年の瀬になって起きた「能登半島沖」の「大和堆」での事件。日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海軍の駆逐艦が20日午後3時ごろ、海上自衛隊のP1哨戒機に対して火器管制レーダーを照射した。岩屋防衛大臣が21日夜に緊急記者会見で公表した。P1は最初の照射を受け、回避のため現場空域を一時離脱した。その後、状況を確認するため旋回して戻ったところ、2度目の照射を受けた。P1は韓国艦に意図を問い合わせたが、応答はなかった。照射は数分間に及んだと報じられている。
ドラマ仕立ての反論、事実と向き合えない相手が陥る弱点とは
28日、防衛省はP1が韓国駆逐艦を撮影した動画をホームページで公開した。再生して視聴すると、当時のリアルな状況が伝わってくる。レーダーの電波を音に変換してヘッドホンで聞いているP1の操縦士たちが「出しています」と電波を感知すると、「避けた方がいいですね」「めちゃくちゃすごい音だ」と緊迫した会話が録音されている。その後、P1から駆逐艦に向けて、「KOREAN NAVAL SHIP, HULL NUMBER 971, THIS IS JAPAN NAVY, We observed that your FC antenna is directed to us. What is the purpose of your act ? over.」とレーダー照射の目的を無線で3度問い合わせている=写真・防衛省ホームページより=。問い合わせに対する駆逐艦からの応答はなかった。テロップは付けてあるものの、画像の編集はなく、13分7秒の実録である。
これに対する韓国側の対応はドラマ仕立てだ。映像の公開を受けて、韓国国防部側は「日本側が公開した映像資料は単純に日本の哨戒機が海上から巡回するシーンとパイロットの対話だけだ。一般的な常識からみると射撃統制レーダーを調査したという日本側の主張に対する客観的な証拠とはみられない」と映像の信ぴょう性そのもものを否定。さらに、P1からの呼びかけに答えなかった理由として「日本乗務員がKorea South Naval Shipと呼んだが、通信状態が良くないえうえ英語の発音が悪くてSouthがCoastと聞こえた。海警を呼んだと考えた」と明らかにした、と29日付の韓国・中央日報(日本語版)は伝えている。
韓国側の対応を「ドラマ仕立て」と述べたのは、事実のストーリーの書き換えを懸命に行っているとの意味である。「英語の発音が悪くて」というそれこそ客観性のない言葉で責任逃れのストーリーを組み立てようとしている。国際外交の舞台であれば、ある意味でドラマ仕立てのハッタリを効かせて交渉を優位に進めることもあるだろう。防衛は外交の場ではなく、相手の弱点を見抜く場でもある。事実と向き合えない相手の弱点とは何か。自己防衛本能は強いが、そのうち自己矛盾に陥る。そのときどうなるのか韓国は。
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