自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆身を切らずして、安易に増税と言うなかれ

2023年01月23日 | ⇒メディア時評

   ことしの政権の行く末を占うような世論調査が次々と出ている。テレビ朝日系ANNの1月の世論調査(今月21、22日実施)によると、岸田内閣の支持率が政権発足以来、最も低い28.1%となった。前回調査(12月17、18日)より3ポイントの下落。不支持率は47.5%で前回より4.2ポイント上昇した。防衛費の財源として段階的に増税する方針については「支持しない」が58%、「支持する」が30%となっている。    

   朝日新聞社が実施した1月の世論調査(今月21、22日)によると、内閣支持率は35%だった。前回調査(12月17、18日)は31%で岸田内閣発足以来最低を記録したが、今回は4ポイント上昇しやや持ち直した。不支持は52%で前回より5ポイント減少した。防衛費を増やすために、およそ1兆円を増税する方針については、「賛成」が24%、「反対」が71%だった。

   産経新聞社とフジテレビ系FNNの合同世論調査(今月21、22日)によると、内閣支持率は37.7%で、前回調査(12月17、18日)より0.7ポイント増だった。7ヵ月連続で下落していた内閣支持率が下げ止まった。不支持率は前回比0.6ポイント増の58.1%だった。政府が防衛力強化のため防衛費を大幅に増額する方針を決めたことについては「賛成」が50.7%で、「反対」42.8%を上回ったものの、必要な財源を法人税や所得税、たばこ税を段階的に増税して賄うことについては「反対」が67.3%を占め、「賛成」28.9%だった。

   時事通信の世論調査(12月13-16日)によると、内閣支持率は26.5%で、前回調査(12月9-12日)より2.7ポイント下落。政権維持の「危険水域」とされる20%台は4ヵ月連続となった。不支持率は43.6%で前回より1.1ポイント上昇した。防衛力強化に伴う増税方針の表明や一段と進む物価高などが影響したとみられる。

   きょう午後2時からのNHKの国会中継で、岸田総理は施政方針演説を行った=写真、総理官邸公式サイトより=。去年12月、安保関連3文書を改定し、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を宣言。新年度から5年間の防衛費を総額43兆円と1.5倍にし、増税で年1兆円強を捻出する方針も決めている。この増税が内閣支持率の低迷の要因になっていることは上記の世論調査の数字でも見て取れる。

   国会議員には毎月給与が129万円、そして300万円以上のボーナスが年に2回支給される。「第二の財布」もある。給与とは別に月額100万円の「調査研究広報滞在費」が支給される。領収書は不要で、使途報告や残金返還の義務はない。さらに、「立法事務費」では所属の党を通じて議員一人当たり65万円。これも領収書の提出や使途報告の必要はない。国会で寝ていても、欠席しても年間4200万円余りが支給される。

   岸田総理がこの議員の第二、第三の財布をカットすると宣言し、増税に踏み込むのであれば国民の理解が得られ、内閣支持率も上がるだろう。身を切らずして、安易に増税と言うなかれ。

⇒23日(月)夜・金沢の天気    はれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする