デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

長谷川伸全集第16巻

2011-07-31 00:12:27 | 買った本・読んだ本
書名 「長谷川伸全集第16巻 戯曲Ⅱ」
著者 長谷川伸 出版社 朝日新聞社 出版年 1972

「一本刀土俵入」「暗闇の丑松」「雪の渡り鳥」など20篇の戯曲を収めた作品集なのだが、いいんだ、これが。いずれもしがない男たち(旅の人間、職人、芸人なと)が歴史劇の中で偉いことをやるなんていうのではなく、惚れた女のために、あるいは義理をもった人たちのために精一杯生き抜くというのがドラマトゥルギーになっている。舞台も江戸とか大坂ではなく、街道筋の小さな旅籠屋とか、街道筋とかになっている。なんでもないようだが長谷川伸ははっきりと周縁の地で、しがない男たちとしがない女たちが、精一杯愛し合い、信じ合い、そして生きる姿を書こうとしている。殿様のために、藩のために生きる死ぬなんてことではなく、惚れた女、たとえそれが知り合ってから僅かな期間であったとしても、好きな女のために義理をかける、命を賭けるということが、どれだけ美しく見えるか。藤沢周平の小説にはない、底辺で生きる人々の精一杯の生きざまや愛に生きるその姿を徹底的に愛情をこめて描く、そんな視線に、感動する。
自分のゆるい涙腺のためまったく説得力はないのだが、涙があふれてしまうところは、「99両」で大金100両を忘れた坊さんを30年待つ夫婦の話しとか、「明日赤飯」でどうしようもない泥棒に、長屋の人たちが二度と罪を犯さないようにと空の袋にお金を入れていくという下りだった。
それにしてもしがない男と女の話しがほとんどであったが、その一途さの清らかなことよ。
ほんとうにいい本を読んだと思っている。
 
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実証・日本の手品史

2011-07-29 12:53:24 | 買った本・読んだ本
書名 「実証・日本の手品史」
著者 松山光伸  出版社 東京堂書店  出版年 2010

三原文の「日本人登場」が出てきたときの衝撃がまだ身体に残っているのだが、同じように徹底した資料の掘り起こしをしたマジック関係の本が現れた。三原の本も海外に広げたネットワークをまさに駆使しながら、信じられないような資料を掘りあて海外に渡った芸人たちの足跡を追いかけたものだが、この書もインターネットを駆使し、海外に渡ったマジシャンの足跡を丹念にたどったもの。それによりいままで通説を覆し、新たな真実を掘りあてていく。まさに実証によるマジック史の書き換えとなっている。自分には海外に渡った芸人の足跡をたどるその手法が興味深かったし、そこで明らかになったもしかしたらパスポートを持たないで海外で活動していた芸人たちもいたのではという指摘も実に新鮮で面白かった。
いかに日本でまったく知られていないマジシャンたちが、海外で活躍していたかというのもこの書によって明らかになった。
そういった意味ではとても参考になり刺激を受けた本なのだが、なにかスィングさせらさなかったというか、いまいちノリがなかったのは三原のようにサーカス芸人ではなく、マジシャンがその対象になっていたからなのだろうか?
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著者にとってすごいことが、読んでいるマジックに造詣が深くない自分にはピンと来なかったということもあるのかもしれない。

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永田キング

2011-07-29 11:06:41 | お仕事日誌
会社のあるマンションのビル工事がそろそろ終わりに近づいている。業者さんは撤収ムード。
トゥイチーから連絡。姫路でやる桃太郎の構成について。ロシアバーが来ると、いまの構成を若干変えることになる、それに伴いトゥイチーのマジックのネタも変えることになる。それが終わってからでいいかと思ったし、飯田の人形劇フェスが終わらないとその気になれないということもあるので、すぐに取り組めないのでいるが、いずれやらなくてはならないこと。トゥイチーがシナリオをまず書いてくれることになった。
久しぶりに澤田さんのオフィスを訪ねる。先日朝日夕刊に連載された澤田さんの思い出話を見てこれはぜひやりたいと思ったのが、澤田さんの評伝を書くこと。それで書きたいという意思表示をしようということで会っていただいた。評伝についてはどうぞどうぞということで了解をいただいた。長谷川濬の評伝を本にしなければならないのだが、それはそれ。澤田さんの評伝はわりとすぐに書きあげることができるような気がする。
相変わらず精力的に活動をされているのは事務所に貼られている澤田さんについて、あるいは澤田さんが関わったイベントや、澤田さんがダメだしした芸人さんについての新聞記事のコピーの数が証明している。
今日の話しで面白かったのは昔吉本にいた永田キングというアクロバットコメディアン。初めて聞く名前だったが、これはかなり興味深い喜劇人である。
毎回のことだが澤田さんと会って話しをすると、発見がある。いい勉強させてもらった。
17時いったん会社に戻り、17時半に退社。気功へ。
帰りの電車で長谷川伸の戯曲集を読み終える。最後の九十九両という戯曲のエンディングで、思わず涙。



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少しずつ人形劇モードへ

2011-07-28 10:33:59 | お仕事日誌
すごしやすい朝が続く。このくらいだと走っても気持ちがいい。
午前中打ち合わせが終わってから、来週やってくるカザフの人形劇団の作品のDVDをメモをとりながら見る。こうした方かがいいかもよということをメールで送っておく。
このあと彼らが見たいだろうという番組をリストアップしてスケジュールをつくろうとしたのだが途中断念、それにしてもすごい数の公演がある。彼らにとっては参加して演じるのも目的だが、こんな機会はそうないだろうから見るのも仕事のうちということになる。明日にはチケットも押さえないといけないし、スケジュールをつくろう。
18時半渋谷マークシティーのライオンで一杯。一杯というよりはたくさんビールを飲んだ。
帰宅して机を見ると、土蔵基金の振替通知。まもなく100万円突破だ。すごいなあ、みんな力って・・・・
感動してハイボールを3杯飲む。


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落選の弁

2011-07-27 11:03:33 | お仕事日誌
このところ気持ちが落ち着かない日々が続いた。応募していた小学館ノンフィクション大賞の審査が毎年この時期に行われるからである。昨日ネットで見ていたら、すでに審査は22日にあり、見事自分は落選したことを知った。やっぱりなあという思いの方が大きかったが畜生という思いもある。
応募作は「満洲浪漫-長谷川濬の彷徨」。なぜ応募する気になったか。それはこれを本にしましょうと言ってくれていた出版社に逃げられ、昨今の出版事情を考えると、出版してくれるところを探すのはかなり厳しいかなということがあった。いったん書き上げたものを、応募規定の300ページにするために短縮する作業をして、応募した。自分で言うのもなんだが原稿用紙にして100枚分をカットして、絞り上げたことで、さらにいいものになったような気がする。
本にしてもらえばいいということしか考えていなかったので、大賞を狙うというよりは、佳作入賞狙い(佳作でも本になっていた)で応募した。
6月末偶然「週刊ポスト」を買って読んでいたら(年に一度か二度しか買わないのに)、自分の応募した作品が第一次予選を通過した9作品の中に入っていたことを知った。300以上の応募作品の中から9本のうちの一本に入っていたのだから正直嬉しかった。よく見ると、さらにここから5つに絞られ、そのあと審査員たちによって最終審査にかけられるということであった。
予選リーグを突破しても、まだまだ先があるということ知り、やはり厳しいかもという気にはなっていた。
最終予選に残った作品はまた近々「週刊ポスト」で発表されるということであったが、出張とかもあってその結果を知らないまま、昨日の決定を知ったことになる。おそらく自分のは最終審査にかけられる前に振るい落とされたのではないかと思う。それも知らずにずっと落ち着かない日々を送っていたのであれば、ちょっとお馬鹿さんと言われても仕方がない。
どきどきすることが少なくなった昨今、こういう時を過ごせたというのはまあ良かったのかもしれない。いい夢を見せられたと正直思っている。
ただ本にすることはできなかったわけで、これについてはまた振り出しに戻ることになった。急いでいま出さなくてはならないというものではないので、焦る必要はないのだろうが、出してくれる出版社を探すのはしんどい作業になると思う。でもやらないと・・・
当選の弁は、よく新聞にのっているが、落選の弁はなかなか見れるものではない。あのであえてここで発表させてもらった。


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