ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [2月24日(金)~2月26日(日)]

2017-03-01 15:28:29 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 2月28日夜神保町のチェッコリに行って昨年12月刊行された趙世熙(チョ・セヒ)の小説『こびとが打ち上げた小さなボール』の翻訳者・斎藤真理子さんのお話を聞いてきました。
 その映画化作品が「小さなボール」(1981)で、そのことについて書き始めたら長くなりそうなので次の記事にまとめることにしました。

 2月27日に観た話題の(?)「バンコクナイツ」。「週刊文春」の★2つも★5つもうなずけます。毎日新聞の→<シネマの週末>で「粗削りながら骨太の力作」とあるのは言い得ていると思いました。
 24日に観た韓国映画「戦場のメロディー」(原題:オッパセンガク)は意外に(?)良かった。韓国ネチズンの高評価もわかる一方、評論家たちの「新派(シンパ)だ」(=お涙頂戴映画)という見方もわかりますが・・・。

 3月に入って期待の韓国映画目白押し(前週の記事参照)。しかし当初行くつもりじゃなかった<大阪アジアン映画祭>(→公式サイト)を観に行くことにしちゃったし、キネカ大森で佐藤忠男先生が高ポイントつけた「みかんの丘」と「とうもろこしの島」の2本立て(3月3日まで)をやってるのも気になるし、うーむ、時間が足らんゾ!

         ★★★ NAVERの人気順位(2月28日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) Le Tour:私の生涯最高の49日(韓国)  9.52(309)
②(2) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.45(203)
③(-) ハクソー・リッジ  9.33(1,295)
④(4) ウィークエンド(韓国)  9.33(153)
⑤(6) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.25(1,333)
⑥(-) 影たちの島(韓国)  9.23(99)
⑦(-) 龍を探して  9.16(25)
⑧(9) モアナと伝説の海  9.14(9,779)
⑨(8) LION/ライオン ~25年目のただいま~  9.14(518)
⑩(-) 「ボブという名のストリート・キャット  9.14(380)

 今回の新登場は③と⑦の2作品です。
 ③「ハクソー・リッジ」については後述します。
 ⑦「龍を探して」は、中国のアニメ。人々を守護する十二支の動物のうち、ある日龍が突然消えてしまいます。龍を見つけることができる唯一の手がかりは、人間の世界の少女ユジンが持っている龍の鱗だけ! 龍が消えたために世界が混乱すると、事態を見守ってきた玉皇上帝は十二支の動物たちをまた選びなおすと宣言します。残された11匹の動物たちは、ユジンと一緒に龍を探すため冒険を開始することになりますが・・・。いかにも中国的なモチーフ。韓国題は「용을 찾아서」。日本公開はなさそう、です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(4) マンチェスター・バイ・ザ・シー  7.75(8)
④(-) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑤(-) ムーンライト  7.60(5)
⑥(6) はじまりへの旅  7.50(9)
⑦(7) メッセージ  7.29(7)
⑧(-) わが孫、ベスト(韓国)  7.25(9)
⑨(8) 君の名は。(日本)  7.17(6)
⑩(9) ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  7.16(8)

 今回の新登場は④と⑤の2作品です。
 ④「ジョン・ウィック チャプター2」については後述します。
 ⑤「ムーンライト」は、つい昨日アカデミー賞作品賞受賞で一段と諸情報が流されています。舞台はマイアミの犯罪多発地区。黒人の少年シャロン(アッシュトン・サンダース)は、育児を放棄した麻薬中毒の母と暮らしています。内気な性格ゆえにいじめられている彼にとって、麻薬ディーラーとその妻、友人のケビン(アンドレ・ホーランド)は心の支えになっていました。そんなシャロンが孤独や困難と闘いながら成長してゆく物語です。韓国題は「문라이트」。日本公開は4月です

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月24日(金)~2月26日(日) ★★★

         「スプリット」 今年初めてアメリカ映画が1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(24)・・スプリット ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/22・・・・・・・・・・・698,865 ・・・・・・・・・・・・966,930・・・・・・・・・7,848・・・・・・・・・952
2(1)・・再審(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/15・・・・・・・・・・・439,580 ・・・・・・・・・・1,887,292・・・・・・・・15,071・・・・・・・・・767
3(2)・・捏造された都市(韓国) ・・・・・・・2/09・・・・・・・・・・・190,034 ・・・・・・・・・・2,379,704・・・・・・・・19,108・・・・・・・・・545
4(23)・・シングルライダー(韓国)・・・・・2/22・・・・・・・・・・・155,436 ・・・・・・・・・・・・262,309・・・・・・・・・2,011・・・・・・・・・576
5(5)・・トロール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/16・・・・・・・・・・・132,516 ・・・・・・・・・・・・467,121・・・・・・・・・3,455 ・・・・・・・・536
6(78)・・ジョン・ウィック チャプター2 ・・2/15・・・・・・・・・・・113,527 ・・・・・・・・・・・・179,169・・・・・・・・・1,451・・・・・・・・・250
7(35)・・ハクソー・リッジ・・・・・・・・・・・・・2/22・・・・・・・・・・・・74,259 ・・・・・・・・・・・・121,696・・・・・・・・・・・933・・・・・・・・・427
8(4)・・共助(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/18・・・・・・・・・・・・50,707 ・・・・・・・・・・7,796,387 ・・・・・・・・63,622・・・・・・・・・336
9(22)・・ルシッド・ドリーム(韓国)・・・・・2/22・・・・・・・・・・・・39,385 ・・・・・・・・・・・・・85,249・・・・・・・・・・・634 ・・・・・・・・・461
10(新)・・劇場版 ソードアート・オンライン・・2/16・・・・・・・37,007 ・・・・・・・・・・・・・52,375・・・・・・・・・・・404・・・・・・・・・124
        -オーディナル・スケール-(日本)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「捏造された都市」は1週限りで首位陥落、「再審」が取って代わりましたが、今年に入って「君の名は。」の3週連続トップ以降はずっと韓国映画の1位が続いています。
 今回の新登場は1・4・6・7・9・10位の6作品です。
 1位「スプリット」はアメリカのサイコ・スリラー。ケビン(ジェームズ・マカヴォイ)は23個の人格を持つという多重人格者。いつ誰が登場するかわからない人格の間を行き来しています。唯一の彼自身を理解してくれるのはフレッチャー博士(ベティ・バークレー)だけ。ところがある日、ケビンは3人の少女を拉致し、監禁してしまいます。それを指示したのは、今までに登場したことのない24番目の人格でした。少女たちが逃げようとするほど、その最も危険な人格は暴走してゆきます・・・。韓国題は「23 아이덴티티」。日本公開は5月12日です。しかし24の多重人格といえば思い出されるのがダニエル・キイスの小説「24人のビリー・ミリガン」。ディカプリオの主演で映画化されるという話はどうなったのかな?
 4位「シングル・ライダー」はビョン様主演の韓国のドラマ。証券会社の支店長キム・ジェフン(イ・ビョンヒョン)は、安定した職場に勤め理想的な家族がいて、それなりに成功した人生だと思っていました。しかし不良債権のために全てを失ってしまいます。そしてジェフンは家族のいるオーストラリアに旅立つのですが、そこで彼は別の人生を準備する妻スジン(コン・ヒョジン)の姿を見て気軽に近づくことができず、突然姿を消してしまいます。そして明らかになってくる衝撃的真実とは・・・。原題は「싱글라이더」
 6位「ジョン・ウィック チャプター2」は、2015年キアヌ・リーヴス主演で銃とカンフーを合体させた“ガンフー”が注目されたアクション映画の続編。伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)は、過去を背を向けて引退を宣言しますが、そこはそれ、以前自分の命を救ってくれた元同僚との<血盟>で向かった先はローマ。ところが<国際暗殺者連合>を奪取しようとする元同僚の計画でワナに陥り、世界中の暗殺者たちの銃口は、彼に向けられます・・・。韓国題は「존 윅 – 리로드」。日本公開は7月7日です。
 7位「ハクソー・リッジ」は、良心的兵役拒否者というか、第2次大戦時“武器を持たない兵士“としてアメリカ史上初の名誉勲章を受けたデズモンド・ドスという人物の実話を描いたメル・ギブソン監督作品。タイトルの「Hacksaw Ridge」は直訳すると「ノコギリ崖」。激戦地の地名なのですが、その場所はというと沖縄。現地では<前田高地>といっていて、沖縄戦では(戦車等が上がれないため)白兵戦の死闘が繰り広げられた所です。主人公のデズモンドはこの戦いにも武器は持たず、衛生兵を志願して戦場に臨みます・・・。そこに至るまで、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)はさまざまな壁と対峙してきました。軍に志願したにも関わらず、上官の命令に反して銃を持つことを拒否すると、兵隊仲間からも非難されたりいじめられたり、ついには軍法会議にかけられたり・・・。なぜ彼がそのような考えを持つようになったかというと、元はといえば子供時代に父親から受けた暴力のため。そして人を殺めることを禁じる宗教(セブンスデー・アドベンチストという厳格な聖書原理主義的宗派)の信仰を持つようになったのです。この前田高地の戦闘で彼が救出した兵士の数は75人にも上り、仲間たちからも信頼される存在になります。ところがその部隊に再出撃の命令が下され、おりしもその日は安息日に当たるという正念場にデズモンドは立たされてしまいます・・・。この作品(&メル・ギブソン)についての町山智浩氏の話はホントにオモシロイです。(→コチラ。) 「プライベート・ライアン」以上にリアルというか残酷とのこと。ただ私ヌルボとしては、「良心的兵役拒否」をテーマにしたものでも、戦争(や軍隊)自体について否定的な視点を持っているか否かで二分されると思いますが、本作品はいかに?韓国題は「핵소 고지」。日本公開は6月24日です。※<前田高地の戦闘>についての詳しい記事は→コチラ
 9位「ルシッド・ドリーム」は韓国のSF・スリラー。大企業の汚職専門の記者であるテホ(コ・ス)は、3年前計画的に拉致された息子を見つけるに<Lucid Dream(明晰夢)>を利用し、過去の記憶から犯人の手がかりをつかもうとします。ベテラン刑事のバンソプ(ソル・ギョング)と友人の精神科医者のソヒョン(カン・ヘジョン)の助けを得てついに全ての手がかりから導き出されたある男と対面することになりますが・・・。原題は「루시드 드림」です。
 10位「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」は、累計発行部数が国内で1300万部、全世界で2000万部にもなろうかという大人気ラノベシリーズの劇場版アニメ。しかしオジサン・オバサンたちの認知度はどんなものでしょうか? 私ヌルボ、久々に電撃文庫を読んでみるかと思ったものの、図書館の本は全部貸出中。まあ当然か。ゲームという「仮想」と「現実」の交錯をテーマにしたSF「エンダーのゲーム」は1977年刊行、うわ40年も前か! あれは「現実」がベースだったが、今は「仮想」に重点が置かれる・・・と解釈していいのかな? 韓国題は「극장판 소드 아트 온라인 -오디널 스케일-」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(7)・・ムーンライト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/22 ・・・・・・・・・・・22,341・・・・・・・・・・・・40,700・・・・・・・・・・・・・324 ・・・・・・・・173
2(1)・・マイ・ベット・オジー ・・・・・・・・・・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・・17,425・・・・・・・・・・・109,380・・・・・・・・・・・・・809 ・・・・・・・・202
3(2)・・マンチェスター・バイ・ザ・シー・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・・・6,119・・・・・・・・・・・・38,819・・・・・・・・・・・・・313 ・・・・・・・・・69
4(58)・・ブラック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2009/8/27 ・・・・・・・・・・・・5,098・・・・・・・・・・・870,791 ・・・・・・・・・・・6,209 ・・・・・・・・・・3
5(新)・・龍を探して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/22 ・・・・・・・・・・・・4,353・・・・・・・・・・・・・6,532 ・・・・・・・・・・・・・・48 ・・・・・・・・・60

 1・4・5位の3作品が新登場です。
 1位「ムーンライト」と、5位「龍を探して」については上述しました。
 4位「ブラック」は、日本では未公開の人気インド映画の再上映。内容はまさに「奇跡の人」のインド版といったところか。デリー北部のシムラーの裕福な家に生まれた女の子ミシェル(ラーニー・ムカルジー)は2歳の時に病気が元で視力と聴力を失い、言葉も話せないという三重苦で、両親もどうすればよいのかわからず、放任されたまま育ちます。周りの人とのコミュニケーションがとれず、自分の感情を抑えられないミシェルは、食べ物を食い散らかしたり赤ん坊の妹サラを揺りかごから放り出したりします。とても手に負えないと判断した父親は8歳のミシェルを病院に入れようとしますが、母親は家庭教師を雇うことにします。そしてやってきたサハーイ先生は、ミシェルに対して厳しい教育方針で臨みますが・・・。韓国題の「블랙(BLACK)」は原題と同じですが、これは目の見えない「暗黒」と同時に知識の象徴である大学の卒業ローブの色をも示しているとのことです。


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