ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国の食文化についての雑考

2011-06-26 22:26:36 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
▼1980~90年東京の食糧学院の学生約300名対象のアンケート。全員がキムチを食べたことがあると答えたが、キムチが朝鮮語だと知っている学生はきわめて少なかった。初期の頃には10%を超える学生が知っていたが、徐々に少なくなり、終わりの頃になると2~3%にもならなかった。つまり300名中に7~8名という結果である。(鄭大聲「朝鮮半島の食と酒」(1998年.中公新書))。
ホンマかいな、この数字!?

▼最近、さる高校の先生がラムサール条約の説明で
「湿地が云々」と教えてたら、あとで1生徒が「シッチって何ですか?」と訊いてきたとか。また「租税は昔穀物で納めさせた」ことを理解させようと「木ヘンは植物関係、サンズイは水関係というのは小学生でも知ってるだろうが、禾ヘンはどんな意味があるか、いくつか例をあげて考えてみよう」と言ったところ、1生徒がその前半部分を聞きながら「知らなかった・・・」とつぶやいていたとか・・・。上述のアンケートも、対象者がどんな人たちかによって結果が大きく変わってくるのでは?

▼最近<韓国語食の大辞典>というすごいサイトを発見! 韓国料理、食材、食器等々の用語を分野ごとにカナダラ順に網羅。「魚介類、海藻類」だけでも446語も! なかでも<味覚表現>は貴重간간하다(塩味がきいて口当たりがよい)・감칠맛(食欲をそそる味)・개운하다(さっぱりしている)以下全113語。誰が作成したサイトかと思ったらコリアンフードコラムニスト八田靖史さんだった。ブログの<韓食日記>の方は以前から愛読してましたが・・・。

▼「週刊金曜日」6月24日号。四方田犬彦先生が「レヴィ・ストロースの遺著は日本論」と題した一文を寄せています。5月にパリで開かれたその2冊遺書の刊行記念シンポジウムで、「ひときわ興味深かった」と紹介しているのが、川田順造さんの講演。レヴィ・ストロースの訪日時の思い出話だが、川田さんがドジョウ鍋やコイの洗い等の「癖玉」を次々と投げても平然としていたというレヴィ・ストロース先生、コノワタはどうだと出してみたが、これも「おいしい」といって箸を進めていたとか。

▼そのレヴィ・ストロース先生が後になって告白したのは、どうしても桜肉、つまり馬肉の刺身だけは食べられなかったという事実。「なぜか」と四方田先生の考察。「それはヨーロッパにおいて馬が置かれている文化的位置に関わっている。ここから味覚とは自然のものではなく、文化によって形成されるという真理が浮かび上がる。」 ・・・ま、当たり前といえば当たり前のことですけどねー。ポシンタン(犬鍋)しかり、ポンデギしかり、ケブル(ユムシ)コムジャンオ(ヌタウナギ)に・・・。これらに顔をしかめる日本人(&多くの非韓国人)も、忌避の感情は文化的背景が違うからであって、決して韓国人の嗜好が異常なのではない、ということです、はあ・・・。

▼レヴィ・ストロース先生の遺著の中に四方田先生が見つけたという一節。20世紀初頭の柳宗悦による朝鮮陶磁器の発見は、ピカソの世代がアフリカの彫刻に驚いたのと同時代の現象だ。四方田先生は「わたしはそれだけで新しい思考のヒントを与えられた気になった」とのこと。・・・たしかにおもしろいが、ピカソの発見と柳宗悦の発見がどれほど重なるのかはビミョーだとヌルボは思うが・・・。
コメント (4)
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