ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[10月26日(金)~28日(日)]

2012-10-30 23:53:50 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 コリアン・シネマ・ウィークの「合唱(DureSori)」と、東京国際映画祭で上映された「眠れぬ夜」について、先週「これらについては来週書くかな」と書きましたが、これは持ち越しということにして・・・。(てへぺろ) 

 昨日(10月29日)は、午前に「高地戦」、夜に「ザ・レイド」と★5つ級の映画を2本観ました。今まで同じ日に観た2本の映画で最高の組み合わせは、1999年閉館直前の東銀座・松竹セントラルで観た「事件」と「砂の器」の2本立てで、これはほとんど不動の1位。しかし昨日の2本も、いずれも非常にレベルの高い作品でした。「高地戦」は、大がかりな娯楽アクションを期待した向きは当てが外れたと思うかもしれませんが、韓国での朝鮮戦争の「振り返り方」で、また新たにユニークな見方が現れた点が興味深かったです。たぶんそのうちに独立した記事にする、かな?
 角川シネマ有楽町で観たインドネシア映画「ザ・レイド」はおそるべき実写アクション。同じアジア映画では「マッハ!!!!!!!!」がすごいなーと思いましたが、これはもっと容赦ナシというか、凄惨というか・・・。まあ予告編(→コチラ)を見てみてくださいな。実はこの作品、韓国では今年5月に公開されていて、本ブログ5月22日の記事で少し紹介しました。その時から注目していたのですが、期待を裏切らなかったですねー。

 さて、その角川シネマでの予告編で「シュガーマン 奇跡に愛された男」というのをやってました。以前書いたように、多くの外国映画は日本より韓国の方が公開が早いので、こうした記事を毎週続けていると予告編を観ていてしばしば既視感にとらわれることがあります。この「シュガーマン」の場合は既視感どころか、今韓国で上映中で2週前の記事では内容紹介を書きましたから、すぐわかりました。日本公開は来年春とのこと。あいかわらず遅いなー。
 また角川シネマの予告編での注目は大映創立70周年記念ということで11月23日~12月21日に38作品一挙上映するとの企画。おっ「あなたの「ベスト・オブ・大映作品」を教えてください」というのをやってるゾ。うーむ、私ヌルボなら「無法松の一生(1943)」、「狐の呉れた赤ん坊」、「あに・いもうと」・・・、古いのばっかだなー。あら、<GyaO!>のサイトでもみられるになってるの!?

 もうたくさん書きすぎちゃったので、11月23日から始まる<東京フィルメックス>については、興味がある方はリンク先の公式サイトをご覧ください。

[今知った朗報!] 私ヌルボがかねがね「なんでこの映画を日本で上映しないのか!」と声を大にして言ってきたカンプル原作の「あなたを愛しています」が今年12月末からシネスイッチ銀座等で「拝啓、愛しています 」の邦題で公開されます。よかったよかった(涙)。あら、もう8月の段階でシークレット試写会とやらで観ちゃった人がいるの!?(→コチラ)。号泣しちゃいましたか、やっばり。

          ★★★ Daumの人気順位(10月30日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①Mac Korea(韓国)  9.9(71)
②MBの思い出(韓国)  9.4(364)
③シュガーマン 奇跡に愛された男  9.4(59)
④地上の星のように  9.2(134)
⑤ヤコブへの手紙  9.2(30)
⑥バービー(韓国)  9.1(20)
⑦おおかみこどもの雨と雪(日本)  9.1(238)
⑧ピエタ(韓国)  8.8(1478)
⑨テイク・ディス・ワルツ  8.6(60)
⑩メリダとおそろしの森  8.5(178)

 先週に続き①と②がたぶん政局ともからんで好調。
 ③「シュガーマン 奇跡に愛された男」は、上述のようなわけで先週までの「SEARCHING FOR SUGAR MAN」から表記を改めました。
 で、新登場は⑥「バービー」だけです。「ボビー」とした方がいいかもしれません。韓国語ではBarbieもBobbyも「바비(バビ)」と同じ表記になってしまうので紛らわしいです。さて、この映画は本ブログの過去記事で書いた、韓国の映画やドラマによくある海外「入養児」の問題を素材にした作品で、その過去記事でとりあげた「冬の小鳥」キム・セロンが2度目の主役として知的障害を持つ父・叔父・妹と一緒に暮らす少女スニョンを演じています。彼らが住む町にアメリカ人の父娘が来て、スニョンはその娘ボビーと親しくなります。叔父(イ・チョニ)は彼女を養子縁組させようと画策し、またアメリカに憧れるスニョンの妹スンジャ(キム・アロン)は姉を露骨に妬み、何とか自分が代わろうとします。ところが、この養子縁組の話には驚くべき「裏」の企みがあったのです・・・。2011年釜山国際映画祭で上映され、今年の第42回イタリア・ジフォーニ国際映画祭で韓国映画としては初めて最優秀作品賞を受賞しました。<韓国映画スタッフブログ>の記事では、キム・セロンと、彼女の実妹のキム・アロンの演技を絶賛しています。とくにキム・アロンについて「すごい女優になると思いますよ」と最上級の賛辞。(大分前にチョン・ユミについて下した「予言」は目下着々と実現しつつあるようだし、信用できそう。) また「子どもが主人公ではあるけど、子どもに見せるにはあまりにも残酷な映画」と評しています。ポスターの文字にも「두 자매의 잔혹동화(2人の姉妹の残酷童話)」とあります。

【専門家による順位】

①007 スカイフォール  8.2(4)
②おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
③ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
④少年は残酷な弓を射る  7.7(7)
⑤二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑥シュガーマン 奇跡に愛された男  7.6(3)
⑦テイク・ディス・ワルツ  7.5(6)
⑧メゾン ある娼館の記憶  7.5(2)
⑨バービー(韓国)  7.5(2)
⑩光海、王になった男(韓国)  7.2(8)

 ①と⑨が新登場です。
 ①「007 スカイフォール」は、日本では12月1日公開ということで、すでに予告編をはじめ諸情報が出回っています。韓国題は「007 스카이폴」。
 ⑨は上述の通り。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月26日(金)~28日(日)] ★★★

         久々の外国作品「007 スカイフォール」が1位に

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・007 スカイフォール ・・・・・・・・・・10/26 ・・・・・・・・・・・・・・・870,822・・・・・・・・・・871,809・・・・・・・・・6,600・・・・・・・749
2(1)・・光海、王になった男(韓国)・・・・・・9/13 ・・・・・・・・・・・・・・・412,751 ・・・・・・・10,944,723 ・・・・・・・79,379・・・・・・・503
3(2)・・容疑者X(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・10/18 ・・・・・・・・・・・・・・・325,251 ・・・・・・・・1,233,641 ・・・・・・・・8,974・・・・・・・436
4(新)・・鋼鉄デオ:救国の岡持ち(韓国)・・10/25 ・・・・・・・・・・・・・119,288・・・・・・・・・・158,821 ・・・・・・・・1,108・・・・・・・358
5(5)・・メリダとおそろしの森・・・・・・・・・・・9/27・・・・・・・・・・・・・・・・・42,087・・・・・・・・・1,186,521 ・・・・・・・・8,732・・・・・・・153
6(3)・・会社員(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・10/11・・・・・・・・・・・・・・・・・40,648・・・・・・・・・1,091,600 ・・・・・・・・8,183・・・・・・・261
7(4)・・LOOPER/ルーパー ・・・・・・・・・・10/11 ・・・・・・・・・・・・・・・・36,434 ・・・・・・・・・・547,587・・・・・・・・・4,085・・・・・・・181
8(40)・・パラノーマル・アクティビティ 4 ・・10/25 ・・・・・・・・・・・・・・・34,914 ・・・・・・・・・・・43,270・・・・・・・・・・・306・・・・・・・173
9(新)・・非情な都市 監督版(韓国)・・・・10/25 ・・・・・・・・・・・・・・・・10,603 ・・・・・・・・・・・16,722・・・・・・・・・・・120・・・・・・・170
10(8)・・危険な関係(韓国)・・・・・・・・・・・・10/11 ・・・・・・・・・・・・・・・・・5,998 ・・・・・・・・・・293,263 ・・・・・・・・・2,090・・・・・・・・70
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「光海、王になった男」は2位に落ちましたが、1100万人に迫りました。今現在韓国映画歴代で7位。今後6位「シルミド」(1108万人)5位「TSUNAMI -ツナミ-」(1132万人)4位「ブラザーフッド」(1174万人)にどこまで迫るか?
 今回の新登場は、1・4・8・9位の4作品です。
 1位「007 スカイフォール」は上述の通りです。
 4位「鋼鉄デオ:救国の岡持ち」は、ヌルボの個人的注目作。コメディとなっていますが、歴史的・社会的要素も盛り込まれています。時代背景は民主化闘争の最盛期の1985年。この映画の原題は「강철대오:구국의 철가방」ですが、日本の関係記事の多くは「鋼鉄隊列:救国の鉄ボックス」などと訳しています。しかしデオ(대오)は「隊伍」とも読めますが主人公の名前。大学の近くの中華料理店で出前持ちとして働いている青年(キム•イングォン)です。で「鉄カバン(철가방)」とは出前の時に用いる岡持ちのことです。その青年がひとりの女子大生(ユ・ダイン←「短い記憶」の)を見て一目惚れするのですが、当時は中華料理店の出前持ちと女子大生の愛は不可能に近かった上、青年の外見は「평미남(ピョンミナム.平未男)」つまり平均未満の男。一方彼女の方は運動圏の学生で、民主化闘争に参加して仲間たちとともに米国文化院を占拠し(1985年5月23日の史実)、長期間の座り込みを始めるのですが、こんな社会状況の中で「ピョンミナム」の彼が意外にがんばっちゃうんですね・・・。監督は、2010年公開の「パンガ? パンガ!」で88万ウォン世代の悲劇と外国人労働者の労働実態を笑いを交えて描いて注目されたユク・サンヒョ監督。ポスターをみると「美男独裁打倒」と書かれてます。「東亜日報」によるキム・イングォンのインタビュー記事(韓国語)は→コチラ
 8位「パラノーマル・アクティビティ 4」は、日本では明後日11月1日公開です。韓国題は「파라노말 액티비티4」。
 9位「非情な都市 監督版」は韓国製のサスペンス。深夜タクシーのひき逃げ、凶悪な殺人犯の脱獄、がんを患っている妻の病院費のため借金を使ってしまって危機に陥った男・・・。24時間の間に次々起こる衝撃的な10件のエピソードが絡み合って巨大な1つの物語を作っていく・・・。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・テイク・ディス・ワルツ ・・・・・・・・・・9/27 ・・・・・・・・・・・・・・・・3,078 ・・・・・・・・・・・・・44,006 ・・・・・・・・351 ・・・・・・・・・15
2(1)・・おおかみこどもの雨と雪(日本)・・9/13 ・・・・・・・・・・・・・・・・2,122 ・・・・・・・・・・・・326,770 ・・・・・・2,258・・・・・・・・・・13
3(4)・・シュガーマン 奇跡に愛された男・・10/11・・・・・・・・・・・・・1,563・・・・・・・・・・・・・・12,091 ・・・・・・・・・83・・・・・・・・・・15
4(3)・・愛の沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/11・・・・・・・・・・・・・・・・1,352・・・・・・・・・・・・・・14,290 ・・・・・・・・・96・・・・・・・・・・17
5(15)・・夜が行くところ ・・・・・・・・・・・・・・10/25・・・・・・・・・・・・・・・・・・866・・・・・・・・・・・・・・・1,268 ・・・・・・・・・10・・・・・・・・・・11

 新登場は5位「夜が行くところ」だけ。これはフランス語の原題「Où va la nuit」を直訳したヌルボの仮題で、韓国題は英題「The Long Falling」に拠って「롱 폴링」です。「セラフィーヌの庭」のマルタン・プロヴォスト監督作品。長年の夫の暴力に耐えかねて、妻が夫を轢いて殺してしまいます。夫の葬式後、妻は数年前に家を出た息子のアパートで居候を始めます。が、罪の意識は消えない。はたして彼女は自分の居場所を見つけることができるだろうか、という物語のようで、→コチラのブログ記事
を書かれた方は「どんより暗い気持ちになってしまいました。土曜日の早朝から観る映画ではなかった」とのことです。

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4 コメント

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高地戦ほか (yohnishi)
2012-11-02 00:22:49
 「高地戦」はなかなか奥深い映画ですね。似たようなテーマを扱った中国映画「戦場のレクイエム(集結号)」と見比べてみるとまた興味深いかと。やはり中国だとそっちへいっちゃうか、という感じですが...
 また、昨年秋にNHK教育で放映されたドキュメンタリー「おじいちゃんと鉄砲玉」ともテーマ的にかぶってきます。
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朝鮮戦争をどう描くか? (ヌルボ)
2012-11-02 02:02:23
再放送も含め見逃していた「おじいちゃんと鉄砲玉」、今動画があるのを知って初めて観ることができました。どうもどうも。

「戦場のレクイエム(集結号)」は未見ですが(「そっち」以外にないだろうと思って・・・。)やはり、ですか。

朝鮮戦争をどう描くか(どう見るか)ということには、その韓国人の「立ち位置」が如実にあらわれると思います。
個人と国や民族との距離感や、人間関係・組織に対する姿勢、もちろん思想や理念といったもの等々についての・・・。
以前「戦火の中へ」の感想を書いたことがありました。→
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/fcd0682f936b6b46e98ac1589fcdee12
感想というより、疑問をずらっと並べただけのような記事でしたが、その後私なりに少し考え直したりもしてます。
「高地戦」や、他の朝鮮戦争映画と合わせてまた何か書いてみようかと思いながらも、私の能力ではかなり無理っぽいかも・・・。
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re: (yohnishi)
2012-11-04 19:58:33
 「集結号」に関しては、やはり「そっち」なのだけれど、個人的には必ずしもネガティブに評価しているわけではありません。
 たぶん、馮監督は、中国で商業映画として受け入れられる、ぎりぎりのラインまで問題提起をしようとしたのだと思います。ただ、いくら頑張ったとしても、あそこがやはり監督の責任というよりは、中国社会の限界なのだなぁ... というあたりが如実にわかる作品であるかと。
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「国策」と監督 (ヌルボ)
2012-11-04 23:22:07
考えてみれば、日本でもかつての軍国主義下で国策映画がたくさん作られた中でも、田坂具隆「五人の斥候兵」あたりから木下恵介「陸軍」に至るまで、厳しい状況下で監督の思いが伝わる映画も作られたのですね。

今も同様で、先入観で判断してしまうのはよくないということを反省しました。
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