書名 「幕末の海防戦略 異国船を隔離せよ」
著者 上白石実 出版社 吉川弘文館 出版年 2011
幕末の海防についての本で、しかもロシア船来航がどれだけ幕府の政策に大きな影響を与えたかということを詳述した本にも関わらず、基本的というかもっとも大事な名前の表記に間違いがあり、その他にも誤解を与える記述があるという、近代稀に見るひどい本だったので、メモとして残しておく。
まずリコルドをニコルドとしていること
レザーノフが連れてきた漂流民を光太夫としていること
著者も著者だが、歴史専門出版社の吉川弘文館ともあるものが、こんな基本的な間違いを校正できなかったというのはいかがなものだろうか。
それと気になったのは、
レザーノフの長崎来航について、ナデジダ号とネヴァ号を率いたレザノフが、長崎に来航したとあるが、これだとネヴァ号も来航したように受けとめられかねないのでは
また梅が崎という土蔵に士官を収容したとあるが、土蔵という表現はいかがなものであろう。中国の荷物を置く倉庫のところにつくった仮家であり、家屋であったはずだ。梅が崎の仮宿舎について土蔵という表現をいままで見たことがない。
とにかくこのようなひどい間違いをしていた本だったので、途中で読むのをやめてしまった。