デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

ジョン万次郎-海を渡ったサムライ魂

2013-03-06 23:23:19 | 買った本・読んだ本
書名 「ジョン万次郎-海を渡ったサムライ魂」
著者 マーギー・プロイス 金原端人訳 出版社 集英社 出版年 2012

漂流民のなかでは、戻ってきて日米両国の橋渡しをしたという、いわば有名人になった数少ない成功人のことを外国の作家が小説とした、外人が書いた日本人漂流民の物語というのが気になって読んでみた。
正直そんな面白くなかった。とりたてて新しい視点もなく、万次郎の生涯(日本の故郷に戻ってくるまで)をなぞっている。すごい若者がいたんだということが一番言いたかったのだろうが、ちょっと平板だったかな。自分には物足りなかった。
そういえば万次郎を日本の作家がとりあげた小説がでていた。万次郎はいわばこうしたメジャーの作家に取り上げられやすい、時代と時代の裂け目のなかで異国で青春をおくり、しかも成功したという経歴を持っている。その意味では自分の関心から一番離れたところにいる漂流民あがりだと言えるかもしれない。

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キャパの十字架

2013-03-06 22:57:43 | 買った本・読んだ本
書名 「キャパの十字架」
著者 沢木耕太郎  出版社 文藝春秋 出版年 2013

単行本になる前に、雑誌文藝春秋で特集が組まれ、さらには単行本刊行後NHKスペシャルでもとりあげられるという、最近では珍しいノンフィクションもの大がかりなキャンペーンも展開された。あの有名なキャパのスペイン内戦のときに撮影された崩れ落ちる兵士の写真が、実はデモンストレーションで撮影されたものであり、しかも撮影したのはキャパではなく、彼の愛人ゲルダだったという、歴史的なスクープとなっているから、このキャンペーンもなるほどとは思う。
しかも書いているのはキャパの翻訳本もある沢木耕太郎、いうまでもなくノンフィクションライターの第一人者なのである。刊行後すぐに購入、先日タジキスタンに行く飛行機の中で読んだ、まさに一気に読んだ。さすがだと思う。なぜこの写真のことが気になったかという導入の部分も巧みで、無理がない、謎解きの連続なのだが、現地に取材し、それもその過程に無理がない、説得力がある、そしてここが凄いと思うのだが、こうしたスクープを力んで強調するのではなく、キャパの戦場カメラマンとしての生き方を全面否定するのではなく、つまりキャパが嘘をついたことに寛容なのである。要するに実はこの写真はキャパのものでもなく、しかも撃たれた瞬間を撮ったものでもない、でも戦場で命を賭けたことは事実であり、それを否定はしないという沢木のスタンスはある意味好感ももてる。暴露するだけじゃないという感じであろうか。
でも途中でだんだん興味が失われて行った。沢木がどんどん真実に近づいていくたびにだ。例えば恋人ゲルダが撮ったのではないかということを解きあかしていくときのカメラで撮られた写真の寸法の割合について一生懸命説明しているのだが、そんなのもういいじゃないかという気になってしまう。
事実に迫るたびに、どうでもよくなってくる。それはこの写真が故意に撮られたものであったということが一体どういう意味を持つのかということが伝わってこないからである。故意に撮られた、しかも自分のものではないという事実をどうキャパは受けとめていたのか、それに突っ込む、あるいはそれを実際に撮った恋人ゲルダはこのあと撮影中に亡くなっている、その彼女の生き方に突っ込むとかだったら別なのだが、故意に撮られたこと、キャパが撮っていなかったことという事実だけに迫っていくなか、人間が見えなくなってしまったような気がしてならない。
沢木の中ではそうした負い目をもっていたからこそ、ノルマンディーのときにまさにキャパは、命を賭けて戦場の写真を撮ったという解釈をしている。それはNスペの番組で一番強調していたことでもあった。
でもちょっとこれは違うのではないだろうか。
戦争を撮るカメラマンの根底にあるものはなにか、なぜ戦場を撮影しなければならないのか、戦争をとりあげるジャーナリズムの危険性にまったくふれずに、そうした贖罪だけで、キャパをいまとらえるというのはどうなのだろう、謎解きだけで終わったノンフィクションだったといえるのではないか。


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慌ただしく

2013-03-06 14:18:04 | お仕事日誌
以前山道の裏道でかぼそい声で啼いていた姿なきネコのことが気になり、また寄ってみる。自分の前をおばあちゃんが歩いていたのだが、あの声が聞こえた場所の手間のところで、なんとでかい猫が出てきて、このおばあちゃんにじゃれつきはじめるではないか。あのときのかぼそい声で啼いていた猫の正体見たり、なのだがまあちゃんと生きているようで良かった。
今年初めての床屋。銀座の風景が来るたびに変わっていく。自分がこのあたりで働いていたときからあった建物のひとつ地下の映画館のシネパトスがまもなく廃館になるらしい。ソクーロフの太陽を上映して話題になったが、自分がいたころはポルノ映画館だった。
散髪の帰り、いつものように教文館へ。ここはほんとうにいい本屋さんである。お客さんが店員の人と会話を楽しんでいる、いまどきこんな本屋ないのでは。残念ながら自分の本は置いてなかった。
昼過ぎに出社。いよいよ明日からリトルということで、とにかくやることはやまのようにある。なんとかこなし16時半に退社。青山でひとつ取材をこなしてから、帰宅。
食事をしているときに、朝日朝刊の漫画ののちゃんに出てくる担任の藤原先生の下の名前がなんだったか一昨日から気になっているのだが、思い出せないと言っていたら、下の娘が上の娘にメールして、瞳ちゃんであることが判明。すっきりした。
連載読み物の方言を訳している谷川さんが、今日送った原稿を即効で訳してくれた。これでなんとか来週一杯はしのげるであろう。
原稿書き以外のことをすべてやり終え、なんとかこれで行けるかな。
24時過ぎに就寝。

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