自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆2023卯年・飛躍の年に ~経済~

2023年01月01日 | ⇒メディア時評

   景気が良いときは、市場にお金が回り、経済全体が活性化するというこれまでの常識が崩れている。何しろ、経済の活性化は人件費と物価などが同時に値上がりしたものだが、現在のインフレと呼ばれている状況は物価だけが高騰している。これは一時的に新型コロナウイルス感染(パンデミック)により世界経済がロックダウン状況に見舞われたものの、その後、世界が同時に経済活動を再開したことによるモノの供給不足ともいわれる。これが物価に跳ね返っている。

            ~キャッシュレス経済と「タンス預金」の話~

   アメリカのFRBの金融引き締めやインフレ懸念を背景に、世界の利は上昇傾向にある。日銀は先月20日に一転して金融緩和策を修正し、長期金利の変動幅の上限を0.5%程度に引き上げた。これが「黒田サプライズ」となり、株価が下がり為替が円高に変動した。日本の経済はこれからどうなるのか。

   一つ注目しているのが、市場金利の上昇と住宅ローン金利、そして住宅価格だ。すでに建築資材などの価格が一斉に上がっている。当然、新築住宅を中心に価格は高くなっている。さらに、大手銀行などは住宅ローン金利を今月から引き上げる。変動型の金利は据え置いたものの、将来変動金利が上がるリスクもある。「家は人生最大の買い物」との言葉がある通り、価格と住宅ローンが上がれば、購入や新築を考えている人々は二の足を踏むだろう。これが日本の景気にってマナイナ要因になるかもしれない。

   ただ、2023年という年には経済的な異変が起きるかもしれない。以下、勝手な憶測だ。50兆円ともいわれる「タンス預金」がどう動くか、だ。というのも、2024年度から1万円札のデザインが福沢諭吉から渋沢栄一に、5千円札は樋口一葉から津田梅子に、千円札は野口英世から北里柴三郎になる。1984年に聖徳太子から福沢諭吉になったので、40年ぶりだ。この新札発行前にタンス預金が住宅投資などに動けば、経済効果に寄与するかもしれない。また、新紙幣発行にともなう、金融機関のATMやCD、さらに自動販売機の改修や買い替えに投入されるコストを考えると、これも経済効果だ。

   ただ、キャッシュレス経済はこれからさらに進むだろう。現金は匿名性が高く、決済情報が記録として残らないためにマネーロンダリングの温床とまで言われ、EUやスウェーデン、シンガポールなどではすでに高額紙幣を廃止する流れとなっている。ひょっとして、日本でも来年の新札が最後の1万円札になるかもしれない。正月の放言ではある。

(※写真は、国立印刷局東京工場で2021年9月1日に行われた新一万円札の印刷開始式の模様=国立印刷局公式ホームページより)

⇒1日(土)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

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