ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [12月8日(金)~12月10日(日)]

2017-12-13 11:42:27 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸12月8日(金)の夜韓国から帰国。出国(4日)の頃の日本も寒かったけどソウルはもっと寒く、帰国後は12日朝のソウルで零下12度と、さらに寒くなって寒波警報まで出た模様です。
 先週の記事で飛行機内での映画鑑賞のことを書きましたが、その続き。帰路で韓国映画のリストの中から「朴烈」を選んで観てみました。(※朴烈事件→ウィキペディア) ただ問題点が2つ。まず129分という長さ。機内アナウンスによる中断を考えると時間が足りません。2つ目の問題は、日本語字幕がなく英語だけ。しかし、途中は早送りで対応し、言葉の問題は内容上全体の3割以上(?)は日本語のセリフだったので何とかわかりました。
 感想は、①なかなか見応えがあった。多くの映画賞を受賞したのもうなづける。②とくに朴烈の恋人(内縁の妻)金子文子を演じたチェ・ヒソに注目! 大鐘賞の主演女優賞と新人女優賞、青龍映画賞の新人女優賞、韓国映画評論家協会賞の新人女優賞等々、多数の賞を獲得しただけのことはあります。金子文子は9歳の時朝鮮忠清北道の叔母の家に引き取られ、養子となるが無理解な待遇を受け続け、その間1919年独立運動の光景を目撃し、朝鮮人の立場を自らの境遇と重ねて共感し感動したとのことで、本作品でもチェ・ヒソは日本語と韓国語で話しています。その日本語の発音が自然なことに驚きました。後でいくつかの記事を読むと、幼い頃大阪に住んでいて韓国人の小学校に通い、5年生の時に「沈清伝」で沈清を演じたことが強く記憶に残って、延世大学校の時に演劇サークルに入ったとか。なお中学校の頃はアメリカで過ごし、大学時代は第2外国語でイタリア語を選択し、また映画界に入ってからは中国に進出するために中国を学んでいて、5カ国語に堪能なのだそうです。③在日の俳優金仁友(キム・イヌ)さんが準主役というべき悪役の水野錬太郎を演じています。朝鮮総督府政務総監を務めた後、加藤友三郎内閣で内務大臣となり、加藤首相死去直後の9月1日に起こった関東大震災に際してはがあったため、後任の内相(=後藤新平)が決まる2日までの短い間ですが陣頭指揮に当たった人物です。上記のチェ・ヒソとは、同じイ・ジュニク監督の「空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~」(原題:ドンジュ)でも共演していました。④決して<反日映画>とは言えない。たしかに朝鮮人にとって発音が難しい「12円50銭と言ってみろ!」と誰何する場面や惨殺の場面等もあり、史実として疑問な部分もありますが、社会的弱者、とくに朝鮮人関係の事件を数多く担当した弁護士・布施辰治も山野内扶が演じて「正義を愛する日本人もいるということを知ってほしい」(意訳)といったセリフもあります。(布施辰治のことは多くの日本人に知ってほしいと思います。)
 この「朴烈」については、→コチラのイ・ジュニク監督のインタビュー記事にとてもよくまとめられています。(それにしても、「空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~」同様日本でも公開されないかな?)
    
「朝鮮日報」11月25日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「メアリと魔女の花」
   赤毛のアン、魔法学校へ ★★★



 「初めての行程」

   青春の生とは‘初歩運転’ ★★★



 「記憶の夜」

   前半部以降は混沌の夜 ★★☆

 3作品とも以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(12月12日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(6) アイ・キャン・スピーク(韓国)  9.34(12,615)
②(8) 再び生まれ変わっても、私たち(韓国)  9.32(727)
③(7) ルター  9.32(210)
④(2) 息子のところへ行く道(韓国)  9.31(48)
⑤(-) ウィークエンド(韓国)  9.23(191)
⑥(-) ポロロ劇場版 恐竜島大冒険(韓国)  9.22(991)
⑦(4) 青い夕焼け(韓国)  9.21(52)
⑧(-) ゴッホ~最期の手紙~  9.20(3,273)
⑨(-) 劇場版総集編『ハイキュー!! 才能とセンス』(日本)  9.20(236)
⑩(-) プレス(韓国)  9.18(11)

 今回の新登場は⑥と⑩の2作品です。
 ⑥「ポロロ劇場版 恐竜島大冒険」については後述します。
 ⑩「プレス」は、韓国のドラマ。プレスといっても報道関係ではなく、金属加工の方。ヨンイル(チン・ヨンウク)は20年間の刑務所暮らしを終え、出所してプレス工場で働いています。単純に繰り返される毎日を過ごしていた彼のところに若い女性ポラ(モク・キュリ)が訪ねて来ます。彼女が関わっている社会適応プログラムへの参加の呼びかけですが、最初は面倒くさくて敬遠していた彼も、その後彼女の熱意を感じて参加することにしました。人間関係の中でたがいの感情を理解し、世の中を学んでいくことにより彼は暖かさを感じるようになります。ところがある日、ポラが別の参加者を紹介し、ヨンイルはその彼に嫉妬心を覚えます・・・。原題は「프레스」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 牯嶺街少年殺人事件[デジタルリマスター版]  9.00(6)
②(4) オン・ボディー・アンド・ソウル  7.67(6)
③(5) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
④(-) オクジャ(韓国・アメリカ)  7.33(15)
⑤(6) アイ・キャン・スピーク(韓国)  7.25(8)
⑥(7) バトル・オブ・ザ・セクシーズ  7.20(5)
⑥(7) 静かなる情熱 エミリ・ディキンスン  7.20(5)
⑧(-) 七月と安生  7.17(6)
⑨(9) 女優は今日も(韓国)  7.00(7)
⑩(10) ビッグ・バッド・フォックス  7.00(1)

 ⑧「七月と安生」が今回の新登場です。今年の大阪アジアン映画祭でも上映されたドラマで、安妮寶貝(アニー・ベイビー)という中国の人気作家のネット小説の映画化作品とのことです。1990年代後半、江蘇省の地方都市の中学校で偶然のように出会った林七月(馬思純.マー・スーチュン)と李安生(周冬雨.チョウ・ドンユィ)という13歳の少女2人のその後14年間の物語。正反対の性格なのに親友になった彼女たちは別の高等学校に進学しますが、七月は同級生の蘇家明(李程彬.トビー・リー)を好きになったことから2人の関係は微妙なものになり、20歳で大人になることは別れを学ぶことだと知り、その後27歳になった2人は・・・という哀切な青春を描いた作品。なお、主演の2人は2016年台湾の金馬奨で主演女優賞を受賞しています。韓国題は「안녕, 나의 소울메이트」。日本でも一般公開してほしいものですが、はたして?

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績12月8日(金)~12月10日(日)) ★★★

         「クン」が3週連続1位で400万人に近づく

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・クン(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・418,141・・・・・・・・3,722,751 ・・・・・・・29,112 ・・・・・・・・・856
2(2)・・記憶の夜(韓国)・・・・・・・・・・・・・・11/29 ・・・・・・・・・310,749・・・・・・・・1,105,696 ・・・・・・・・8,546 ・・・・・・・・・740
3(29)・・ポロロ劇場版 ・・・・・・・・・・・・・・12/07 ・・・・・・・・・299,088 ・・・・・・・・・324,239 ・・・・・・・・2,485 ・・・・・・・・・803
       恐竜島大冒険(韓国)
4(新)・・メアリと魔女の花(日本)・・・・・12/07 ・・・・・・・・・267,674 ・・・・・・・・・309,992 ・・・・・・・・2,425 ・・・・・・・・・751
5(3)・・オリエント特急殺人事件 ・・・・・11/29 ・・・・・・・・・144,186 ・・・・・・・・・772,639 ・・・・・・・・5,968 ・・・・・・・・・565
6(新)・・アメリカン・アサシン ・・・・・・・12/07 ・・・・・・・・・118,669 ・・・・・・・・・152,785 ・・・・・・・・1,218 ・・・・・・・・・528
7(4)・・必ず捕まえる(韓国)・・・・・・・・・・11/29 ・・・・・・・・・・48,968 ・・・・・・・・・413,829 ・・・・・・・・3,103 ・・・・・・・・・397
8(87)・・ラ・ラ・ランド・・・・・・・・・・2016/11/15 ・・・・・・・・・・38,926・・・・・・・・3,552,085 ・・・・・・・29,674 ・・・・・・・・・247
9(6)・・イフ・オンリー ・・・・・・・・・・2004/10/29・・・・・・・・・・25,229 ・・・・・・・・・986,996 ・・・・・・・・6,540 ・・・・・・・・・158
10(7)・・ゴッホ~最期の手紙~・・・・・・・11/09・・・・・・・・・・25,025 ・・・・・・・・・325,276 ・・・・・・・・2,585 ・・・・・・・・・157
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 3週連続トップの「クン」以下3位までが韓国映画。といっても、数字的にはそんな高いレベルではありません。
 今回の新登場は3・4・6位の3作品です。8位の「ラ・ラ・ランド」はもちろん約1年前のヒット作の再上映です。
 3位「ポロロ劇場版 恐竜島大冒険」は、2003年に始まった人気TVアニメ「ポンポン ポロロ」の主人公ポロロが活躍するアニメ。冬休みなどの時期になると劇場版も公開されて、もう8作めくらいになるかな? 今作は、ポロロと仲間たちがは森の中で卵形の飛行船の中で眠っている子供の恐竜アローを発見するところから始まります。しかし、名前のほかは何も覚えていないアローのために宇宙船を直している間に飛行船が点滅し、ポロロの仲間の少年恐竜クロンとアローを載せたまま遠くに消えてしまいます。2人(人か?)を救うためにポロロたちは飛行船を追って恐竜の島に向かいますが・・・。原題は「뽀로로 극장판 공룡섬 대모험」です。
 4位「メアリと魔女の花」は、上掲の「朝鮮日報」では★3つついてますね。私ヌルボは観てないので、評価しようがありません。韓国題は「메리와 마녀의 꽃」です。
 6位「アメリカン・アサシン」は、アメリカのアクション。婚約者と旅行中、突如現れたテロリストによる無差別銃撃で婚約者を失ったミッチ(ディラン・オブライエン)は、それ以来復讐を果たすため自分を鍛えます。そんな彼の能力に注目したCIAは、彼を新入要員に抜擢します。最高のトレーナーのスタン・ハーレー(マイケル・キートン)による厳しい訓練を耐え抜いたミッチは、いよいよ世界を脅かす1級テロリストのゴースト(テイラー・キッチュ)を除去する作戦に投入され、そしてゴーストが企てていた第3次世界大戦を阻止するための極秘任務を任せられることになりますが・・・。韓国題は「어쌔신:더 비기닝」。日本でも公開されますが、期日は未定のようです。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ゴッホ~最期の手紙~ ・・・・・・・・・・11/09 ・・・・・・・・・・25,025 ・・・・・・・・・・325,276 ・・・・・・・・・2,585・・・・・・・・・157
2(新)・・七月と安生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/07 ・・・・・・・・・・・8,403 ・・・・・・・・・・・14,186・・・・・・・・・・・114・・・・・・・・・165
3(27)・・山上の垂訓 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/07 ・・・・・・・・・・・8,352 ・・・・・・・・・・・13,544・・・・・・・・・・・・84・・・・・・・・・・67
4(14)・・帰って来る(韓国)・・・・・・・・・・・・・・12/07 ・・・・・・・・・・・3,388・・・・・・・・・・・・・6,987・・・・・・・・・・・・47・・・・・・・・・・58
5(25)・・初めての行程(韓国)・・・・・・・・・・・・12/07 ・・・・・・・・・・・1,586・・・・・・・・・・・・・3,237・・・・・・・・・・・・27・・・・・・・・・・47

 1位以外の4作品がすべて新登場です。
 2位「七月と安生」については上述しました。
 3位「山上の垂訓」は、キリスト教の神に対する疑問を明らかにしようという作品。洞窟の中に集まった8人の青年たちが、「天国は本当に存在するのだろうか?」「善良に生きれば、本当に天国に行くことができるのだろうか?」「神は善悪の実をなぜ作って私たちに困難な判断に陥れたのか?」「神はなぜ私の苦痛を救ってくれないのだろうか?」 誰も明快に言ってくれなかったこれらの難解な問いが徐々に論理的に解明されていきます・・・。韓国題は「산상수훈」です。
 4位「帰って来る」は、韓国のドラマ。今年の全州国際映画祭に招請され、またモントリオール国際映画祭のファースト・フィルム・ワールド・コンペティション部門部門で金賞を受賞した作品です。舞台は人里離れたところにあるマッコリの店。そこは心の中に懐かしさを抱いた人たちの避難所です。そしてそこのマッコリを飲むと懐かしい人が帰ってくるという板が懸けられ、再び会えるという呪文を唱えます。そんなある日、チュヨンというソウルから来た若い女性もこのマッコリ店を探してやって来ます・・・。原題は「돌아온다」です。
 5位「初めての行程」は、韓国のドラマ。つき合って7年目のカップルのスヒョン(チョ・ヒョンチョル)とジヨン(キム・セビョク)は結婚を考えるようになる。美術講師と放送局の契約社員という現実と、結婚をごり押しするジヨンの母、スヒョンの複雑な家庭事情。不確実な未来に向かって歩いて行かなければならない、今この時代の、このカップルの行方は・・・。原題は「초행(初行)」です。

        
 左=水野錬太郎(キム・イヌ)「地震に乗じて朝鮮人が火をつけ・・・」
 右=金子文子(チェ・ヒソ)「9歳の時祖母の家に行って女中のような暮らしを・・・」

        
 左=朴烈(イ・ジェフン)「朝鮮人としてしなければならないことが大逆なら・・・」
 右=布施辰治(山野内扶)「幸徳秋水の大逆事件のように・・・」

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