ダンポポの種

備忘録です

小テストの時間

2008年02月24日 12時35分39秒 | 備忘録
西宮で過ごした小学生時代の思い出。

 ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

4年5組の教室では、T先生(担任)の方針だったのか、授業中にしばしば「小テスト」が行われた。

例えば、算数の時間では、ひとつの単元が終わると必ず小テストがあった。
半ペラの白紙が一枚ずつ配られ(これが解答用紙)、そこへ、教科書に載っている練習問題の解答を書いて提出するだけという、簡単な仕様のテストだった。(→教科書と筆記具以外は机の中に片付けた状態で行う。当たり前だが、教科書のページに答えを書き記しておくカンペ作戦は御法度である)

児童全員に半ペラ白紙が行き届いたのを確認すると、T先生は、
「それでは、教科書の○ページを開いてください。そこに、練習問題が五つ書いてありますね。今から、それを全部解いてみてください」
とおっしゃって、小テストが始まるのだった。
要するに、今までの授業中に先生が説明してくださった問題ばかりである。
けれども、私は内容をすっかり忘れてしまっていて、なかなか解けない。「復習」の習慣が身に付いていなかった頃で、私のテスト結果は危うい低空飛行を続けた。
 
T先生は、恐い先生だったけれど、小テストの点数が悪いことについては怒ることはなかった。
しかし、ほどなく、うちの母がこのテストの存在を知るところとなり、こっちに叱られた。

「教科書の練習問題をそのまま解いて、答えを書くんやろ? それは先生が授業で説明された問題やろ? だったら、百点満点が取れて当たり前と違うの? 復習をして行きなさい!」

私の辞書に「復習」という文字が書き足された瞬間だった。
以後、私は、小テストの前日にはその単元の問題をひと通り解いてみて、本番に備えることにした。
効果は絶大で、ほどなく低空域から上昇し、満点を取れるようになった。嬉しかった。

「おおっ! おまえ、がんばるのぉ~」

採点後の解答用紙を返却しながら、先生はおどけた口調でおっしゃった。そして笑った。
恐いはずのT先生が、笑った。



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