自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★自虐ネタ、団塊応援・・・新年の広告メッセージが面白い

2023年01月06日 | ⇒メディア時評

   年始の新聞広告は例年のごとく派手さが目立った。笑えるもの、考えさせるもの、目立つものの何が言いたいのか分からないと思ってしまうものなどさまざま。いくつか紹介すると。

   この広告は毎年見ているが、関西漫才のように自虐的で笑える。入試願書の受付開始日と合わせた近畿大学の広告(3日付)『上品な大学、ランク外。』=写真・上の左=。同大は「THE世界大学ランキング2023」で日本の私立総合大学の中で慶応大学と並ぶ1位にランクされたものの、「進学ブランド力調査2022」(調査・リクルート進学総研)での「上品な大学ランキング」ではトップ10から外れている。それでも、「めっちゃうれしいやん!」「お上品限定に見えないなら、むしろ本望!」と。

   他の大学ランキングでは「エネルギッシュである」「チャレンジ精神がある」「コミュニケーション能力が高い」がぞれぞれ1位(※日経BPコンサルティング「大学ブランド・イメージ調査2021-2022」)なのだとPRしている。研究資金を自ら稼ぎながら挑戦し続けて成功させたクロマグロの完全養殖をその事例に挙げている。ちなみにバックに映っている学生は近大生200人の顔写真をAIに学習させて合成した近大生の特徴のある顔のようだ。データとAIを駆使し、良い意味で「くどい」文章回しは見事だ。

   日経新聞(3日付)をコンビニに買いに行った。すると、紙面の一面には「日本経済新聞」と題字はあるものの、赤や青、緑、黄色の斑点が散らばっている=写真・上の右=。よく見ると「本日は特別紙面でお届けします。通常紙面は2枚目からになります」と小さく記してある。ルイ・ヴィトンの広告にくるまれた朝刊なのだ。紙面をめくると、これもルイ・ヴィトン広告。「Yayoi Kusama」とあったので草間彌生をネット検索すると、ルイ・ヴィトンと草間彌生がコラボレーションで作品を展示する、機関限定のポップアップストアを今月2日に東京・原宿でオープンしていて、そのPR広告のようだ。場所は明治神宮の近くなので、初詣客でにぎわっているのではないだろうか。

   5日付の宝島社の見開きの全面広告も深い味わいがある。『団塊は最後までヒールが似合う。』=写真・中=。黒いタイツにハイヒールを履いた中尾ミエが真ん中に鎮座する。第一次ベビーブームと呼ばれた戦後の1947年から49年に生まれた世代は「団塊の世代」とも称される。この世代が後期高齢者になっている。キャッチコピーの「ヒール」は「悪役」の意味。団塊の世代は個性派が多く、日本の学生運動を主導した世代でもある。宝島社は「団塊よ、どうか死ぬまで突っぱって生き切ってくれ。他の世代を挑発し続けてくれ」とメッセージを送っている。共感する。

   意味がよく理解できなかったのが、トヨタイムズの見開きの全面広告(1日付)=写真・下=だった。トヨタ自動車がネットやCMなどを通じて独自発信するメディアだ。キャッチコピーが「なぜトヨタは24時間耐久レースに挑み続けるのか?」「いつまでハイブリッドをつくり続けるんだ・・・と言われる今、新型プリウス投入の意味」など、見栄えは強烈だが、言葉の深みや面白さというものが今一つ伝わってこない。せめて、ソニー・ホンダが開発しているEVに対抗意識を燃やしてほしかった。

⇒6日(金)夜・金沢の天気   くもり

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