自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★コロナ禍が揺さぶる内閣支持率、そして政局

2021年01月18日 | ⇒ニュース走査

   昨年9月16日に発足した菅内閣。メディア各社の世論調査では内閣支持率は高かった。毎日新聞の調査では、内閣支持率が64%で、不支持率は27%を大幅に上回っていた(2020年9月18日付・毎日新聞Web版)。 朝日新聞社の調査は内閣支持率が65%で、不支持率は13%だった(同9月17日付・朝日新聞Web版)。共同通信の調査でも支持率66.4%、不支持率16.2%だった(同9月17日付・共同通信Web版)。高支持率の背景には、携帯電話料金の値下げや縦割り行政の打破、デジタル庁発足への布石、ハンコ行政の廃止など、新型コロナウイルスでよどんでいた世間の空気を換えてくれそうな期待感があった。

   その内閣支持率が急落している。読売新聞の最新の世論調査(今月15-17日)が先ほどネットに上がった。菅内閣の支持率は39%、不支持率は49%となり、初めて不支持が支持を逆転した。支持率の下落は3回連続。政府の新型コロナウイルス対策への強い不満が表れたとみられる(1月18日付・読売新聞Web版)。支持率は、前回調査(2020年12月26、27日)の45%から6ポイント下がり、内閣発足以降で最も低い。不支持率は前回の43%から6ポイント上がった。朝日新聞の調査でも菅内閣の支持率39%(不支持35%)に下がっている(2020年12月21日付・朝日新聞WEB版)。

   世論調査は上がり下がりするものだが、このまま右肩下がりが続くのか、V字回復があるのか。なんと言っても、内閣の支持率を左右するのはコロナ禍への対応だろう。右肩下がりが続くとすれば、観光支援策「GoToトラベル」を全国で一時停止する判断の遅れ、さらにコロナ禍にともなう景気と雇用の対策など政策決定の遅れで、支持率低下は加速するだろう。逆に、V字回復で支持率を上げるとすれば、ワクチン接種による集団免疫の獲得でなないか。すでに、厚労省は全国約1万ヵ所の「接種施設」で、2月下旬から始める方針と報道されている(1月16日付・読売新聞Web版)。その後、7月23日の開会式で東京オリンピックが無事スタートできれば、菅内閣はよく難局を乗り切ったと評価されるだろう。

   ただ、現実は甘くない。日本は乗り超えたとしても、世界は混沌としている。オリンピックが開催できなくなれば、一気に政局は揺らぐ可能性もある。メディア業界でよくささやかれるのは、内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と。第一次安倍改造内閣の退陣(2007年9月)の直前の読売新聞の内閣支持率は29%(2007年9月調査)だった。その後の福田内閣は28%(2008年9月退陣)、麻生内閣は18%(2009年9月退陣)と、自民党内閣は支持率が20%台以下に落ち込んだときが身の引きどきだった。民主党政権が安倍内閣にバトンタッチした2012年12月の野田内閣の支持率は19%だった(数字はいずれも読売新聞の世論調査)。

   総理は元旦の年頭所感でこう述べている。「我が国は、多国間主義を重視しながら、『団結した世界』の実現を目指し、ポストコロナの秩序づくりを主導してまいります。そして、今年の夏、世界の団結の象徴となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催いたします。安全・安心な大会を実現すべく、しっかりと準備を進めてまいります」(総理官邸公式ホームページ)。ぜひ、団結した世界を実現してほしい。

⇒18日(月)朝・金沢の天気   ゆき

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