ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[6月3日(金)~5日(日)]

2011-06-08 18:09:58 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 毎週火曜日にupしているこの韓国映画情報ですが、昨日はインターネット接続ができない所(熱海の高台の保養所)にサークル関係の仲間と旅行に出かけたため1日遅れになりました。来る時、大船から合流したH島先輩ニム(님)、私ヌルボに手渡した1枚のメモ。見ると韓国映画のタイトル全12作品が列挙されています。往年の韓国映画ファンの先輩ニム選定のベスト12というわけですね。なかなか興味深いラインナップで、これについては次の記事にします。

 さて6月6日(月)は顕忠日という祝日で、韓国は3連休でした。「独立運動の功労者や戦没者の霊の冥福を祈るとともに、殉国先烈及び戦没 将兵の崇高な護国精神と偉勲を追慕する記念日」です。詳しくは→コチラ
 6月は25日が朝鮮戦争の勃発の日(1950年)だし、軍隊や朝鮮戦争関係のTV番組や新聞の特集が組まれたりしています。昨年公開の「戦火の中へ」「従軍手帳」(1981年)、「南部軍」(1990年)等が6月に公開されているのも、そんな脈絡があると思われます(たぶん)。

    ★★★ Daumの人気順位(6月7日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①召命3:ヒマラヤのシュヴァイツァー(韓国)  9.9(22)
②トゥルー・マッ(味)・ショー (韓国)  9.8(25)
③サニー(韓国)  9.4(2291)
④インサイド・ジョブ  9.3(28)
⑤番人(韓国)  9.2(93)
⑥世界で一番美しい別れ(韓国)  9.1(273)
⑦茂山日記(韓国)  9.0(26)
⑧逮捕王(韓国)  8.9(687)
⑨X-MEN:ファースト・ジェネレーション  8.9(304)
⑩法頂和尚の椅子(韓国)  8.9(21)

 ②と⑨が初登場です。
 ②は非常な高得点です。全州国際映画祭長編コンペ部門で「JIFF観客賞」を受賞したドキュメンタリー。「私はテレビに登場するお店がなぜ美味しくないのかを知っている」という挑発的なナレーションで始まります。
 韓国では、1日515軒のレストランが創業し、474個が廃業するそうです。熾烈なサバイバル・ゲームの中で、テレビのグルメ番組で「美味しい店」として紹介されればあっという間に売り上げ増。そこで食堂とTV関係者との間にウラで金銭(日本円で60~70万円くらい)のやり取りが・・・、という実態を、ドキュメンタリー製作者側が直接食堂を開き、隠しカメラを使うという挑戦的手法で明らかにしていきます。原題「트루맛쇼(トゥルーマッ・ショー)」はもちろん「トゥルーマン・ショー」から。「マッ(맛)」は「味」の意。この映画に関連して、「朝鮮日報」ではコラム「萬物相」等でとりあげ、「中央日報」でも関係記事が掲載されました。
 ⑨は後述。

【専門家による順位】

①トスカーナの贋作  8.3(6)
②Another Year  8.0(6)
③茂山日記(韓国)  7.9(11)
④番人(韓国)  7.6(6)
⑤インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実  7.5(2)
⑤ママ、ゴゴ  7.5(2)
⑦告白(日本)  7.3(9)
⑧Source Code  7.3(6)\t
⑨X-MEN:ファースト・ジェネレーション  7.2(5)
⑩ジェイン・エア  7.2(4)
 
 ⑤「ママ、ゴゴ」、⑨が初登場。
 ⑤「ママ、ゴゴ」はアイスランドのフリドリクソン監督の半自伝的作品です。昨年釜山国際映画祭等に出品。ムンバイ映画祭ではCelebrate Age部門最優秀作品。アカデミー賞外国語映画賞部門にもノミネートされました。一生かけて集めた美術品で家の中を飾るほど芸術に造詣が深い母ゴゴ。そんな教養ある母が突然アルツハイマー病に。映画監督デビューを果たしたばかりの息子は、映画の評価は高いが興行面では失敗して借金に苦しめられます。そんな母と息子をめぐる物語。韓国題は「마마 고고」。「고고」は「ゴーゴー」or「Go! Go!」かと思ったら、母の名前。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月3日(金)~5日(日)] ★★★
         「サニー」が400万人を超える

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・カンフー・パンダ2・・・・・・・・・・・5/26・・・・・・・・・902,158・・・・・・・・・・・・2,911,374・・・・・・・・・884
2・・X-MEN:ファースト・ジェネレーション・6/02・・・642,031・・・・・・・・・・・・・・768,503・・・・・・・・・687
3・・サニー(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・5/04 ・・・・・・・・・391,054・・・・・・・・・・・・4,094,118・・・・・・・・・527
4・・パイレーツ・オブ・カリビアン・・5/19 ・・・・・・・・・245,058・・・・・・・・・・・・2,804,247・・・・・・・・・523
     /生命の泉
5・・ママ(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/02 ・・・・・・・・・・84,251・・・・・・・・・・・・・・127,955・・・・・・・・・339
6・・The Resident ・・・・・・・・・・・・・6/02 ・・・・・・・・・・34,470・・・・・・・・・・・・・・・42,663・・・・・・・・・255
7・・モビー・ディック(韓)・・・・・・・・・6/09・・・・・・・・・・・・5,551・・・・・・・・・・・・・・・11,661・・・・・・・・・・29
8・・ヘッド(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/26・・・・・・・・・・・1,829・・・・・・・・・・・・・・・59,902・・・・・・・・・・93
9・・ごめんね、ありがとう(韓)・・・・・5/26・・・・・・・・・・・1,439 ・・・・・・・・・・・・・・・・6,745・・・・・・・・・・21
10・・コパカバーナ・・・・・・・・・・・・・・5/26・・・・・・・・・・・1,296 ・・・・・・・・・・・・・・・・5,338・・・・・・・・・・・7

 先週に続き「カンフー・パンダ2」がトップ。「サニー」は400万人を超え、「朝鮮名探偵:トリカブトの秘密」の479万人に迫っています。
新登場は2・6・7位の3作品。
 2位、韓国題は原題「X-Men: First Class」そのままで「엑스맨: 퍼스트 클래스」。日本でも6月11日に公開されます。「X-Men」シリーズの第5作? 「悪のミュータント軍団と闘う」ったって、「CIAの依頼を受けて」というアタリがすご~く胡散くさいと思うんだけどなー・・・。
 6位、ヒラリー・スワンク主演のサスペンス。彼氏と別れて1人立ちを決心し、ニューヨークでも有数の眺めのいい家を安く手に入れて引っ越してきたジュリエット。しかし新居の雰囲気は何か変で、毎晩誰かに見られているような感じがする。結局、家にCCTVを・・・、なんて設定、既視感があるぞ・・・。
 7位、1994年11月20日にソウル近郊のパルアム橋で起きた謎の爆発事件を描いた韓国初の陰謀論映画だそうです。事件を追跡していた社会部記者(ファン・ジョンミン)に接触してきた故郷の後輩(チン・グ)は彼に一連の資料を渡し、爆破事故が闇の勢力によって周到に準備されたテロだと告発する。陰謀を企む謎の背後勢力とは・・・?

ソウルで人気を集めた「近代日本が見た西洋」展

2011-06-06 23:51:16 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 今回は、6月2~3日新宿K’s cimemaで観た<真!韓国映画祭2011>中の「小さな池-1950年・ノグンリ虐殺事件-」「坡州 パジュ」「ささやきの夏」「ソウルのバングラデシュ人」の4本について感想を書こうと思っていたのですが、一番厄介な(?)「小さな池」だけで悪戦苦闘。
 先に風呂に入ることにして、湯船に浸かりながら「毎日新聞」夕刊を読んでいたら、1つの記事が目に飛び込んできました。
 見出しは「日本の近代化を韓国で紹介」。記事は→コチラです。
 内容は、18~19世紀、つまり江戸後期の蘭学者や絵師たちがどのように西洋文化を取り入れていったかを示す、神戸市立博物館の所蔵品80点を紹介する「近代日本が見た西洋(근대 일본이 본 서양)」展がソウル大学美術館で4月20日(水)~6月5日(日)開かれた、というもの。
 「毎日」の記事は「5月29日まで」となってますが、これは誤報。好評につき1週間延長されたんですよ。神戸市立博物館のサイトを見ればすぐわかるのに・・・。

 この記事で私ヌルボが注目したのは、同展のため訪韓した神戸市立博物館の展示企画担当部長・岡泰正さんがソウル大での特別講義で、「日本の近代化は、幕府ではなく学者や町民など民間から起きたことを紹介したかった」と展示の趣旨を説明した、という点。
 ヌルボとしても「わが意を得たり」といったところです。しばしば韓国人は(日本人も?)、「武士道が日本の近代化を推進した」と語ったりしていますが、イギリス等と同様やはり成長した商工業者の力ですよ。金の前には身分なんて関係ないし、交通は自由にしてほしいし、通貨や税制等は全国統一にしてほしいし、また金儲けのためには国内外の情報には通じていなくてはならないし等々、これらすべてが近代的な体制の動因となるわけですね。

 この「近代日本が見た西洋」展。韓国KBS1テレビでも金曜の夜(正確には土曜)0:10~1:00にNHKの「日曜美術館」のような「TV美術館」という番組があって、そこでも紹介されたそうです。
     
 【「近代日本が見た西洋」展のポスターは、司馬江漢「異国風景人物図」。】

 見に行った人の反応を韓国サイトでいくつか見てみました。
 その中で注目したのは、<九龍樵夫(구룡초부)>さんという60歳過ぎの男性のブログ。(※日本語自動翻訳→コチラ。)

 「絵はよくわからない」という筆者が感銘を受けたのは、図よりも歴史。開港を前にした日本社会のダイナミズムと日本人の知的好奇心 だった、とのことです。
 彼が40年前に大学に入った時、ある先生は、われわれが(そして中国が)日本より近代化すなわち西欧化が遅れた理由を次のように説明したそうです。
 私たちは、伝統的な文化が優れていて体制が安定していた。それに比べて日本は文化の程度が低く、また、当時体制が崩壊していた。社会が大きく変動し始めた時、ちょうど開港の圧力が来て、変化=西欧化が相対的に容易だったのだ。
 その時はそんなもんかと思った筆者も、よく考えると、日本がわれわれに先んじたのは、せいぜい偶然か僥倖のように聞こえるが、はたしてそうか、という疑問が起こってきたとのことです。
 そして、「そんな重要なことがはたして偶然だったか? どんなに機会に恵まれても、内在的能力がなければ活用できないのでは? われわれは、優れているからそうなって、他人は偶然にそうなったとするなら、それが公平な態度で、合理的な推論か?」と問いかけています。 

 そんな疑問を抱いて展示会を訪れた九龍樵夫さん、「いまさらながら感じたことは、日本の能力は結局並大抵のものではなかったという点だ」と感想を記しています。
 いろんな知識教養をお持ちの方で、以下の具体的な記述も興味深く読みましたが、中でも「日本の実学の伝統は非常に根が深く、広かった」と記しているのは当然の帰結というべきですね。
 「わが国でも実学者が自然科学の研究をしたが、政権から追い出された何人かがしていた研究があるだけで国家的な関心事でもなく、政府の支援は夢見ることもできなかったでしょう」と書かれてますが、これは、たとえば本ブログ2010年8月28日の記事<日韓を分ける24年差の歴史の淵源>で書いたように、1801年の辛酉教難と、その後の丁若鏞(チョン・ヤギョン)の生涯(ドラマ「牧民心書」に描かれた実学者)等を思い浮かべれば、韓国のふつうの高校生にもわかるはず(?)です。

 近年、韓国では民族主義的なイデオロギーに捉われず、歴史をありのままに見ようという動きがさまざまな場面で目立ってきているようです。
 上記の九龍樵夫さんのような感想も、その1つといえるかもしれません。それだけ余裕が出てきたというか、国際的地位も高まったりして自信がついてきたということでしょうか?

 さて、この九龍樵夫さんのブログ記事に、おなじみの「解体新書」の扉絵や写楽の浮世絵の他、精緻な動植物の写生図もあります。
 美術情報専門の<KOREANART21>というサイト内の記事(→日本語自動翻訳)にも平賀源内や司馬江漢などの興味深い絵が掲載されています。
 この美術展、もし近くでやっていればヌルボも行ってみたかったですねー。

コンコンチル(007)パン と キム・ヨナパン と せんだみつおゲーム

2011-06-05 14:01:58 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 Windows Internet Explorer 8以降お気に入りバーというのがあって、よく使うサイトにすぐ接続できるようになっています。私ヌルボの場合は、下のように「KBS able」「KOREA LINKNEWSPAPER」「네이버 사전」と、使用頻度の高い3つを厳選してお気に入りバーに置いています。

     

 本ブログ3月18日の記事で紹介したように、韓国KBSのTVやラジオを視聴するのに一番てっとり早いのが上記の「KBS able」。実時間の約40秒遅れですが、ほとんどそのままパソコンで視聴できます。

 先週の日曜日(5月29日)の夜、KBS2テレビのお笑い番組「ギャグ・コンサート(개그 콘서트)」(21:05~22:25)をちらっと見てみると、数人が「コン!」「コン!」「チル!」「パン!」と叫びながら互いに指さし、あるいは両手を挙げたりしています。

 これだけで「知ってる!」という人はどれくらいいるでしょうか?
 下のCMを思い出した人もいるのでは? 



 アコム・むじんくんで宇宙人がせんだみつおゲームをやってるCMです。※ゲームの説明は→コチラ

 まあ、基本的にこれと同じゲームですね。「コンコンチル(공공칠)」は「007」の韓国語読み。「パン(빵)」は銃の音です。ネット検索をすると、このゲームをやったという日本のブログ記事も少しありました。

 その1つ、<雲のゆくえ>というブログにあった007ゲームのルールをそのままコピペさせていただきます。

 1.最初の人が誰かに向かって「0(コン)」って指差す
 2.指を指された人が誰かに向かって「0(コン)」と指差す 
 3・その人がまた誰かに向かって「7(チル)」と指差す
 4.その人が誰かに向かって「バン!」
 5.バン!とされた人の両隣の人だ「ワッ!」と両手を挙げる。
 6.バン!とされた人がまた「0(コン)」と続ける


 YouTubeで検索すると、若者5人がタラタラとゲーム前の祈り(?)なんかやってるタルいのから、何と水中で4人がやってるのまでありました。


  【ここまで本気で(?)くだらないことをやるのはスゴイ!】

 ところが、2008年以降韓国では「今や007ゲームよりもこっちだ!」と登場したのが「キム・ヨナパン(김연아빵)ゲーム」なんだそうで・・・。



 コチラは「キム(김)!」「ヨン(연)!」「ア(아)!」「パン(빵)!」で、「パン!」とされた人の両隣が「マシッタ(맛있다)!」と両手を挙げます。コチラの「パン(빵)!」は銃声ではなく食べるパン。「マシッタ(맛있다)!」は「美味しい!」です。
 キム・ヨナパンというパンが実際に売り出されたんですよ。その宣伝で作った動画なんですかねー? 本人も出演して盛り上がってますね。
※「キム」「ヨ」「ナ」じゃなくて、「キム(Kim)」「ヨン(yeon)」「ア(a)」です。

 私ヌルボがキャンプとか行って、このテの集団ゲームなんかやったのはいつが最後だったかなー? つい本気になってキンチョーしたりするタイプだから、けっこう疲れるんだよねー・・・。

「007ゲーム」を紹介しているボーイスカウトのサイトがありました。このゲーム、日本起源なのか韓国起源なのかはよくわかりません。

[韓国語]いつも「社会の窓=南大門」と言うとはかぎらない

2011-06-04 16:19:50 | 韓国語あれこれ
 1週間で6本韓国映画を観ました。あ、今日シネマ・ジャックで観た「安重根 伊藤博文を撃つ」は北朝鮮だったです。
 こんなに集中的に観たのは、1994年今は懐かし千石の三百人劇場で<韓国映画の全貌>を集中的に観た時以来かも・・・。いや、1996年の韓国映画祭の方だったか? もう15年たったか・・・(とシミジミ感に浸る私ヌルボ・・・。)
 さて、その6本中4本は、新宿のK'cinemaで上映中の<真!韓国映画祭2011>中の4作品。
 これだけ観ると、同じ予告編も4回観ることになります。
 中でもヌルボの注目は、日本初公開のエチオピア映画という「テザ 慟哭の大地」。内容と予告編は→コチラ。6月18日~渋谷シアター・イメージフォーラムで上映されます。
 そして1980年代前半の韓国映画の佳作「風吹く良き日」「鯨とり ナドヤカンダ」。それぞれK'cinemaで6月18日(土)~、7月9日(土)~と上映されます。私ヌルボは、上記の三百人劇場で観ましたが、また観に行くつもりです。

 この2作の予告編がYouTubeにもありました。皆さん、まあご覧ください。



 さて今回のテーマは、映画の内容についてではなくて、この「風吹く良き日」の予告編の冒頭のシーン。路上で青年トクペ(アン・ソンギ)はすれ違った女性から「社会の窓開いているわよ!」と声をかけられます。これは字幕にでかく出てますね。

 この予告編を2回目に観た後、「社会の窓って、韓国語で何と言ってただろう?」ということが気になって、3回目はちょっと注意して聞いていました。
 すると「アンムン(ammun)」と言っていることがわかりました。「앞 문、つまり「앞(アプ.前)」の「문(ムン.門)」ですね。文全体では「앞 문이 열려 있어,얘(前の門が開いてるよ、あんた)」ってとこでしょうか。

 日本人ならたいていの人はズボンの前のファスナーを「社会の窓」というのは知ってますよね。語源は(今まで知らなかったのですが)1948~60年にNHKラジオで放送されていた「社会の窓」からきているそうです。その番組が「社会の内情を暴きだす」というピッタリの内容(??)だったこともあって・・・。

 韓国語を勉強している人なら、その「社会の窓」のことを韓国では南大門(남대문.ナムデムン)というんだ、という話を聞いたことがあるかもしれません。「南」と「男」はどちらも同じ「남.ナム)」という発音になるところからきた一種の言葉遊びですね。「남대문 열려 있어(南大門が開いてるよ)」というように用います。ヌルボも韓国人の先生(女性)からそう教わったことがあります。(別に実際そうした注意を受けたわけではないです!) 
 また「韓国語 社会の窓」でネット検索すると、多くの韓国語関係ブログでこの「南大門」を紹介しています。

 しかし、ちょっと笑いを含んだような表現はTPOによってはまずいですよね。・・・と思いつつ、この「앞 문」を手掛かりに探すと、<Wow!Korea>のサイト中の<今週の一言 「社会への扉」>という記事が見つかりました。韓国語の先生に尋ねたら「앞 문이 열려 있어요」、サッと耳打ちをする場合は「앞 문, 앞 문!(アンムン、アンムン)」と耳元でささやくだけでOKとのこと。たしかに「日本でも「前開いてますよ」でわかりますね。
 ※実際に恥ずかしい思いをした韓国男性の用例を見つけました。→コチラ

 韓国語学習者にとって、「南大門が開いてますよ」の方が話としてはおもしろいから比較的広く知られているのかもしれません。

 今回の記事はカクチョー高かったなー・・・。

チャミスルのラベルの字を書いたカン・ビョンインというカリグラファー

2011-06-03 23:51:17 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 横浜市立図書館では、「朝鮮日報」を読むことができます。韓国紙ではこれだけ。韓国では最大の発行部数を誇る新聞ですが、保守言論の代表ともいえる新聞で、韓国の左派勢力からの批判もたびたび受けています。ということで、韓国の社会状況を知る上でこれ1紙だけというのは問題があり、個人的にも満足できる物足りませんが、それでも日本全国の公立図書館の状況を考えればずいぶん恵まれていることはたしかです。

 さて、その横浜市立図書館で「朝鮮日報」のまとめ読みをしていて目に止まったのが5月8日の「[Why]カリグラフィー・・・書芸か? 絵か? 2つともだ!」という記事の写真(下)。

    

 一見漢字のように見えますが、左が「봄」(ポム.春)、右が「꽃」(コッ.花)というハングル。どちらの写真も作品をちょん切ってくっつけたという何とも配慮のない載せ方をしたものです。書いた人はカン・ビョンイン(강병인)、彼の肩書はカリグラファー(calligrapher)です。

 記事の内容は、→コチラで読むことができます。
 (→日本語自動翻訳。ただし「カリグラフィー」が「カリフォルニアグラフィッカー」なんてヘンな訳になっています。)

 私ヌルボ、本ブログ2010年7月31日の記事<アートとしてのハングル 書家・韓泰相の試み>でこの分野に関して書いて以来この分野に関心をもってきたこともあって、この新聞記事に注目したというわけです。

 「朝鮮日報」の記事によると、4月21日からソウル嘉会洞カフェギャラリーで開かれたカン・ビョンインの個展は開幕2週で観客1000人を超えるほどの盛況とのこと。昨年はニューヨークで個展を開いた彼の作品は、最高価は300万ウォン程度だそうです。

 このカン・ビョンインさんは、あのおなじみの韓国焼酎チャミスルのラベルの字(下写真参照)を書いた人だそうです。ただ韓国ではカリグラフィーに対する認識が低く、チャミスルの場合も売れる量に見合うだけのものは得ていないとか。そこで2007年に設立された韓国カリグラフィーデザイン協会ではそんな認識を変えるためのセミナー等を続けて開く計画とのことです。
※別サイトのカン・ビョンインさんへのインタビュー記事によると、最初に真露に送った試案だけでも100~200枚くらいにはなったそうです。

     

 現在、カリグラファーたちは純粋芸術と商業カリグラフィーを同時に創作する場合がほとんどで、最近は大部分の映画ドラマのタイトル、本の題字、食品包装紙の字がこのようなカリグラファーたちによって創作されています。

 2007年1月の「朝鮮日報」には「手書きの題字がベストセラーをつくる」という記事がありました。それによると、2006年5月発行の朴婉緒の小説「その多かったスイバは誰が全部食べたのだろうか」をカリグラフィーに代えて若い読者を多く獲得できたと評価され、また同じ頃に刊行されたウェイン・ダイアー著「幸福な利己主義者」の場合は、カリグラフィーだけで表紙を構成して一気にベストセラー入りさせました。その後者のカリグラフィーを担当してブームに火をつけたのがカン・ビョンインさんなんですね。以後本の題字は半数近く(?)はカリグラフィーになっているようで、出版界では、カリグラフィーの専門作家は20人程度になるそうです。

   
  【ウェイン・ダイアー「幸福な利己主義者」(左)。金大中「学び」(右)の題字もカン・ビョンインによる。】
 またカン・ビョンインさんは2007年ハンナラ党の大統領候補予備選挙の際、李明博の「열심히 일하겠스니다 이명박(熱心に働きます 李明博)」というスローガン()も書いたそうです

    

 さらに<TYPOGRAPHY SEOUL>というサイトの記事で、彼はカリグラフィーの専門家になったきっかけを次のように記しています。

 小学校の時の書芸クラブの先生の勧めで始めて以来、今まで一度も離れたことがない書芸は私の運命であり、必然なのかもしれない。筆による文字の創作は、生のための勇気そして夢になってくれた。
 1990年代、編集会社・広告代理店に勤務していた頃、日本に行ったことがあるのだが、すでにすべてのデザインにカリグラフィーが用いられているのを観て、同じ筆墨文化をもっているわれわれがなぜこの分野で後れをとっているのかという疑問を消すことができなかった。その後広告のコピーや商品のタイトルなどに筆で書いた字を適用してみた結果、意外にも反応が良くて本格的にカリグラフィーの道に入った・・・。


 日本のことはよく知りませんでしたが、韓国より進んでいたということですか。
 google窓に강병인をそのままコピペして画像検索すると彼の作品がいろいろ現れます。
 ヌルボ自身昨年の記事で「元来幾何図形的なハングルは、より美術との親近性が強いと言えるかもしれません」と書きましたが、今回の「朝鮮日報」の記事も見出しからして同様の感覚ですね。
 そしてヌルボが内心ふと思ったことは、「芸術性と商業性は重なるものか、それとも相容れないものか?」という疑問。以前谷川俊太郎による日本生命のCM(「愛情をお金であがなうことはできません。けれどお金に愛情をこめることはできます。・・・」)を聴いた時にも抱いた疑問ですが・・・。(美術と文学の違いはありますが。)
 うーむ、むずかしいですね。・・・とチンプな結論というか、逃げ。(汗)
 ただ、「芸術性と大衆性の調和が文字の命」という彼の言葉は作品を見るとうなずけます。彼自身、書芸家ではなく「カリグラファー」を肩書にしているのは、デザイン畑出身だからというだけではないでしょう。

※チャミスルのライバル、チョウムチョロム(下写真)のラベルの字は、聖公会大学シン・ヨンボク教授がロッテ酒類から1億ウォンもらって書いたものです。シン教授はこれをまるごと大学に奨学金基金として寄付したそうです。彼は1968年に統一革命党事件で拘束され、無期懲役を言い渡されて1988年に特別仮釈放で出所するまで20年間も収監されていたことで知られる進歩的学者です。最近は映画「黄真伊(ファン・ジニ)のポスターの字を書いて話題になったそうです。
[2017年7月1日の追記]シン・ヨンボク教授は2016年1月15日死去しました。

     
  【上のチャミスルの字と比べて、どうですか?】

カン・ビョンインさんと日本の書芸家・平野壮弦さんの合同展が昨秋「2010仁川国際デザインフェア」の中で開かれたという記事がありました。平野壮弦さんについてヌルボは知りませんでしたが、書道芸術界での見方はどのようなものなのでしょうか?

韓国作家・林哲佑(イム・チョルウ)等と、東アジア文学フォーラムのことなど

2011-06-02 20:00:31 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 「毎日新聞」に連載中の新世紀 世界文学ナビ 韓国編。9回目は林哲佑(임철우.イム・チョルウ)でした。
 記事の内容は→コチラ

 先週の本ブログの掲載作家予想はみごとに外れましたね。男性という点だけ合ってましたが。
 外れた理由その1は、林哲佑氏が1954年生まれという年配であること。その2は、彼が「붉은 방(赤い部屋)」で李箱文学賞を受賞したのも1988年で、もう20年以上も経っていること。その3は、(アトヅケの理由ですが)、記事にあるように、1980年光州事件の時にその真っ只中の全南大学の学生だったということもあって、今は退潮傾向にある政治的なテーマがその作品の基調となっている点もちょっとどうかな、という感じ・・・。

 しかし、逆に言えば、10人orそれ以上選ぶとなると、こういう作風の作家も入れるのがバランス感覚というものかも。

 「年配」と書きましたが、林哲佑さんは国境を越えた交流に積極的で、後輩作家に混じってソウル&春川で開かれた<韓日中・東アジア文学フォーラム2008>、北九州で開かれた<日中韓・東アジア文学フォーラム2010>にも参加しています。(金愛蘭さん、金衍洙さん、殷煕耕さんも。)
 記事中で紹介されている「直線と毒ガス」もその東アジア文学フォーラム日本委員会編の「いまは静かな時 韓国現代文学選集」に収められています。(各作品ごとの分冊も出ています。)

 「毎日新聞」のこのシリーズのナビゲーターきむふな(金壎我.김훈아)さんは、東アジア文学フォーラム以前に、90年代から日韓の文学と作家交流に関わっている方です。韓国の誠信女子大学大学院修了後、島根県に国際交流員として勤務していた時、1995年第3回日韓文学シンポジウムが松江で開かれた際に通訳を担当したことが契機となって上京し、大学院で日本文学を学び直し博士号も取得して、日韓両国の小説の翻訳の他、作家の交流にも継続して関わってこられました。
 ・・・ということで、当然多くの韓国作家と面識がおありなんですね。したがって、このシリーズで誰を取り上げるか、作品「以外」の要素でいろいろ難しい点もあるのかもしれません(?)。
 私ヌルボ、キリのいいところで10回まで続けるのかな、と何となく思ってましたが、この際もっと続けて、心おきなく大勢の韓国作家を紹介してくれることを期待しましょう。

参考①<日中韓・東アジア文学フォーラム2010>を聞きに行った方の感想→コチラ
参考②日韓文学シンポジウム等について記した鈴木雄雅さんの論文→コチラ
参考③2000年青森市で開かれた日韓文学シンポジウムに参加した作家・星野智幸氏の感想→コチラ

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[5月27日(金)~29日(日)]

2011-06-01 11:09:46 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨日(5月31日)、懸案だった金綺泳(キム・ギヨン)監督「下女」(1960)を観に行ってきました。アテネ・フランセ、知ってはいましたが行ったのは初めて。学生時代、仲間で日仏学院との比較論が話題になった時、いつもは無口な男が「アテネ・フランセはよくないよ」と発言。「なんで?」と皆が注目すると、彼いわく「当てねーんだよ」。こんな40年前のダジャレをなぜ憶えてるんでしょうね?
 さて、その「下女」ですが、まあなんともうねうねぐじやぐじゃした話で・・・。(かなり細かく筋を書いたブログがありましたが、あえて紹介しません。)解説に<「韓流」のひとつの頂点>とあるのがうなづけます。ところが私ヌルボ、前夜ほとんど寝てなかったためで数回(?)眠りに落ち込んでしまったのが返す返すも残念。たしかに韓国映画史の上の名作かどうかは別として注目作であることはたしか。ぜひ観たい方はDVDでどうぞ。ネット通販でありますよ(3000年くらい)。
 ※「下女」のリメイク版の方は「ハウスメイド」の邦題で8月にTOHOシネマズ シャンテ、新宿ミラノ等で公開されます。公式サイトは→コチラ

      
      【子役時代のアン・ソンギ(「下女」(1960)より)】

    ★★★ Daumの人気順位(5月31日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①召命3:ヒマラヤのシュヴァイツァー(韓国)  9.9(22)
②サニー(韓国)  9.4(1996)
③クレヨンしんちゃん  9.3(72)
    超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁(日本)
④番人(韓国)  9.3(79)
⑤世界で一番美しい別れ(韓国)  9.1(256)
⑥茂山日記(韓国)  9.0(25)
⑦鞭(むち)(韓国)  8.9(183)
⑧逮捕王(韓国)  8.9(686)
⑨法頂和尚の椅子(韓国)  8.9(21)
⑩カンフー・パンダ2  8.8(244)

 「なくな、トンズ」と「あなたを愛しています」という超高得点(9.6)2作品が消え、⑨⑩と下に2つ初登場。
 ⑨は、山の中の小さな庵で一人で生き、無所有の生活を実践した僧侶・法頂。昨年亡くなった時には韓国の多くの人に衝撃を与えました。彼の出家から入寂までのドキュメンタリーです。原題は「법정스님의 의자」。
 ⑩は後述。

【専門家による順位】

①トスカーナの贋作  8.3(6)
②Another Year  8.0(6)
③茂山日記  7.9(11)
④番人(韓国)  7.6(6)
⑤インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実  7.5(2)
⑥告白(日本)  7.3(9)
⑦Source Code  7.3(6)
⑧ジェイン・エア  7.2(4)
⑨コパカバーナ  7.0(6)
⑩五月愛(韓国)  7.0(3)
 
 こちらも⑨と⑩が新登場。
 ⑨はイザベル・ユペールが娘のロリータ・シャマと母娘役で共演したフランス映画。懸命に働き、愛する人と結婚して安定した生活を送りたい娘は、お母さんが恥ずかしいと言って自分の結婚式にも招待しないと宣言。衝撃を受けた母はちゃんとした母になろうと新しい生活に挑戦するが・・・。
 ⑩は、1980年5月18日の光州事件に遭遇した一般庶民の証言を集めたドキュメンタリー。原題は「오월愛」。詳細は→コチラのサイトで。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月27日(金)~29日(日)] ★★★
         「カンフー・パンダ2」、初登場で圧倒的トップに!

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・カンフー・パンダ2・・・・・・・・・・・5/26・・・・・・・1,538,551・・・・・・・・・・・・1,669,051・・・・・・・1,043
2・・パイレーツ・オブ・カリビアン・・5/19 ・・・・・・・・585,994・・・・・・・・・・・・2,388,544・・・・・・・・・768
     /生命の泉
3・・サニー(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・464,678・・・・・・・・・・・・3,423,318・・・・・・・・・564
4・・ヘッド(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・5/26・・・・・・・・・・34,038・・・・・・・・・・・・・・・42,915・・・・・・・・・230
5・・三国志:名将関羽・・・・・・・・・・5/19・・・・・・・・・・16,435・・・・・・・・・・・・・・115,821・・・・・・・・・180
6・・Source Code・・・・・・・・・・・・・5/04 ・・・・・・・・・・14,129・・・・・・・・・・・・1,277,523・・・・・・・・・176
7・・逮捕王(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・・12,589・・・・・・・・・・・・・・869,068・・・・・・・・・129
8・・ママ(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/02 ・・・・・・・・・・・8,710・・・・・・・・・・・・・・・17,379・・・・・・・・・・54
9・・鞭(むち)(韓)・・・・・・・・・・・・・・・5/19・・・・・・・・・・・6,990 ・・・・・・・・・・・・・・・69,624 ・・・・・・・・106
10・・ごめんね、ありがとう(韓)・・・5/26・・・・・・・・・・・2,576 ・・・・・・・・・・・・・・・・3,853・・・・・・・・・・19

 先週の「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」に続き、今週は「カンフー・パンダ2」が初登場で軽く100万人突破の1位。
 それにしても、数字を見ると「カンフー・パンダ2」の大勝の他は「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」と「サニー」の2つが堂々の勝ち組で、あとは軒並み惨敗。
 その「サニー」は「封切り24日目に300万人突破」とのニュース報道がありました。「朝鮮名探偵:トリカブトの秘密」(479万人)に続き、今のところ今年2番目の数字です。
 新登場は1・4・8・10位の4作品。
 1位、2008年公開の前作はなかなか好評だったようですね。ヌルボは「よくある(陳腐な)設定だな」と思って観てませんが・・・。韓国題は「쿵푸팬더2」、「クンプンペンド」ねー。日本公開は8月19日。
 4位、幹細胞の世界的な博士が自殺して彼の頭が消える事件が発生する。この奇想天外な事件に巻き込まれた弟を救うため熱血社会部記者の姉が博士の頭をめぐる背後勢力挑む・・・、というアクション・コメディ。韓国題「헤드」。
 8位、仇敵のようなママ、分別がないママ、私がいなければ生きられないママなど、理由は違っても世の中に1人だけの母と私の物語を描いた映画。幼い息子を育てる、不治の病にかかった女性(オム・ジョンファ)、ことあるごとに娘と対立するソプラノ歌手(チョン・スギョン)、がんを患いながらも初恋の相手を探すと意地を張る年老いた母親(キム・ヘスク)と3人の母親が登場し、それぞれの物語が展開される。
 10位、ペットと捨て野良猫や野良犬などの廃棄動物問題が社会的に話題になっている今、動物に対する人々の認識を変えようと製作されたオムニバス映画、だそうです。