書名 「江戸のノンフィクション」
著者 白石良夫・法月敏彦・渡辺憲司 出版社 東京書籍 1993
このところマイ流行りは、江戸ものである。それも山口昌男の大著「内田魯庵山脈」から連なっている。維新によって周縁に追いやられた江戸の知識人の仕事のユニークさ、深さを認識させられるわけだが、この書で取り上げられているのは、紀行文であったり、伝記であったり、観劇記録だったりするのだが、その豊潤さには驚かされる。巻末についているノンフィクションの文献目録などでそれを展望できるのはありがたい。その意味で江戸の知の全体像を知るための手引き書としては最良の本と言えるのではないだろうか。
ここで取り上げられた「耽奇漫読」などは、いわば珍物カタログなのであるが、それについてそれを持ち寄った知識人たちのコメントのなかに、彼らが単なる好事家ではなく、さまざまな知識や見聞を背景に知の祝祭を演じているような、なんともまぶしくなるような場面が浮かんでくるのである。
著者 白石良夫・法月敏彦・渡辺憲司 出版社 東京書籍 1993
このところマイ流行りは、江戸ものである。それも山口昌男の大著「内田魯庵山脈」から連なっている。維新によって周縁に追いやられた江戸の知識人の仕事のユニークさ、深さを認識させられるわけだが、この書で取り上げられているのは、紀行文であったり、伝記であったり、観劇記録だったりするのだが、その豊潤さには驚かされる。巻末についているノンフィクションの文献目録などでそれを展望できるのはありがたい。その意味で江戸の知の全体像を知るための手引き書としては最良の本と言えるのではないだろうか。
ここで取り上げられた「耽奇漫読」などは、いわば珍物カタログなのであるが、それについてそれを持ち寄った知識人たちのコメントのなかに、彼らが単なる好事家ではなく、さまざまな知識や見聞を背景に知の祝祭を演じているような、なんともまぶしくなるような場面が浮かんでくるのである。