ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画の興行成績 [11月5日(金)~11月7日(日)]と人気順位 ▶「エターナルズ」が新登場で100万人超え1位 ▶韓国でも記者・評論家の圧倒的支持! 「ファースト・カウ」の日本公開はあるの?

2021-11-10 20:01:40 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今年は例年より2割ほど多いペースで映画を観ています。1週間に約3本で、年間150本に届くかどうか?といったところ。その分読書等の時間も減るし、生活費も切り詰めなくちゃということになり、反省点がたくさん。映画の短評も書くつもりではいるものの書かないまま何ヵ月も経ってしまいました。
 ということで、とりあえず7月以降に観た53作品の中からこれはぜひオススメ!という作品を列挙します。(といっても、すでに上映が終わったものがいくつもありますが・・・。) ※新作・旧作ごちゃまぜ。
 「お引越し」・「逃げた女」・「ヘヴンズ ストーリー」・「サマーフィルムにのって」・「アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3/Bプログラム:岡本忠成作品」(の中の「「おこんじょうるり」」)・「ドライブ・マイ・カー」・「子供はわかってあげない」・「座頭市物語」・「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」・「ソウルメイト/七月と安生」・「ルパン三世 カリオストロの城」・「カウラは忘れない」・「モーリタニアン 黒塗りの記録」・「リスペクト」・「サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜」
「ドライブ・マイ・カー」と目下上映中の「サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜」必見!です。
     
【「ヘヴンズ ストーリー」の上映後トークで来館の山崎ハコさんと、いただいたサイン】

▶今回の興行成績ランキングは10位までにアメリカ映画が7作品とほぼ席捲というレベル。その中で個人的に注目したのは「ファースト・カウ」「セバーグ」。とくに前者は今年7月からシアター・イメージフォーラムを皮切りに各地で特集上映が続いている<ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ>の、そのケリー・ライカート[ライヒャルト]監督の作品で、スリリングな展開と語り口は意識的に避けるという監督の姿勢は一貫していると見えて、「眠くなる」という感想も多いようですが、そこが<取り柄>かも・・・。(詳しくは下の記事で。) アメリカ等でも一般の映画ファン以上に批評家から絶賛されているようだし、下記の記者・評論家の人気ランキングでも1位だし、こういう作品はスルーされないだろうとは思いますが、今のところ日本公開は未定のようです。
 「セバーグ」は、ブラック・パンサー等をサポートしたためFBIからマークされていた女優ジーン・セバーグがそのために精神面でバランスを崩して・・・という事実に基づくはなしですが、FBIからマークされて・・・という事実に基づく話のようです。で、コチラも日本公開未定のようなんですね。日本公開の場合でも韓国に数ヵ月~1年程度遅れをとるのは日本では公式サイトを作ったり等の事前準備を要するため云々といった記事を読んだりもしましたが、どうにかならんですかねー・・・。

    ★★★ NAVERの人気順位(11月9日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) 共鳴の誕生(韓国)  9.80(10)
②(3) 学校に行く道(韓国)  9.57(162)
③(4) 若い盛りのソンニョさん(韓国)  9.49(37)
④(5) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.33(2,936)
⑤(新) パリの星空の下  9.27(11)
⑥(6) コーダ  9.25(624)
⑦(8) ロン 僕のポンコツ・ボット  9.22(577)
⑧(7) 奇跡(韓国)  9.21(4,077)
⑨(9) 映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)  9.22(457)
⑩(-) 私にはとても大切なあなた(韓国)  9.12(365)

 ①と⑤の2作品が新登場です。
 ①「共鳴の誕生」は韓国のドキュメンタリー。小児麻痺の孤児で片耳の聴力さえ喪失した彼を抱いてくれたのは太鼓作りの職人でした。この厳しい世の中で生き残るためには太鼓を作らなければならないという師匠の教えを心に刻み、歯を食いしばって耐えてきた60年。70歳を控えているイム・ソンビン楽器匠は、残された片耳の聴力までも失うだろうという悲報に接して、幼い頃初めて聞いたあの音を盛り込んだ太鼓を作るために23年間のとっておきの木を取り出します。しかし天気も体も、伝授相手の息子トングクとの協業も思うようにはいかないのですが、60年の間頭の中を離れることのなかった最初の太鼓の音の響きが出せる太鼓を作ることができるだろうか、それが彼の一番の気がかりです・・・。原題は「울림의 탄생」です。
 ⑤「パリの星空の下」はフランスのドラマ。人知れぬ事情や心の傷のためホームレスとしての人生を送ることになった女性クリスティーヌ(カトリーヌ・フロ)。世間の無視と冷遇の中で人生を続けてきた彼女の前に、寝場所も母やも失くしたアフリカの難民少年スーリー(マハマドゥ・ヤッファ)が現れます。互いに話すことはありませんが、クリスティーヌはスーリーのお母さんをみつける探すために人々の冷たい視線に耐えながら自分が飾ってきたすべてを投げうちます。夜空を彩る星のように数多くの人々が一人で闇に耐えているというパリを舞台に、疎外された彼らが作った奇跡の物語です・・・。韓国題は「파리의 별빛 아래」。日本公開は未定です。※参考→パリで(?)観た方のブログ記事。ことのついでに同ブログの→パリで観た「ドライブ・マイ・カー」(と観客の反応等)の記事

     【記者・評論家による順位】

①(新) ファースト・カウ  8.40(10)
②(1) グリーン・ナイト  8.20(5)
③(2) ノマドランド  8.00(8)
④(-) あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑤(4) プチ・ママン  7.63(8)
⑥(5) DUNE/デューン 砂の惑星  7.50(8)
⑦(6) アネット  7.44(9)
⑧(7) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
⑨(8) 終着駅(韓国)  7.20(5)
⑩(9) ファーザー  7.13(8)

 ①「ファースト・カウ」が新登場ですが、この作品については後述します。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月5日(金)~11月7日(日) ★★★
          1位「エターナルズ」等アメリカ映画が7作品

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・エターナルズ・・・・・・・・・・・・・・11/03・・・1,138,949・・・・・・1,614,781・・・・・16,962 ・・・・2,646
2(1)・・DUNE/デューン 砂の惑星 ・・・10/20 ・・・・126,493 ・・・・・・・999,695・・・・・10.673 ・・・・・・680
3(2)・・ヴェノム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13・・・・・・47,164・・・・・・2,077,536・・・・・20,656 ・・・・・・777
       :レット・ゼア・ビー・カーネイジ
4(3)・・ロン 僕のポンコツ・ボット・・・10/27・・・・・・33,893・・・・・・・・135,066 ・・・・・1,230・・・・・・・539
5(6)・・オクトノーツと地上のミッション・・10/27・・6,434・・・・・・・・・19,732 ・・・・・・・170・・・・・・・168
6(7)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27・・・・・・・3,186・・・・・・・・・29,010 ・・・・・・・174・・・・・・・・78
7(新)・・セバーグ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・3,155・・・・・・・・・・6,058 ・・・・・・・・59・・・・・・・101
8(10)・・奇跡(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・・2,530 ・・・・・・・700,927 ・・・・・6,536・・・・・・・・37
9(新)・・BILLIE ビリー・・・・・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・2,456・・・・・・・・・・4,034 ・・・・・・・・42・・・・・・・・67
10(89)・・ファースト・カウ ・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・2,391・・・・・・・・・・3,666 ・・・・・・・・33・・・・・・・・34
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1~4位、そして7・9・10位の計7作品がアメリカ映画とは、少なくともこの10年はなかったのではと思います。
 新登場は1・7・9・10位の4作品です。
 1位「エターナルズ」はアメリカのアクション&ファンタジー。日本でも2日遅れの5日に公開されているので説明を省略します。韓国題は「이터널스」です。
 7位「セバーグ」は、アメリカのドラマ&スリラー。タイトルはジーン・セバーグ(1938~79)のこと。ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」(1959)に主演する等1950年代末~70年前後にヌーヴェルヴァーグの寵児となった女優です。彼女は公民権運動や反戦運動に強い関心を持ち、映画の舞台は1968年。パリの五月革命等々世界各地でさまざまな政治・社会運動が起こった激動の60年代のピークともいうべき年です。当時パリに住んでいたジーン・セバーグ(クリステン・スチュワート)は、ハリウッドでの仕事のため空路アメリカに向かいます。そこへ1人の黒人男性が客室乗務員に差別があったと怒鳴り込んできます。彼の名はハキーム・ジャマル(アンソニー・マッキー)。あのマルコムXのいとこの黒人活動家でした。セバーグはLAの空港に降り立つと、記者に囲まれるジャマルの横で他の黒人活動家たちと共に抗議の拳を振り上げます。そして彼女は夜遅くLAの自宅を出てジャマルたちのアジトを訪れ、ウィスキーを緒に飲み、彼と一夜を共に過ごします。しかしその一部始終はFBIに盗聴されていました。FBIは早くからジャマルをマークし、彼の家やアジト等の全てを盗聴していて、その後彼と親密になったセバーグも捜査の対象になってしまいます。そしてジャマル同様自宅も宿泊先のホテルも、全てが盗聴されることに。どこへいっても監視される日々の中で彼女の心は病んでいきます・・・。韓国題は「세버그」。日本公開は未定のようですが・・・。
 9位「BILLIE ビリー」は、ジャズシンガー、ビリー・ホリデイを題材にしたイギリスのドキュメンタリー。日本では(めずらしく)韓国より4ヵ月早い7月に公開されていて、私ヌルボも観ました。韓国題は「빌리 홀리데이」です。彼女があの有名な「奇妙な果実」をNYのナイトクラブ、カフェ・ソサエティで歌っているライブ映像があり、その場にいた白人の客がぞろぞろ出ていくようすも映っているとは思いませんでした。※「奇妙な果実」をご存知ない方は→コチラでぜひ聴いてみてください。(歌詞対訳。閲覧注意です。)
 10位「ファースト・カウ」はアメリカのドラマ。配給は話題のA24です。2020年12月発表の<第86回ニューヨーク批評家協会賞>では「ノマドランド」等を抑えて作品賞を受賞する等、多数の映画賞を受賞しました。物語の舞台は西部開拓時代、1820年のアメリカ。腕利きの料理人クッキー(ジョン・マガロ)は思うように稼げない状況を打開しようとオレゴン州へと向かい、毛皮を取る猟師たちのグループに加わります。そこでロシア人に追われていたルー(オリオン・リー)という中国人を救ってやったことがありましたが、数年後定住した村でクッキーはルーと再会することに。そして2人は金儲けを企てますが、商売の元手も工面できない有り様。そんなある日、2人が暮らす村の村長ファクター(トビー・ジョーンズ)が極上のミルクを出す雌牛を買い付けたことを知り、夜の闇に紛れてその牛のミルクを搾り取り、それを元にクッキーやケーキを作って売り出したところあっという間に大人気! ところがこんなヤクザな商売が長続きするはずがないのが世の常で・・・。韓国題は「퍼스트 카우」。日本公開は未定。ハラハラドキドキの作品ではなく友情の物語です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27・・・・・・・・・3,186 ・・・・・・29,010 ・・・・・・・・・259・・・・・・・・78
2(33)・・ファースト・カウ ・・・・・・・・・・11/04・・・・・・・・・2,391・・・・・・・・3,666・・・・・・・・・・・33・・・・・・・・34
3(3)・・ツバキ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・10/21・・・・・・・・・・・976・・・・・・・10,348・・・・・・・・・・・77 ・・・・・・・17
4(5)・・2度と雪は降らない・・・・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・・・514・・・・・・・・7,689・・・・・・・・・・・55 ・・・・・・・17
5(65)・・クリーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・・・・460・・・・・・・・・・600・・・・・・・・・・・・5・・・・・・・・22

 2・5位の2作品が新登場です。
 2位「ファースト・カウ」については上述しました。
 5位「クリーム」はハンガリーのラブロマンス。真の愛だと信じていた恋人に裏切られ、毎日涙に暮れていた悲恋の女性ドラ(ヴィツァ・ケレケシュ)。泣きっ面に蜂で、人生の唯一の太鼓判デザートカフェ、<クリーム>まで失う危機にさらされます。カフェを蘇らせるための打開策として<家族事業対象支援大会>に参加するため、ドラは歯科医のマルシー、隣家の子供ラシカと契約して家族を急造して、賞金を獲得するための孤軍奮闘を始めます。ところが元カレとその妻が競争相手として登場するという笑えるけど悲しい状況の中で、ドラはマルシーにますます惹かれていくのですが・・・。韓国題は「크림」。日本公開は未定のようです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国内の映画の興行成績 [10... | トップ | 韓国内の映画の興行成績 [11... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国内の映画の人気ランク&興行成績」カテゴリの最新記事