ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[6月24日(金)~26日(日)]

2011-06-28 16:14:19 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 いつの間にか正月から半年経過。明後日で今年の前半も終わり。
 何十年か前に読んだ筒井康隆の短編「急流」は時間の進み方が加速度的に早くなる話で、「朝便所に入って出てくるともう夜になっている」等々の末、最後は「2001年から先に、時間はなかった。そこでは時間が滝になって、どうどうと流れ落ちていたのである。」 読んだ当時はハハハと笑っていたのが、今はほとんどリアルな感覚。2001年もとっくに過ぎているし・・・。

 今年上半期でこれまで観た映画の本数は41本。昨年は1年間で60本だから久々に年間3ケタペース。しかし観ようと思って観てないのもいくつか。「マイ・バック・ページ」はいつでも観られると油断したなー。先週金曜の109シネマズMM横浜の最終日は、同じく最終日の「未来の記憶」(atシネマ・ベティ)を優先しちゃったからねー。それはそれで正解だったですが・・・。「見えないほどの遠くの空を」同様、作り手の意欲が感じられる作品で・・・。「見えないほどの・・・」はヌルボが行った翌日に寺脇研さんが観にいったんですねー。「原作、脚本、初監督の榎本憲男さんとは長らくの知り合いだが、今の若者の気分を反映したこんな若々しい映画を作るとは」との感想。
 その寺脇さんのTwitterで済州島四・三事件を扱ったマダン劇「碧に咲く母の花」のことを知りましたが、新宿タイニイアリスの公演は一昨日終わってました。映画鑑賞が増えた分、読書が減ってるし、うー、分身の術を使いたい! ヌルボ№1~№5くらい。ヒマな時には集まって麻雀するとか・・・(笑)。互いの考えてることがわかってゲームにならない?
 あ、ちなみに上半期でとくに印象に残った作品を観た順にあげると、「彼と私の漂流日記」「愛する人」「阪急電車」「昼間から呑む」「下女(1960)」「波瀾万丈」「テザ 慟哭の大地」「未来の記憶」といったところです。ベスト1は「テザ 慟哭の大地」ですね。時代に翻弄されつつも理想を失わず勁(つよ)く主人公。視野の広さ、思索の深さを感じさせます。(佐藤忠男先生による「テザ」についてのコメントは→コチラ)

    ★★★ Daumの人気順位(6月28日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①トゥルー・マッ(味)・ショー (韓国)  9.7(72)
②インサイド・ジョブ  9.4(36)
③サニー(韓国)  9.3(2760)
④未来を生きる君たちへ  9.1(33)
⑤五月愛  8.9(20)
⑥X-MEN:ファースト・ジェネレーション  8.9(676)
⑦法頂和尚の椅子(韓国)  8.8(22)
⑧ごめんね、ありがとう(韓国)  8.8(43)
⑨コパカバーナ  8.7(30)
⑩カンフー・パンダ2  8.7(657)

 新登場は④だけ。今年のオスカーでの最優秀外国語映画賞を見事受賞したデンマーク映画。日本では8月13日公開ということで、ぼちぼち関係サイトで情報が出ています。アフリカの難民キャンプで働く医師の苦悩、デンマークで暮らす彼の息子はいじめの問題に直面したり、・・・と、暴力と復讐をテーマにした作品のようです。英語題は「In A Better World」で韓国題は「인 어 베러 월드(イノベロウォルドゥ)」。

【専門家による順位】

①トスカーナの贋作  8.3(6)
②イリュージョニスト  8.0(6)
②Another Year  8.0(6)
④茂山日記(韓国)  7.9(11)
⑤インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実  7.5(2)
⑥告白(日本)  7.3(9)
⑦SUPER8/スーパーエイト  7.3(6)
⑦X-MEN:ファースト・ジェネレーション  7.3(6)
⑨ママ、ゴゴ  7.3(3)
⑩コパカバーナ  7.0(6)
 
 今回は新登場はありません。
 日本と比べると、韓国ではネチズンも専門家も、「インサイド・ジョブ」の評価が高いですね。ヌルボも観ましたが、とくに意外な事実はなし。ただリーマン危機招来の責任者連中がこんなにオバマ政権の下で復活してきてるとは思いませんでしたが・・・。日本人が鈍感というか、最初からあきらめてるのか・・・。政治家・金融界・学者のワルい人たち、そう思って見るからか、いかにもってご面相だが、多くの有権者市民の皆さんには必ずしもそう映らないのかな? (思い起こせば日本でも90年代規制緩和の大合唱の頃、NHKの番組でほとんど孤軍奮闘の内橋克人先生がやっぱり正しいと思ったヌルボは少数派だったなー・・・。)

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月24日(金)~26日(日)] ★★★
         「サニー」が驚異の返り咲きトップ!

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・サニー(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・5/04 ・・・・・・・・・328,955・・・・・・・・・・・・5,727,295・・・・・・・・・462
2・・カンフー・パンダ2・・・・・・・・・・・5/26 ・・・・・・・・・240,472・・・・・・・・・・・・4,829,467・・・・・・・・・491
3・・豊山(プンサン)犬(韓)・・・・・・・6/23・・・・・・・・・・239,729 ・・・・・・・・・・・・・262,200・・・・・・・・・371
4・・X-MEN:ファースト・ジェネレーション・6/02 ・・・228,819・・・・・・・・・・・・2,335,817・・・・・・・・・415
5・・ホワイト 呪いのメロディー(韓)・・6/09・・・・・・・・98,760・・・・・・・・・・・・・・614,314・・・・・・・・・321
6・・SUPER8/スーパーエイト ・・・6/16・・・・・・・・・・・86,831 ・・・・・・・・・・・・・440,118・・・・・・・・・373
7・・リンカーン弁護士 ・・・・・・・・・・6/16・・・・・・・・・・・85,259・・・・・・・・・・・・・・259,041・・・・・・・・・281
8・・レジェンド・オブ・フィスト・・・・・・6/23・・・・・・・・・・・68,188・・・・・・・・・・・・・・・90,113・・・・・・・・・280
怒りの鉄拳
9・・グリーンランタン:・・・・・・・・・・・・6/16・・・・・・・・・・・26,197・・・・・・・・・・・・・・207,612・・・・・・・・・250
    指輪の選択
10・・大切な日の夢(韓) ・・・・・・・・・6/23・・・・・・・・・・・18,617・・・・・・・・・・・・・・・23,417・・・・・・・・・164
                               ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による

 「サニー」はなんと6週間ぶりにトップに返り咲き! 先週から約3万人増というのも驚き! 来週は600万人にとどきそうです。
 新登場は3・8・10位の3作品です。
 3位、キム・ギトク監督3年ぶりの新作。ソウルから平壌まで何でも3時間で配達する男に、北から亡命する高位層幹部の女を配達しろとのミッションが・・・。「豊山犬」は男のニックネームで、北朝鮮に「豊山犬」というタバコがあるという事実を聞いて監督がつけた題名とのこと。本来的には北朝鮮産の名犬。原題は「풍산개」。オダギリジョーが「北朝鮮軍1」として出演とか。
 8位、ドニー・イェン主演の香港製カンフー・アクション。1925年日本をはじめ各国の思惑が入り乱れ、不穏な空気が漂う上海・・・、という時代設定で、昨年の尖閣問題の関係で日本での公開についてはいろいろあった、のかな? しかし9月に武蔵野館等で公開決定。韓国題は「정무문:100대 1의 전설(精武門:100対1の伝説)」。原題は「精武風雲:陳真」。
 10位、企画から11年もかかったという韓国アニメ。韓国初の宇宙飛行士を夢見る少年と、陸上部員の少女の物語だそうです。さるブログでは、実際に観て、「韓国らしいですね。絵が全然、可愛くないあたりが。。。汗;」と記してますが、可愛すぎない方がリアルな感じでいいと思いますよ。予告動画は→コチラ

      
  【ジブリに似てる、なんて言わないでネ。とりあえず観てみたい。】
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[韓国語] 小説「アンニョン、エレナ」と、映画「あなたの初恋探します」の<アンニョン>の訳しかた

2011-06-28 12:20:09 | 韓国語あれこれ
 今年2月1日、韓国文化院のサイトで、韓国文学翻訳院主催の「第10回韓国文学翻訳新人賞 公募」のニュースが載せられていました。
 女性作家金仁淑(キム・インスク)の短編集「アンニョン、エレナ(안녕,엘레나)」中の表題作「アンニョン、エレナ」が日本語部門の課題作品で、私ヌルボ、「当選作品:賞杯、及び賞金五百万ウォン」とあるのを見て、「おっ、応募してみるかな」と思い、購入してなんとか読破。しかし時すでに締切4月11日間近。忙しい時期と重なったし、結局無理と判断。(なんちゃって、実はそれ以前に能力不足という致命的問題が・・・ (汗笑)。)

        

 その後6月3日、その選考結果発表&講評が韓国文学翻訳院のホームページに載っていたので一応目を通しました。

 日本語部門は応募総数85編で7ヵ国中最多。どんな方が審査を担当されているのかと見れば、アラ、あの朴裕河先生(世宗大教授)でないの! そして藤原書店の編集者西泰志氏。

 選評中、ヌルボが注目したのは次の指摘です。
 「表題に用いられている「アンニョン」という単語が作品の中で出会いと別れをともに意味していることも勘案して、そんな部分に対する理解がなされているかも参考にした。」
 そこで最終候補に残った3編の表題を見ると、1つ目は「エレナへの挨拶」。「作品には深い理解を見せているものの、「小説の表題であることを無視した残念な翻訳」との厳しい評です。2つ目の表題は「アンニョン、エレナ」。「誤訳がほとんどなかったが、日本語の助詞や語尾が不自然な点が目についた」とされ2位。上記2編はともに韓国人の方の翻訳。そして当選作は古川綾子さん(漢字は推定)の「さよなら、エレナ」。「表題の翻訳に問題はなくはないが、苦心して直訳を避けた優れた翻訳」として高く評価されました。

 つまり、韓国語の入門者でも知っている「アンニョン」を日本語でどう訳すか? 「こんにちは」でも「さようなら」でもダメな場合もある、ということですね。

 さて、ここで私ヌルボが昨日観た韓国映画「あなたの初恋探します」。十分楽しめましたね。実はそれほど期待していなかったから、その分よけいに(笑)。
 それはそれとして、ラスト近くで「アンニョン、アンニョン、アンニョン」と3回繰り返される場面がありました。で、ヌルボが「あれっ?」と思ったのが(いつもの)根本理恵さんの字幕。順番に「こんにちは」「こんにちは」「さようなら」となっていました。このセリフには伏線もあり、重要なシーンなのでネタバレは避けますが、ヌルボは(理屈っぽく解釈すれば)「サヨナラ、<サヨナラ>(に対して)。(そして)こんにちは!」と思ったのです。少なくとも、3つ目の「アンニョン」は「こんにちは」じゃないとまずいのでは?

 根本さんは絶対的な確信がおありだったのか? もしヌルボが字幕翻訳者だったらどうするか、と考えた結論は、「直接監督に訊く」ですね。逃げじゃなくて常識かも・・・。ということは、根本さんもそうした結果だったんですか?
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