書名 新版「未刊の旅路」第一巻~第六巻
著者 大塚有章 出版社 三一書房(三一新書) 出版年 1976年
長谷川濬の関係で古本屋で購入してあったもの。著者の大塚有章は、戦前のバリバリの共産党活動家、義兄は河上肇でもある。共産党が警察の弾圧で壊滅状態に追いこめられていた時に、活動資金を得るために大森の銀行を襲撃、大金を得るのに成功はするのだが、いわゆるスパイMらの裏切りにより、密告され、逮捕され、10年以上刑務所に入れられる。出獄したあと満洲に渡り、満映に入社、ここで長谷川と出会うことになる。戦後も中国に残り、毛沢東思想をたたき込まれ、1956年に帰国する。この未完の旅路という書は、生い立ちから中国から帰国するまでを回想した記録である。まさに波瀾の半生に圧倒される。学生の頃読んで感動した荒畑寒村の自叙伝を思い出した。共産主義自体が、すでにいまではないものにも等しいので、ここまで彼がいわゆる主義に殉じている姿は、ピーンとこないところもある。しかし荒畑の自叙伝と同じように、大塚の生きる姿勢にあるピュアーさがビシビシ伝わってくる。昔は、こういう人がいたのだなあとしみじみ思う。
長谷川を書くために読んだ本だったが、読んでよかったと思う。これを執筆中の大塚のもとに長谷川は訪ねている。おそらくここで長谷川は、まっすぐに生きる姿に勇気を得たのではないだろうか。
満足度 4
著者 大塚有章 出版社 三一書房(三一新書) 出版年 1976年
長谷川濬の関係で古本屋で購入してあったもの。著者の大塚有章は、戦前のバリバリの共産党活動家、義兄は河上肇でもある。共産党が警察の弾圧で壊滅状態に追いこめられていた時に、活動資金を得るために大森の銀行を襲撃、大金を得るのに成功はするのだが、いわゆるスパイMらの裏切りにより、密告され、逮捕され、10年以上刑務所に入れられる。出獄したあと満洲に渡り、満映に入社、ここで長谷川と出会うことになる。戦後も中国に残り、毛沢東思想をたたき込まれ、1956年に帰国する。この未完の旅路という書は、生い立ちから中国から帰国するまでを回想した記録である。まさに波瀾の半生に圧倒される。学生の頃読んで感動した荒畑寒村の自叙伝を思い出した。共産主義自体が、すでにいまではないものにも等しいので、ここまで彼がいわゆる主義に殉じている姿は、ピーンとこないところもある。しかし荒畑の自叙伝と同じように、大塚の生きる姿勢にあるピュアーさがビシビシ伝わってくる。昔は、こういう人がいたのだなあとしみじみ思う。
長谷川を書くために読んだ本だったが、読んでよかったと思う。これを執筆中の大塚のもとに長谷川は訪ねている。おそらくここで長谷川は、まっすぐに生きる姿に勇気を得たのではないだろうか。
満足度 4