。この日、能登への往復だけで13時間かかった。帰りは夜になり暗闇に。穴水町に入ると1カ所だけ照明がついている店舗を見てホッとして店内に入った。ドラッグストア「ゲンキー」。入り口には販売用のペットボトルの水が積み上げてあった。震災翌日の2日から営業を再開しているとのこと。ただ、余震もあり棚の商品などが床に落ちて、店員が懸命に床を掃除していた=写真・下=。

   店長らしき人に片付けと営業を同時にやるのも大変ですねと声かけすると、「店をはやく開けることが地域の安心につながるということで、きょうは本社から片付けの手伝いに来てくれています」とのことだった。奥能登の2市2町には6店舗あり、営業を再開しているとのことだった。

   この言葉を聴いて、「共感」というものを感じた。ゲンキーの本社は福井県坂井市にある。同県あわら市で震度5強、坂井市は震度5弱の揺れに見舞われている。同社公式サイトのプレスリリース(1月2日付)をチェックすると、元日は休業だったが、従業員は全員無事だったことが確認されたので、翌日の2日から被災した店舗を含む全店で営業を開始した、とある。

   停電と断水、道路事情などにもかかわらず、なぜゲンキーが「店をはやく開けることが地域の安心につながる」と地震翌日から奥能登の店舗を含めて全店舗で営業を再開したのか。何か執念のようなもの感じる。以下、憶測だ。福井県は1948(昭和23)年6月28日に起きた震度7の地震で3700人余りの犠牲者を出している。戦時中の空襲による戦災、そして戦後の震災と続き、そこから復興した。県民の精神性には地震に負けないという「耐震のDNA」が受け継がれているのではないだろうか。元旦の地震以降の素早い行動からそんなことを感じた。

⇒14日(水)夜・金沢の天気   はれ

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