書名 「〔現代語訳〕榎本武揚シベリア日記」
編注 諏訪部揚子・中村喜和 出版社 平凡社(平凡社ライブラリー) 出版年 2010
榎本武揚のシベリア日記は何冊か持っているし、2~3回読んでいる。ただ本屋さんでこの現代語訳を見て、買おうと思ったのは注が充実していたから。この現代語訳をしたのは榎本のお孫さんにあたられる方。現代語訳になったことで、読みやすくなったのは当然のことなのだが、詳細な注の助けもあって、榎本のこの旅の実相が立体的に捉えることができるようになった。実に徹底した注、見事である。このおかげで初めて榎本の旅が身体に入り込んでくるような気がした。その意味ではありがたい現代語訳版である。シベリアへの思いがまたふくらんでくる。
いくつかの謎もある。なぜ榎本はレザーノフのことを気にしていたのだろう。レザーノフがクラスノヤールスクで亡くなったことを確認、そしてクラスノヤールスクを訪れその記念碑に詣でている。何故なのだろう。そして気になるのはこの前後三日間の日記がないことだ。そういえば誰かのミステリー小説に、榎本のシベリア日記をモチーフに、この日記に隠されていたいくつかの謎を追いかける(現代に)ものがあったが、発想は面白かったが、腰砕けだったなあ。
玉井も榎本も、そして長谷川濬も旅したアムールの船旅にとても惹かれた。榎本と玉井、そして長谷川の視線を交え合わせると面白いものが浮かんできそうな気もする。
いろんな思いを膨らませてくれた本であった。
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