ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画の興行成績 [6月24日(金)~6月26日(日)]と人気順位 ►カンヌで監督賞のパク・チャヌク作品「別れる決心」の日本公開は来年 ►北朝鮮収容所の実態を描く「トゥルーノース」韓国でも公開

2022-07-04 18:08:08 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
※日付を確認して下さい。今回も1週間遅れのデータになってしまいました。

▶今回の記事で注目の韓国は「別れる決心」。<第75回カンヌ国際映画祭(2022)>で最優秀監督賞を受賞したパク・チャヌク監督の作品で、《記者・評論家による順位》では「ドライブ・マイ・カー」と「トップガン マーヴェリック」を抜いて1位です。ストーリーは後述の通り、と言ってもそこはサスペンスなので当然ながらネタバレもヒントもなし。日本公開は来年とのことなので早くても半年後か。待ち遠しいなー。

▶今回は日本ではあまり報じられず上映されないことも多い韓国のドキュメンタリーで興味深い作品がありました。「アナタの顔」(下左)は似顔絵画家として注目されているウネさんについてのドキュメンタリーです。後掲の記事の特に後半を読んでみて下さい。そしてリンク先の動画もぜひ!
 また「モア」(下右)もユニークなドキュメンタリーです。これもリンク先の予告編をどうぞ。
     

▶韓国アニメの「劇場版ウィルベンジャーズ:怪しいキャンプ大騒動」もいろいろググったりしていろんなことがわかりました。日本だと<劇場版>と銘打たれたアニメはTVアニメや漫画の原作があるのが常なので、これもそうかな ?と思ったらさにあらず。→朝鮮日報の記事(→自動翻訳)を見るとアニメのキャラクターそっくりの子供たち2人の動画等が載ってるではないですか! つまり実在の子供2人とその父親をアニメ化したのですね。下の記事中にあるように、この父子3人はKBS2で2013年から続いている<スーパーマンが帰ってきた>(슈퍼맨이 돌아왔다.略称は슈돌)というタイトルの家族バラエティ番組に2016年から今年1月まで出演して人気が高まり、アニメが作られることになったのです。お父さんのサム・ハミントンさんはオーストラリア出身の放送人とか。番組のコンセプトは「家族から疎外され、子どもたちにも疎外された親が自発的に子育てに挑戦することを扱う」とのことですがホンマカイナ!?という感じ。今や<THE 윌벤쇼(ザ・ウィルベンショー)>というYouTube番組(たとえば→コチラ)も運営されているし、<ウィルベンジャーズ>のタイトルと似顔入りの幼児向け学習書も刊行されている等々その人気のほどがうかがわれます。
 なお、長く日曜の夜放映されてきたこのTV番組は今年4月22日から毎週金曜の22:10~23:40になりました。日本人として注目は、2007年から(?)韓国で芸能活動を続けている藤田小百合さん(→コチラ参照)が昨年から出演していること。(KBSTVはPCで無料視聴できます。)

▶今回は記事にない注目の映画も1つ紹介します。観客の平均評点は高かったものの、その人数が少なかったためランキングには入らなかった→コチラの作品「リメンバー・ミー(리멤버 미)」ですが、製作国は日本となっています。韓国版ポスターその①(下左)を見てもわからなかったのがその②(下右)でわかりました。日本では<第33回東京国際映画祭(2020)>で上映され、昨21年6月から一般劇場公開された北朝鮮政治犯収容所の実態を描いたアニメ「トゥルーノース」のことではないですか。※→関連記事。→公式サイト(予告編付)
 韓国でも公開されたのはけっこうなことですが、ただ上映館が全国で1ケタと少なく、6月29日から5日間の観客数合計が215人とは少なすぎ! タイトルを「リメンバー・ミー」にしたのも朝鮮戦争あるいはそ後も拉致等で北朝鮮に留め置かれている(?)多数の人々がいるにもかかわらず日本に比べて関心が非常に低い韓国人に対して「私たちのことを思い出して!」という気持ちが込められているということでしょうか? ※今春の選挙での政権交代と本作品の公開と、もしかして関係があるのかな?などとチラッと考えてしまった(笑)。
     

    ★★★ NAVERの人気順位(6月29日(水)現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
 ※[記者・評論家による順位]とも①等の右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
  「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) トップガン マーヴェリック  9.80(13,900)
②(2) 役割たち(韓国)  9.67(33)
③(新) アナタの顔(韓国)  9.58(85)
④(6) 犯罪都市2(韓国)  9.45(25,219)
⑤(8) 詩人の歌、チョン・テチュン(韓国)  9.42(132)
⑥(新) モア(韓国)  9.40(80)
⑦(5) あなたという記憶 ヨンスクさん(韓国)  9.35(20)
⑧(10) 劇場版 呪術廻戦 0(日本)  9.25(1,541)
⑨(新) 劇場版ウィルベンジャーズ:怪しいキャンプ大騒動(韓国)  9.23(104)
⑩(-) コーダ あいのうた  9.13(975)

 ③⑥⑨の3作品が新登場です。
 ③「アナタの顔」は韓国のドキュメンタリー。ある暑い夏、家で編み物ばかりしていたウネさんが楊平[ヤンピョン]郡汶湖[ムノ]里のリバーマーケットで人気の売り手として生まれ変わります。その売り物は自ら描く似顔絵。「きれいに描いてください」「元々きれいじゃないですか~」等々の言葉を交わしながらも、きれいな顔もきれいに描いてくれないウネさん(笑)。しかしそんな彼女の前にこれまでなんと4千人もの人たちが明るく笑みを浮かべて似顔絵を描いてもらいました。完璧じゃなくても今このまま幸せなウネさんが贈るヒーリングムービーです・・・。原題は「니얼굴」です。
 ・・・と以上が内容の概略。ところがさらに細かな説明文を読んでこの作品の見方が一変しました。これまでいくつものドキュメンタリーを手掛けてきた本作のソ・ドンイル監督はウネさんのお父さんなんですと。そしてウネさんは実は発達障碍者で、監督によれば「人に会って絵を描くウネの姿をずっと記録してみると、ある瞬間ウネが発達障碍児からアーティストに進む過程を描いているようになった」と語っています。「もしかして親のひいき目があるんじゃないの?」と思われるかもしれません。そんな皆さん(そうじゃない皆さんも)ぜひ彼女の作品や仕事ぶり等を→コチラや→コチラの動画で見てみて下さい!
 なお、ウネさんがネフリで配信中のドラマ「私たちのブルース」に出演しているとの最新日本語記事(→コチラ)もありました。
 ⑥「モア」は韓国のドキュメンタリー。<第13回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭(2021)で初公開されて美しい雁賞(特別賞)受賞をし、釜山国際映画祭招待および47回ソウル独立映画祭独仏将軍賞受賞まで国内有数映画祭の賞賛を受けました。
 本作は人知れぬ哀歓を乗り越えて最も美しい存在として自ら世界の前に飛び出したドラァグアーティスト[drag artist]すなわち女装アーティストのモア[MORE]の人生と芸術を感覚的な音楽と映像によって描き出した作品です。主人公のモアはバレリーノではなくバレリーナになりたかった性少数者で、梨泰院の地下クラブから、前衛芸術のメッカであるニューヨークのラママ実験劇場の舞台に立ったアーティストであり、破格的な執筆で崇められるエッセイストまで、世間の規定に抵抗してひたすら美しさを追いかけ、日々新しい自分として<弾けているアーティスト>です。そんな<モア>ことモ・ジミンの人生と芸術を華やかなパフォーマンスとOST、そして魅力的な映像で収めた・・・ということで、→コチラの予告編を見てみて下さい。原題は「모어」です。
 ⑨「劇場版ウィルベンジャーズ:怪しいキャンプ大騒動」は韓国の3Dファンタスティックアドベンチャー・アニメ。問題児にして初心者ヒーローのウィリアムとベントレー兄弟の名前を合わせて<ウィルベンジャーズ>。動物たちとの対話はもちろん、恐竜ゼリーを食べて途方もない超能力を発揮するウィリアムとベントレーは、スーパーヒーローになりたい夢の苗木たち。ある日彼らはパパのサムと一緒に楽しいキャンプ旅行に出かけ、そこの遊び場で神秘的な能力を持つキツネ少女のミホと出会って友だちになります。そして深い森の中のキツネの穴に向かった<ウィルベンジャーズ>はミホの驚くべき秘密を知り、ミホの家族を狙うハンターたちの襲撃によって皆が大きな危険に陥ってしまいます。はたして<ウィルベンジャーズ>はパパと友だちを救い、無事にキャンプを終えることができるでしょうか・・・。原題は「극장판 윌벤져스 : 수상한 캠핑 대소동」です。

     【記者・評論家による順位】

①(新) 別れる決心(韓国)  8.73(11)
②(2) ドライブ・マイ・カー(日本)  8.44(9)
②(1) トップガン マーヴェリック  8.44(9)
④(3) 偶然と想像(日本)  8.29(7)
⑤(4) グリーン・ナイト  8.20(5)
⑥(5) 小説家の映画(韓国)  8.00(3)
⑦(6) アフター・ヤン  7.80(5)
⑧(7) マス  7.67(3)
⑨(新) モア(韓国)  7.38(8)
⑩(8) さがす(日本)  7.33(6)

 ①⑨の2作品が新登場ですが、⑨「モア」については上述しました。
 ①「別れる決心」は韓国のヒューマン・サスペンス。<第75回カンヌ国際映画祭(2022)>で最優秀監督賞を受賞したパク・チャヌク監督の作品です。
 山の頂上から墜落した男の変死事件。担当刑事のヘジュン(パク・ヘイル)は死者の妻ソラ(タンウェイ)の事情聴取を行います。「山に行ったまま帰って来ないと心配になりました。とうとう死ぬかと思って」。ソラは夫の死に際して特に動揺を見せません。警察はふつうの遺族とは異なるソラを容疑線上に上げます。ヘジュンは事件当日のアリバイの聞き込みと新聞、潜伏捜査を通じてソラについて徐々に知るにつれ彼女への関心が大きくなっていくことを感じます。 一方、なかなか本心を推測しにくいソラは相手が自分を疑うことを知っていても、少しの迷いもなくヘジュンに対するのでしたが・・・。
 本心を隠す容疑者、そして容疑者に疑いと関心を同時に感じる刑事。 そしてタイトルの<別れる決意>とは・・・? 原題は「헤어질 결심」です。ソラの本心は何なのか、ヘジュンだけでなく観客まで混乱に陥って劇的な緊張感を形成する、とのこと。映画ジャーナリストのチョン・シウさんは「エンディングに至り私の心も崩壊した」と記しています。これはもちろんぜひ観なくては!と思いますが日本公開は来年だって!? うーむ・・・。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月24日(金)~6月26日(日) ★★★
       公式公開日を迎えた本命「トップガン マーヴェリック」が早くも200万人超えで1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(6)・・トップガン マーヴェリック・・6/22・・1,127,166 ・・・・・1,526,310・・・・・16,647・・・・1,941
2(1)・・The Witch/魔女2・・・・・・・・・6/15 ・・・・・402,342 ・・・・・2,241,518・・・・・23,210・・・・1,065
3(2)・・犯罪都市2(韓国)・・・・・・・・・5/18・・・・・・318,863 ・・・・12,044,413 ・・・124,589・・・・・・935
4(3)・・バズ・ライトイヤー・・・・・・・・6/15 ・・・・・・49,375・・・・・・・・286,474 ・・・・・・3,008・・・・・・481
5(4)・・ベイビー・ブローカー(韓国)・・6/08・・・・・42,924・・・・・・1,212,724 ・・・・・12,162・・・・・・463
6(5)・・ジュラシック・ワールド・・・・6/01 ・・・・・・22,136・・・・・・2,812,885 ・・・・・29,023・・・・・・187
       /新たなる支配者
7(新)・・劇場版ウィルベンジャーズ・・6/23・・・・・13,396・・・・・・・・・15,059・・・・・・・・・150・・・・・・110
       :怪しいキャンプ大騒動(韓国)
8(7)・・劇場版ポケットモンスター・・6/01・・・・・・・9,133・・・・・・・・570,824・・・・・・・5,378・・・・・・・75
       ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束 シェイミ(日本)
9(38)・・親の顔が見たい(韓国) ・・・・4/27 ・・・・・・・5,751・・・・・・・・416,054 ・・・・・・3,946・・・・・・・・5
10(新)・・ルームシェアリング(韓国)・・6/22 ・・・・・5,204・・・・・・・・・10,293・・・・・・・・・・88・・・・・・121
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 2週間先行上映していた「トップガン マーヴェリック」がやはりここに来て一気に週末だけでも100万人突破。29日(水)には累計動員数200万人を越えました。今後どこまで数字を伸ばすか? ・・・
言っても「犯罪都市2」の数字はまだまだ先。「The Witch/魔女2」は1週で2位に下がったとはいえ、コチラも累計200万人を超えました。
 7・10位の2作品がこのランキング新登場ですが、7位「劇場版ウィルベンジャーズ:怪しいキャンプ大騒動」については上述しました。また10位「ルームシェアリング」については1つ前の記事で書きました。
 ・・・ということで大変めずらしいことにここで説明を要する作品はありません。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(17)・・アナタの顔(韓国) ・・・・・・・・・・・6/23・・・・・・・・・2,878・・・・・・・・5,442・・・・・・・・・・48・・・・・・・・65
2(新)・・モア(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/23・・・・・・・・・2,513・・・・・・・・5,318・・・・・・・・・・43・・・・・・・・54
3(26)・・オマージュ(韓国) ・・・・・・・・・・・5/26・・・・・・・・・2,133・・・・・・・12,660・・・・・・・・・・98・・・・・・・・・8
4(3)・・アフター・ヤン・・・・・・・・・・・・・・・・6/01・・・・・・・・・1,661・・・・・・・30,244 ・・・・・・・・304・・・・・・・・29
5(5)・・劇場版BEM~BECOME HUMAN~(日本)・・6/16・・957 ・・・・・・・3,024・・・・・・・・・・15・・・・・・・・・5

 1位「アナタの顔、2位「モアが新登場ですが、いずれにについても上述しました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国内の映画の興行成績 [6月... | トップ | 韓国内の映画の興行成績 [7月... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国内の映画の人気ランク&興行成績」カテゴリの最新記事