ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「新東亜」2月号 北朝鮮の<放送員>(アナウンサー)の記事等に注目

2011-02-20 23:52:10 | 北朝鮮のもろもろ
 韓国語が中級の上くらいになると、多少わからない単語があっても、新聞や雑誌、易しめの小説等はおよそ読めるようになります。しかしそれらをいくら読んでも、語学力upにはならないという忠告(?)が何かに載っていました。
 なるほどたしかに、と思いつつ、やっぱりテキストや問題集に取り組むよりも、ついつい韓国雑誌を読んだり韓国サイトのネットサーフィン等々に走ったりしてしまいます。

 ・・・ということで、例によって横浜市立図書館で「新東亜」2月号拾い読み。この号で私ヌルボが着目したのは次の3つの記事。

①장해성 전 조선중앙TV 작가가 말하는 북한 아나운서들(チャン・ヘソン元朝鮮中央TV作家が語る北朝鮮のアナウンサーたち)
②신작 ‘소년을 위로해줘’ 펴낸 은희경(新作「少年を慰めてやって」を著した殷煕耕(ウン・ヒギョン))
③국가인권위 상임위원 내정 논란 전향한 김일성주의자 홍진표(国家人権委・常任委員内定論難 転向した金日成主義者ホン・ジンピョ)

 コピーをとって一通り目を通しました。
 とくに興味深かったのが①。北朝鮮のアナウンサー事情を、1996年脱北したチャン・ヘソン元朝鮮中央TV作家の話を中心に伝えています。
 リンク先の写真左は、日本でもおなじみの有名な女性アナウンサーの李春姫(리춘희.リ・チュニ(リ・チュンヒ))さんです。

 記事によると、北朝鮮ではアナウンサーのことを<放送人(방송원)>といいます。北朝鮮でも女性アナの人気は高く、やはり一種のスターで、髪型・ファッションは注目されているそうです。ただ、名前はTVに出ることはないので、北朝鮮の専門家の間でも好奇心はあっても知られていない部分があるとか。
 アナウンサーは待遇もよく、放送局幹部を上回るほどで、平壌市内の蒼光街のような一級地(冬に暖房や温水が切れない)に住むことができたり、運転手付きの日本製の新型車を支給されたり、給料以外の現物給与の恩恵を得たりしている等々・・・。
 朝鮮中央放送にはTVアナが20余名、ラジオアナが100名近くもいます。放送時間や番組数に比して大人数です。評価の高い一部のアナ以外は他の部署をまわらざるを得ません。視聴率や世論調査のない中で、彼らに対する評価の決め手は金正日の<お言葉>。一言でもお褒めのお言葉をいただければ即座に昇進とか。

 李春姫さんは1943年生まれ。現役中唯一の<人民放送員>の称号を得ているアナウンサーで、1974年デビューし、定年を過ぎた今も主要事件の際はアナウンサーを任されています。

    
   【有名なリ・チュニ(李春姫)放送員(左)と、彼女に続く人気アナのリュジョンオク放送員(右)。】

 さて、北朝鮮の放送というと誰もが思い浮かべるのが、例の威圧的な話し方。あの話し方は、公式的には金正日の指示を伝えたとされるが事実上は往年の名アナウンサーのリ・サンビョク人民放送員が1980年代後半に著した「話術論」に拠るものだそうです。この本は2003年「朝日新聞」が入手し、報道しました。たとえば「敵を強く非難するときは威圧するように・・・」等とあるそうです。
 ※くわしくは、→コチラの記事参照。ホントに、とても詳しく紹介されています。

 しかし、「新東亜」の記事によるとリ・サンビョク氏は1966年イギリスW杯直後、北朝鮮の軍隊式放送姿勢を改めようと主張し、「われわれも美しい言葉遣いを学ぼう」と放送員たちに韓国の放送を聴かせもしたことがあったといいます。ところが金日成の主体路線が明確化する中で批判を受け、農村に下されます。その後、やはり朝鮮中央放送の伝説的人物なので結局は復帰し、1997年に世を去るまで最高の地位を享受しました。

 記事によると、それでも2005年以降朝鮮中央放送TVも変わってきているそうです。
 以前は民族服だけだったのが、洋装も見られるようになったり、髪型も多様になってきていることや、絶叫型の話し方も以前よりはソフトになっているとか、また画面の背景も大同江を中心とした平壌市内の映像にする等々。

 とはいうものの、やはりあの話し方は奇異というか、滑稽ささえ感じてしまうのがふつうの感覚ですね。終戦以前の日本もあれほどではなかったでしょう。
 ・・・と思うのは日本人だけではない、ということで、この件続きます。

付記:2007年の「朝鮮日報」に関連記事がありました。

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