書名 「長谷川伸全集第16巻 戯曲Ⅱ」
著者 長谷川伸 出版社 朝日新聞社 出版年 1972
「一本刀土俵入」「暗闇の丑松」「雪の渡り鳥」など20篇の戯曲を収めた作品集なのだが、いいんだ、これが。いずれもしがない男たち(旅の人間、職人、芸人なと)が歴史劇の中で偉いことをやるなんていうのではなく、惚れた女のために、あるいは義理をもった人たちのために精一杯生き抜くというのがドラマトゥルギーになっている。舞台も江戸とか大坂ではなく、街道筋の小さな旅籠屋とか、街道筋とかになっている。なんでもないようだが長谷川伸ははっきりと周縁の地で、しがない男たちとしがない女たちが、精一杯愛し合い、信じ合い、そして生きる姿を書こうとしている。殿様のために、藩のために生きる死ぬなんてことではなく、惚れた女、たとえそれが知り合ってから僅かな期間であったとしても、好きな女のために義理をかける、命を賭けるということが、どれだけ美しく見えるか。藤沢周平の小説にはない、底辺で生きる人々の精一杯の生きざまや愛に生きるその姿を徹底的に愛情をこめて描く、そんな視線に、感動する。
自分のゆるい涙腺のためまったく説得力はないのだが、涙があふれてしまうところは、「99両」で大金100両を忘れた坊さんを30年待つ夫婦の話しとか、「明日赤飯」でどうしようもない泥棒に、長屋の人たちが二度と罪を犯さないようにと空の袋にお金を入れていくという下りだった。
それにしてもしがない男と女の話しがほとんどであったが、その一途さの清らかなことよ。
ほんとうにいい本を読んだと思っている。
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著者 長谷川伸 出版社 朝日新聞社 出版年 1972
「一本刀土俵入」「暗闇の丑松」「雪の渡り鳥」など20篇の戯曲を収めた作品集なのだが、いいんだ、これが。いずれもしがない男たち(旅の人間、職人、芸人なと)が歴史劇の中で偉いことをやるなんていうのではなく、惚れた女のために、あるいは義理をもった人たちのために精一杯生き抜くというのがドラマトゥルギーになっている。舞台も江戸とか大坂ではなく、街道筋の小さな旅籠屋とか、街道筋とかになっている。なんでもないようだが長谷川伸ははっきりと周縁の地で、しがない男たちとしがない女たちが、精一杯愛し合い、信じ合い、そして生きる姿を書こうとしている。殿様のために、藩のために生きる死ぬなんてことではなく、惚れた女、たとえそれが知り合ってから僅かな期間であったとしても、好きな女のために義理をかける、命を賭けるということが、どれだけ美しく見えるか。藤沢周平の小説にはない、底辺で生きる人々の精一杯の生きざまや愛に生きるその姿を徹底的に愛情をこめて描く、そんな視線に、感動する。
自分のゆるい涙腺のためまったく説得力はないのだが、涙があふれてしまうところは、「99両」で大金100両を忘れた坊さんを30年待つ夫婦の話しとか、「明日赤飯」でどうしようもない泥棒に、長屋の人たちが二度と罪を犯さないようにと空の袋にお金を入れていくという下りだった。
それにしてもしがない男と女の話しがほとんどであったが、その一途さの清らかなことよ。
ほんとうにいい本を読んだと思っている。
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