ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [12月28日(金)~12月30日(日)]

2019-01-02 07:21:31 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸謹賀新年。昨年の回顧を書こうとすると、とくに反省だけでも確実に長~くなりそうなので、さっそく本文に入ります。
 <★2018年 ヌルボの個人的映画ベスト10>は、→コチラ
 今年2月16日一般劇場公開の「金子文子と朴烈」を別枠扱いにしたためベスト10に韓国映画が皆無になってしまいました。ちょっと厳しすぎたかも・・・。また例年以上に個人的な経験や価値観等が強く反映しているなーと思っています。

▸昨年最後に観たのは12月26日の「メアリーの総て」。あの「フランケンシュタイン」の作者メアリー・シェリーの物語で、19世紀初期のイギリスの文化等が描かれていてでベンキョーになりましたが、それよりも何よりも、この作品もMeToo映画だったのですね。それも自然に共感を喚び起こすような・・・。あとでハイファ・アル=マンスール監督の作品であることを知りました。サウジアラビア出身の女性監督で、私ヌルボが2013年のベスト10で2位にした「少女は自転車にのって」の監督で、今作はそれに続く2作目の長編とのこと。やっぱりなーの佳作です。

         ★★★ NAVERの人気順位(1月1日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) Dying/死ぬこと  9.64(22)
②(3) ボヘミアン・ラプソディ  9.50(34,850)
③(-) バブル・ファミリー(韓国)  9.50(20)
④(7) 大人になれば(韓国)  9.45(74)
⑤(4) ハンター・キラー  9.43(2,020)
⑥(5) ポーランドに行った子供たち(韓国)  9.42(474)
⑦(1) イツァーク  9.32(57)
⑧(-) チョンバギ 韓半島の恐竜2 : 新しい楽園(韓国)  9.25(911)
⑨(10) スパイダーマン:スパイダーバース  9.22(3,621)
⑩(9) 家の時間(韓国)  9.20(46)

 ①③⑧の3作品が新登場です。
 ①「Dying/死ぬこと」(仮)は、スペインのドラマ。ルイス(アンドレス・ヘルトルディス)とマルタ(マリアン・アルバレス)は互いに揺らぐことなく愛しあっていました。ところがルイスが脳腫瘍との診断を受けて完璧だった2人の関係に不安が訪れます。結果を待って休暇に出かけた2人は、そこでこれまでは感じられなかった複合的な感情に襲われます。相手への思いやりだけでなく、恐怖と絶望、怒り等々。そんな感情に包まれ、2人の関係に危機が訪れます・・・。韓国題は「다잉」。日本公開は未定のようです。
 ③「バブル・ファミリー」は、1980年代から現在までのある3人家族の住居をたどった韓国のドキュメンタリー。瞬く間に高層建築が建っていった80年代、小規模建設業、いわゆる<家商売>をしていた私の両親は、都市開発ブームに乗って<中産層>の一員になりました。しかし、IMF経済危機以後すべてが泡のように消えました。もう一度やり直そうと15年を費やしたものの、両親は月払いの借家から抜け出せず、対策のない両親にあきれた私は家を出ます。あっという間に生活の基盤が消える2010年代のある日、雨漏りがする月払い賃貸に住んでいた私は、両親の借家がワンルームに改築される予定だという話を聞いて気をもみますが、両親は確約もないような不動産投資に関心を見せるばかりです・・・。原題は「버블 패밀리」です。
 ⑦「チョンバギ 韓半島の恐竜2 : 新しい楽園」については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ROMA/ローマ  8.80(5)
②(2) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
③(3) スパイダーマン:スパイダーバース  8.25(8)
④(5) 天堂の夜と霧(韓国)  8.00(2)
⑤(6) 希望の灯り  7.75(4)
⑥(7) マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白(韓・仏)  7.60(5)
⑦(9) アリー/ スター誕生  7.43(7)
⑧(10) カメラを止めるな!(日本)  7.14(7)
⑨(-) 群山:ガチョウを歌う(韓国)  7.00(6)
⑩(-) PMC:ザ・バンカー(韓国)  6.90(10)

 ⑨と⑩の2作品が今回の新登場です。
 ⑨「群山:ガチョウを歌う」は韓国のドラマ。詩人だったユニョン(パク・ヘイル)はかつて好きだった先輩の妻のソンヒョン(ムン・ソリ)が突然先輩と離婚してシングルになった=つまり「돌싱(トルシン)になった」と聞いてうれしくなります。お酒を飲んだ勢いでユニョンとソンヒョンは群山へ行き、日本風の民宿に泊まることになります。ソンヒョンは民宿の主人(チョン・ジニョン)に関心を持つと、ユニョンは自分につきまとう民泊の娘(パク・ソダム)が気になり始めます。群山での2人の心と時間はソウルと違って何度も行き違うばかり。あいまいな男女2人の群山での異夢の行方は・・・。原題は「군산: 거위를 노래하다」です。※<ソウルナビ映画>はアヒルになってますが、アヒルは<거위>じゃなく<오리>なんだけどな。
 ⑩「PMC:ザ・バンカー」については後述します。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績12月28日(金)~12月30日(日) ★★★

         「アクアマン」が2週連続1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・アクアマン ・・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・821,681・・・・・・3,204,188・・・・・・・28,126・・・・・・1,168
2(12)・・PMC:ザ・バンカー(韓国)・・・・12/26・・・・・・・・・・641,847・・・・・・1,013,909・・・・・・・・8,365・・・・・・1,081
3(23)・・バンブルビー ・・・・・・・・・・・・・・12/25・・・・・・・・・・368,289・・・・・・1,056,144・・・・・・・・8,877 ・・・・・・・843
4(4)・・ボヘミアン・ラプソディ ・・・・・・10/31・・・・・・・・・・256,183・・・・・・9,118,070・・・・・・・79,151 ・・・・・・・675
5(3)・・スウィング・キッズ(韓国) ・・・・・12/19 ・・・・・・・・・181,862 ・・・・・・1,195,348・・・・・・・・9,818 ・・・・・・・680
6(20)・・チョンバギ 韓半島の恐竜2・・・12/25・・・・・・・・・・139,028・・・・・・・・333,625・・・・・・・・2,643 ・・・・・・・623
       :新しい楽園
7(2)・・麻薬王(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・93,445 ・・・・・・1,787,841・・・・・・・15,575 ・・・・・・・622
8(5)・・グリンチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・79,810・・・・・・・・458,816・・・・・・・・3,490 ・・・・・・・506
9(6)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・・12/19・・・・・・・・・・・56,727・・・・・・・・259,753・・・・・・・・2,024 ・・・・・・・316
       爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~(日本)
10(8)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・12/12・・・・・・・・・・・33,669・・・・・・・・628,328 ・・・・・・・・5,213・・・・・・・152
       :スパイダーバース
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は2・3・6位の3作品です。
 2位「PMC:ザ・バンカー」は、北朝鮮がらみの韓国のアクション。グローバル軍事企業(PMC)ブラックリザードのキャプテン、エイヘブ(ハ・ジョンウ)は米国CIAの依頼で巨額のプロジェクトを引き受けます。しかし、作戦場所のDMZ(南北軍事分界線)の地下30m秘密バンカーには約束されたターゲットではなく、意外なことに北朝鮮の<キング>が現れます。<キング>はアジア最高の懸賞金がかかった人物です。彼を捕えるためにキャプテン・エイヘブは作戦を変更し、12人のクルーと共に<キング>を拉致することに成功します。しかし、また別の軍事企業(PMC)の奇襲とアメリカCIAの爆撃でヘイヘブたちは罠に陥ってしまいます。結局崩れてしまった地下の秘密バンカーの中で、負傷したエイヘブは人質に取られていた北朝鮮最高のエリートドクター、ユン・ジイ(イ・ソンギュン)に助けを求めるのですが・・・。原題は「PMC: 더 벙커」です。
 3位「バンブルビー」は、2007年に始まるアメリカの人気SFアクションシリーズ<トランスフォーマー>シリーズのスピンオフ作品。物語はシリーズの第1作「トランスフォーマー」の出来事から20年前の1987年のカリフォルニアで、主人公の少女チャーリー・ワトソンが海沿いの町の廃品置き場で黄色いビートルを見つけるところから始まります・・・。韓国題は「마약왕」。日本公開は3月22日です。
 6位「チョンバギ 韓半島の恐竜2:新しい楽園」は、韓国のアニメ。8000万年前の白亜紀最後のさいがい災難の後、すべての家族を失って2頭だけ残された恐竜の帝王タルボサウルスのチョンバギと彼の息子マンネ。お父さんのチョンバギとは違って臆病で小心なマンネは、他の恐竜のからかいの対象になりがちでした。ある日、マンネが最悪の悪党デイノニクス3頭に捕まっていなくなると、チョンバギはマンネの痕跡を見つけるため新しい冒険を始めます。その途中、消えた娘を探すソンゴニ、ふてぶてしい草食恐竜サイに出会って、子供たちを救うため力を合わせることにしたチョンバギは、屏風岩と活火山地帯、先が見えない砂漠や峡谷を通る冒険の末に、ついに息子マンネの手がかりを探し出します。しかし、彼らの前に想像を超える超強力突然変異恐竜が現れます。はたしてチョンバギはマンネを見つけて新しい楽園に到着することができるでしょうか・・・。原題は「극점박이 한반도의 공룡2 : 새로운 낙원」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(12)・・老人と銃・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/27 ・・・・・・・・・・4,702・・・・・・・・・・7,579 ・・・・・・・・・・・66・・・・・・・・・56
2(1)・・人生フルーツ(日本) ・・・・・・・・・・・・12/06 ・・・・・・・・・・4,041・・・・・・・・・32,826 ・・・・・・・・・・251 ・・・・・・・・・42
3(新)・・階下の少年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/27 ・・・・・・・・・・2,046・・・・・・・・・・2,833 ・・・・・・・・・・・24 ・・・・・・・・・35
4(7)・・シンプル・フェイバー・・・・・・・・・・・12/12 ・・・・・・・・・・2,017・・・・・・・・113,960 ・・・・・・・・・・984 ・・・・・・・・・23
5(5)・・イツァーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/20 ・・・・・・・・・・1,736・・・・・・・・・・7,414 ・・・・・・・・・・・57 ・・・・・・・・・22

 1・3位の2作品が新登場です。
 1位「老人と銃」(仮)は、アメリカのドラマ&ラブロマンス。主演は1936年生まれ!のロバート・レッドフォードです。「私は今銀行を荒らしに来ました。私のカバンに現金を詰めてください」。きちんとしたスーツに身を固め、顔には笑顔を浮かべつつ、優雅で上品に! フォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)は、こんな人の心まで捉える方式で銀行を荒らし続けてきた前代未聞の紳士強盗です。ところがある日、彼は偶然出会った自由奔放な女性ジュエル(シシー・スペイセク)に心を奪われ、自分の正体を秘めたまま彼女との交際を続けていきます。一方、テキサス州警察のジョン・ハント(ケイシー・アフレック)は、笑いながら銀行を荒らしたという謎の紳士に関心を持つようになり、徐々に捜査網を狭めていきます・・・。韓国題は「미스터 스마일(ミスター・スマイル)」ですが、原題「The Old Man and the Gun」を直訳して仮題としました。日本公開は未定のようです。
 3位「階下の少年」(仮)は、アメリカのコメディ&ラブロマンス。ロンドンに発つ前、熱い涙を呑み込んで彼氏のベン(マチュー・シェア)と別れたダイアナ(ゾーシャ・マメット)でしたが、その3年後、作家の夢を叶えるため再びニューヨークの地を踏むことになります。ところが、上手にやりくりして入居したアパートがよりによって元カレの上の部屋とは! 互いに良い隣人として過ごすのが正解だと思いましたが、ベンの今の彼女への嫉妬から騒音公害、宅配便の事故まで起こってしまいます。同じアパートの入居者として、また、元カノとして問いただすべきことも山ほどあるのですが・・・。韓国題は「하나빼고 완벽한 뉴욕(1つを除いて完璧なニューヨーク)」。日本公開は未定のようです。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国内の映画 NAVER映画の人... | トップ | [2018年韓国の流行語 総まと... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
年末公開韓国映画 (yohnishi)
2019-01-03 15:28:37
 年末韓国へ行ってきましたが、年末公開されたブロックブッキング韓国映画中で、一番良かったのは『スウィングキッズ』でしたね。カン・キョンチョル作品としてはおそらく初めてメッセージ性の強い映画(反戦メッセージ)ですが、興行的にはあまり良い結果が出ていないのは残念です。韓国のネット上の情報では損益分岐点が380万人動員ぐらいではないか、とか出ていましたが、はるかに及ばない状況で。お先真っ暗な話と言えばそうかもしれないのですが...

 『PMC: ザ・バンカー』は、政治的メッセージの方はとってつけたようなもので、シューティングゲームをそのまま大画面に移したようなアクションシーンを見せつけるというのがメインかと。韓国のネット評を見ると、カメラが激しく揺れたりするので酔ってしまうという声も。とはいえアメリカのために働いても所詮アメリカにいいように使い捨てられるという設定で、専門家評が☆1.5個分アップしている印象です。もっとも、最近の状況を見るとその設定もあながち否定できないという... ただ、映画の出来にもかかわらず出足が良いのは、皆ネットでダウンロードして映画を見るようになりつつある状況で、やはり劇場で見ないと得られない体験があるこということなのかもしれません。

 ソン・ガンホ主演で一定の観客を集めたと思われる『麻薬王』の最大の問題は、麻薬応対検察の対決構図となると思いきや、結局最後は麻薬王の自滅で終わるという設定かと... これじゃあ韓国の観客はもどかしくてすっきりせずたまらないでしょう。韓国TVの映画紹介番組でも「残念な点が残る」と言っていました。韓国のネット評では『スカーフェイス』を思わせる、という声もありましたが、やはりウ・ミノ監督(脚本も)は、それに中途半端に影響されて流された点は否定できないかもしれません。

 どうも映画の出来と興行結果は関係ないようで...

返信する
評点とか興行成績とか・・・ (ヌルボ)
2019-01-03 23:06:36
 『スウィングキッズ』は私も大好きな『過速スキャンダル』や『サニー』のカン・ヒョンチョル監督作品ということで期待しています。ゆうきさんがツイッターですごく評価していましたね。 →
https://twitter.com/yuki7979seoul/status/1078901647537893384
 最低評点をつけた人は、と見てみると「빨갱이 미화선동 영화... 결론은 미국이 나쁜넘이네. 에휴」(アカ美化扇動映画...結論は、米国は悪いヤツね。あーあ)等々。
 『PMC: ザ・バンカー』も、「좌익 빨치산 영화임!! 」(左翼パルチザン映画である!!)「진짜 네이버 평론가는 이제 다시 믿지 않을거다.」(ホントにネイバーの評論家はもう二度と信じないだろう。)等々。
 進歩系の人たちは必然的に<親北>になるんですかねー? (それでも良いものは良いとは思いますが・・・。)
 ネチズンや専門家の評点、観客動員数等の数字はあくまでも参考であって、実際の評価・感想は自分で観てみないとわからない、というのがごくあたりまえの結論ですね。 
返信する
アカ美化扇動映画? (yohnishi)
2019-01-04 23:44:22
『スウィングキッズ』が、アカ美化扇動映画というのは、映画を見もせず決めつけている妄言でしょう。一方的に北側を好意的に描いている作品では全くありません。

『PMC...』の方がむしろそう書かれても仕方のない側面大ありです。イ・ソンギュンが木に竹を接いだようなぎこちない北朝鮮なまりの台詞を延々披露するのですが、それがこの映画の政治的ポジションを象徴していると言えます。
返信する
日本での公開を待ちます。 (ヌルボ)
2019-01-05 15:47:10
 やっぱり、予断を排して実際に観てみないとダメですね。たぶん上記3作品とも日本公開はあると思いますから、それまで待ちます。

 直接関係ありませんが、韓国語の先生の話によれば、韓国の映画・ドラマで話される北朝鮮語というのはパターン化されていて、必ずしも実際の北朝鮮語とはいえないとのことです。そういえば、「北朝鮮では「アンニョンハシムネカ?」とは言わない」ということを何かで読んだことがあります。
返信する

コメントを投稿

韓国内の映画の人気ランク&興行成績」カテゴリの最新記事