ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 週末の興行成績 [1月17日(金)~1月19日(日)]と、人気順位 ►「ジョジョ・ラビット」←へそ曲がりと言われようとナチス映画にはきびしいゾ!

2020-01-21 23:54:34 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸私ヌルボがしばしば参考にしている<キネ旬Review>で、「パラサイト 半地下の家族」に対する3氏の評価は★5、★4、★3と別れました。(→コチラ。)
 ヴィヴィアン佐藤さん以外の藤木TDCさん、真魚八重子さんはわりと辛口。個人的には藤木さんの評に共感しました。

▸昨年は観た本数が多過ぎたとの反省もあり、1月17日公開の気になる3作品「ジョジョ・ラビット」「リチャード・ジュエル」「ラストレター」中、自制して観たのは「ジョジョ・ラビット」だけで、残る2作は後回しにしました。
 なぜ「ジョジョ・ラビット」を優先したかというと、アカデミー賞作品賞候補で、ネット上の評価も高いから。しかし、「パラサイト~」同様に睡眠不足だったこともあって(?)あまり気がのらず。・・・というだけでなく、いろんな疑問がわいてきました。最初のちょっとした違和感は、ドイツ人なのにセリフが英語ということ。まあこれはアメリカ映画の常なのでまあそんなもんですが・・・。(4月公開予定のディズニーの「ムーラン」(実写版)では中国系アメリカ人女優リウ・イーフェイを起用して当然登場する中国人みんな英語ですからねー。) それよりも何よりも、大きな疑問は「ナチス関係の映画がこんなに「軽くて、笑える」ものでいいのか?ということ。そもそも、なんで「軽さ」や「笑い」が必要なのか? 観客の、あるいは作り手の「こうであってほしかった」というイメージを作品化したのでしょうか? しかし、それだと事実を覆い隠すことにならないかな?という懸念が残ります。
 ウィキペディアに<ナチズム・ファシズムの台頭を主題とした映画の一覧>(→コチラ)という項目があります。これまでの数多くの映画作品が挙げられていてますが、私ヌルボも約30本ほど観ています。その中で、とくに心を動かされたのは「黄色い星の子供たち」「サラの鍵」(共に2010.仏)、「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」(2005.独)、あるいは「サウルの息子」(2015.ハンガリー)といったヨーロッパの作品で、その中でもなんらかの形でナチスに加担してしまった側の問題意識が基底にある作品です。その分、観ていて切実さが伝わってきます。
 一方、戦勝国の作品、とくに被害者であるユダヤ人の立場だとナチスは<絶対悪>で、それは間違いないとしても、何がそれを生み出したかまで想像力が働きにくいのかもしれません。つまり「安心して批判できる」っこと?
 <ぴあ映画生活>のクチコミ欄でしばしば見かける<無責任な傍観者>さんと<odyssさん>は、全体的にヌルボよりずっと評価は辛いのですが、共感を覚えるコメントは多く、「ジョジョ・ラビット」についても→「ユダヤ人の洗脳活動」、→「安全な場所でナチ映画を作るな!」と厳しい一文を寄せています。私ヌルボもほぼ同意。また「ハリウッドはユダヤ人に支配されている」という言説の信憑性は措くとしても、アメリカの映画人が真に平和や人権を追求するのなら、もっと視野を広く、また自国(やイスラエル等)の軍事行動についても批判の目を向けてほしいと思います。

▸アカデミー賞の授賞式が2月10日と間近に迫ってきて、「パラサイト~」の件をはじめ関連記事が多くなっていますが、歴代のアカデミー賞作品賞を→コチラ等を見ながら振り返ってみると、「コレは感動した! みんな観てね!」という作品はあまりないんですよねー。むしろ少ないです。とくに近年。多くのファンが楽しむ娯楽性重視で選んでくれた方がいいと思いますが・・・。なお、個人的に一番印象に残っているのは「ウエスト・サイド物語」(1962)かな?

▸都内の主にミニシアターで上映しているマイナーな映画で、ちょっと惹かれる作品はよくあります。そんな時は直接その作品の公式サイトで劇場情報を観ると、かなりの確率で地元・横浜のシネマ・ジャック&ベティが上映予定アリでうれしくなります。目下のところでは
「つつんで、ひらいて」「プリズン・サークル」「彼らは生きていた」等々。もちろんシネマ・ジャック&ベティのサイトで今後の上映予定をまめにチェックしていればいいのですが・・・。

         ★★★ NAVERの人気順位(1月21日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.75(103)
②(1) モンマルトルのパパ(韓国)  9.73(78)
③(4) フォードvsフェラーリ  9.54(7,308)
④(5) 主戦場  9.52(1,332)
⑤(6) ヘロニモ(韓・米)  9.45(233)
⑥(3) 梨泰院[イテウォン](韓国)  9.42(55)
⑦(7) 星の庭園(韓国)  9.41(198)
⑧(新) 神のおかげで  9.41(17)
⑨(10) 2人のローマ教皇  9.39(470)
⑩(9) タバルガと氷姫  9.35(108)

 ⑧「神のおかげで」(仮)が新登場です。司祭による少年への性犯罪を題材にしたフランスのドラマで、フランソワ・オゾン監督の新作です。幸せな家庭を設けたアレクサンドル(メルヴィル・プポー)は、幼年時代、教会で自分を性的虐待したプレナ神父(ベルナール・ヴェルレー)はまだ子供たちを教えているという知らせに大きな衝撃を受けます。アレクサンドルと同じような被害を受けたフランソワ(ドゥニ・メノーシェ)とエマニュエル(スワン・アルロー)は、それ以上の苦痛を防ぐために<ラ・パロール・リベレ(解放された発言)>という団体を結成して、教会にプレナ神父の罷免を要求します。これに対し、教会は時効を理由に犯罪を隠蔽しようとしますが・・・。原題の「Grâceà Dieu」はそのまま訳すと「神のおかげで」ですが、「幸いにして」といった感じの常用句のようです。韓国題は「신의 은총(神の恩寵)」です。事実に基づくこの作品はカトリックの多いフランスでは、元の事件だけでなく、本作品の上映についても裁判沙汰になるほど論議を呼んだそうです。信徒の多い韓国でも関心が高いと思われますが、日本ではどうかな? 日本公開は未定のようです。

     【記者・評論家による順位】

①(新) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(1) アイリッシュマン  9.11(9)
③(2) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(3) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑤(4) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
⑥(5) 象は静かに座っている  7.67(3)
⑦(6) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑧(7) われわれを引き裂くもの(韓国)  7.50(2)
⑨(-) 顔たち(韓国)  7.40(5)
⑩(8) 主戦場  7.33(6)

 ①「燃え立つ若い女性の肖像」が新登場です。この作品については後述します。
 ⑨「顔たち」については→昨年1月30日の記事で紹介しました。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月17日(金)~1月19日(日) ★★★
           動物園コメディ「傷つけない」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(26)・・傷つけない(韓国)・・・・・・・・・・・1/15・・・・・・・・・573,524・・・・・・・813,402 ・・・・・・・・6,902 ・・・・・1,216
2(新)・・バッドボーイズ フォー・ライフ・・1/15 ・・・・289,855・・・・・・・402,589 ・・・・・・・・3,654 ・・・・・・・896
3(1)・・ドクター・ドリトル ・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・271,248 ・・・・・1,454,276 ・・・・・・・12,213 ・・・・・1,081
4(2)・・白頭山(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・97,132 ・・・・・8,200,648 ・・・・・・・69,403 ・・・・・・・621
5(3)・・スター・ウォーズ ・・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・・47,701・・・・・・・485,471 ・・・・・・・・4,513 ・・・・・・・458
       /スカイウォーカーの夜明け
6(4)・・天文:空に問う(韓国) ・・・・・・・12/26 ・・・・・・・・・・34,731・・・・・1,968,709 ・・・・・・・16,302・・・・・・・435
7(48)・・燃え立つ若い女性の肖像・・・・・1/16・・・・・・・・・・23,453・・・・・・・・33,624・・・・・・・・・・289・・・・・・・118
8(5)・・ミッドウェー・・・・・・・・・・・・・・・12/31・・・・・・・・・・21,200・・・・・・・941,075 ・・・・・・・・8,106・・・・・・・279
9(6)・・始動(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/18・・・・・・・・・・17,844 ・・・・・3,308,874 ・・・・・・・28,032・・・・・・・326
10(7)・・アナと雪の女王2 ・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・17,250 ・・・・13,721,192 ・・・・・・114,593・・・・・・・224
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3位の2作品です。
 1位「傷つけない」は、韓国のコメディ。弁護士のテス(アン・ジェホン)に訪れた一生に一度の機会、それは危機の動物園・東山(トンサン)パークを救え! その新しい園長になった彼は、観覧客どころか動物さえない動物園の再生のため従業員たちを動物に偽装させようという奇想天外なプランでした。ホッキョクグマ、ライオン、キリン、ゴリラ、ナマケモノ担当の東山パーク5人衆。無言で遂行は基本。肩こり、筋肉痛等々の苦労が続く中で、のどが渇いたテスはホッキョクグマに扮していることをつい忘れ、観覧客の前でコーラを1口飲んじゃったりします・・・。原題は「해치지않아」です。
 2位「バッドボーイズ フォー・ライフ」は、アメリカの人気アクショクシリーズの第3作なんですが、最初の「バッドボーイズ」が1995年、第2作「バッドボーイズ2バッド」が2003年で、ちょっと以上に間が空きすぎの感あり。性格が正反対の刑事二人組を演じるマーティン・ローレンスとウィル・スミスももう50代。それでも銃撃戦やカーチェイスで大暴れするそうですよ。え、今作で二人組解消って? ・・・日本公開は1月31日なので詳しい内容は省きます。韓国題は「나쁜 녀석들: 포에버(悪いやつら:フォーエバー)」です。
 7位「燃え立つ若い女性の肖像」(仮)は、フランスのドラマ。セリーヌ・シアマ監督が昨年の第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞を受賞した話題作です。舞台は18世紀末のブルターニュ地方。若い女性の画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)は、伯爵家の令嬢エロイーズ(アデル・エネル)の肖像画を描くために派遣されます。エロイーズは修道院を出たばかりで、肖像画は近く結婚するために描かれるのです。ところが彼女自身は結婚を望んでいないため、協力的ではありません。そんな心を閉ざしたミステリアスな彼女を観察するうち、マリアンヌは未知の感情に包まれていきます・・・。韓国題は「타오르는 여인의 초상」です。この作品、上の【記者・評論家による順位】で1位だし、→コチラの記事(ネタバレ注意)では「圧倒的大傑作。人生ベスト。」とまで書かれているのに、日本公開は未定だって???

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(22)・・燃え立つ若い女性の肖像 ・・・・・・・1/16・・・・・・・・23,453・・・・・・・・・33,624 ・・・・・・・・・289 ・・・・・・・・118
2(3)・・パヴァロッティ ・・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・4,276・・・・・・・・・38,122 ・・・・・・・・・307 ・・・・・・・・・42
3(5)・・ロイヤルコーギー ・・・・・・・・・・・・・12/24・・・・・・・・・3,749・・・・・・・・190,037・・・・・・・・1,455 ・・・・・・・・・22
4(新)・・ギャング(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・1/16・・・・・・・・・2,846・・・・・・・・・・3,838 ・・・・・・・・・・15・・・・・・・・・・53
5(1)・・タバルガと氷姫 ・・・・・・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・1,766・・・・・・・・・26,635 ・・・・・・・・・186・・・・・・・・・・37

 4位の「ギャング」が新登場。韓国のアクションです。刑務所を改造して作った国内最悪の高校テフン高校。そして、そこに来た転校生チェ・ジフン(チャ・ジヒョク)。彼の目標はただ一つ、それはここで番長になること。しかし現実はそんなに甘くはない。チャイムが鳴ると売店ではなく地下室に集まっていく生徒たち。そこには毎日密かに彼らだけのバトルが開始されていたのだが・・・。先生はもちろん、生徒たちまで戦いに夢中になる場所。優勝する者だけが番長になれるところ。ここは学校? いや、ファイトクラブだ・・・! 原題は「갱」です。
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