自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★株高の無常観 経済の春隣は 

2021年01月25日 | ⇒トレンド探査

   大寒のこの頃、「春隣(はるとなり)」という季語がある。寒さがこたえる真冬だが、かすかな春の予兆に目を向けてみたくなるものだ、との意味合いと解釈している。

   自宅の庭は雪に覆われているが、春隣を求めて庭先に出た。厳冬のこの時節に咲く花を「雪中四友(せっちゅうしゆう)」を称するが、4つの花(ロウバイ、ウメ、サザンカ、スイセン)のうち、ロウバイが黄色い花を付けていた。例年なら今ごろ花を付けているスイセンは雪に埋もれていた。

   見渡すと、ツバキも花をつけていた。そこで、ロウバイとツバキを切って、玄関に活けてみる=写真=。ロウバイは「蝋梅」と漢字表記されるだけあって、ふくよかな香りがする。中国語ではラ-メイ(蝋梅)、英語ではWinter sweetと言い、世界の人々はその香りを楽しんでいる。ツバキは筒咲きの白花だ。花を見ていて思うことは、花は毎年変わらず咲いて人を楽しませてくれるが、人の世は変わってしまう。新型コロナウイルスの流行(はや)りで滅入ってしまっている。無常である。世の春隣はいつ来るのか。

   きょう無常観を感じたのは株価だ。25日の東京株式市場で日経平均株価の終値が前週末比190円高の2万8822円をつけ、バブル期の1990年8月3日以来30年半ぶりの高値を回復した(1月25日付・共同通信Web版)。景気がよいと感じていないのに、株が買われる。投資家は今の経済状況を見て投資するのではなく、先の経済状況を予想して投資すると言われればそうかもしれない。あるいは、コロナ禍で痛手を被った経済を支えるため日本銀行が大量のお金を市中に流し込んでいるが、景気を押し上げる投資には使われず、だぶついたお金が運用先として株式市場に流れ込んでいるだけ、という見方もある。

   これから第3四半期の企業決算の発表が続々と出てくるだろう。その内容を見てみたい。経済の春隣を感じることができるのだろうか。

⇒25日(月)午後・金沢の天気     はれ

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