ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [5月26日(金)~5月28日(日)]

2017-05-30 20:01:20 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 欧米や日本等の先進諸国がポストモダンだの脱国民国家だのと言ったりしているこの今、韓国等の愛国心の発露といった<独島愛>やスポーツの場でのパフォーマンス等を見るとなんだか<周回遅れ>といった感じがします。また中国は場所によって<明治>から<平成>までが混在しているそうです。北朝鮮はというと、金日成が日本の残滓を一掃した際近代的な仕組み・考え方等も排除した(=「タライの水と一緒に赤子も捨てた」)ため封建時代に逆戻りし、近年市場経済の発展でようやく近代資本主義の緒に就いたところかな? 世界規模で見てみると、(日本基準では)数十年どころか1世紀以上先進諸国の後追いをしている所もあります。
 世界各国の映画を観ると、時にそんな国々の昔ながらの自然や集落の風景だけでなく、遅れた社会制度や意識までもが映画という近現代的道具により撮影され、物語が展開します。私ヌルボ、それを先進国に属する1人として映画館で観ていて、ふと不思議な感覚に囚われることがあります。
 昨日観たパキスタン映画「娘よ」がまさにそうでした。カラコルム山脈を臨む一帯で、部族同士の抗争の和解手段として父親が敵対部族の長に10歳になる娘ゼナブを嫁がせることに。しかしゼナブの母は娘の未来を案じて部族の掟に逆らい、娘を連れて逃亡を図る・・・。って、これが現実をふまえた作品とは・・・。単に娯楽映画としての出来を云々する以前に、そんなことをいろいろ考えさせられました。
 同じシネマ・ジャック&ベティで続けて観たのが「台北ストーリー」。「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」と同様に、それぞれに問題を抱えた登場人物がその時代(1980年代)の雰囲気の中で絡み合い、そして悲劇がむしろ淡々と描かれて行きます。ただ10代の若者たちがメインの「牯嶺街・・・」とは違って、コチラは最初から職場や家族等の問題を抱えた大人たちの物語なので、その分すすけた印象が最初からつきまとっているのが見ててシンドイところ。

 「ウルボ ~泣き虫ボクシング部」<は東京朝鮮高級学校の拳闘部に焦点を当てたドキュメンタリー。日本の高校(←いろいろあるけど)と比べると、たぶん生徒間、また顧問の先生と部員間の関係はずっと緊密ではないかと思いました。そしてボクシングに熱心に取り組んでいるからこそ→「ウルボ(泣き虫)」になる。
 部員たちだけでなく、彼らの親も何人も登場。国籍は朝鮮籍・韓国籍・日本籍といろいろ、ということは知っていましたが、ある生徒は父母が朝鮮籍・韓国籍と異なっているとか。しかし「同じ朝鮮人じゃないですか」と(少なくとも表では)問題視していません。私ヌルボ、今年2月に<在日コリアンの8割は韓国語(朝鮮語)ができない。民族意識が強くない人も多数(推定)>という記事を書きました(→コチラ)が、アイデンティティで分類すると<同胞志向型>となるのでしょうね。この映画だけで「在日とはこういう人たち」と思い込まないことです。
 なお2014年に「60万回のトライ」という感動的なドキュメンタリーを観ましたが、それは大阪朝鮮高級学校のラグビー部の話。ソチラは、部員たちが屈託のなさそうなようすで、笑う場面がたくさんあったように思います。両朝高の校風あるいは部活の雰囲気の違いというよりも、東京人と大阪人の違いといったものかもしれません。

 すでにシネマート新宿で公開されている「トンネル 闇に鎖された男」。韓国で大ヒットし、評価も高いのに上映館数も少なく、認知度も低そうなのは残念。横浜のシネマ・ジャック&ベティでは6月3〜10日上映。ヌルボはソチラで観る予定。なお、「崩落したトンネル内に閉じ込められて・・・」云々という設定は、あのセウォル号沈没事件が念頭に置かれている、ということです。

 先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(5月30日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(2) マリアンヌとマーガレット(韓国)  9.51(76)
②(3) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.43(211)
③(-) 高麗アリラン ディーバ(韓国)  9.40(10)
④(4) ヒドゥン・フィギュアズ  9.36(2,899)
⑤(5) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.29(467)
⑥(6) 劇場版 黒子のバスケ LAST GAME(日本)  9.26(362)
⑦(-) ウィークエンド  9.25(169)
⑧(-) 風に濡れた女(日本)  9.25(12)
⑨(-) 影の島(韓国)  9.23(99)
⑩(10) 再び、桜(韓国)  9.22(193)

 ③と⑧の2作品が今回の新登場です。
 ③「高麗アリラン 天山のディーバ」は韓国のドキュメンタリー。カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス共和国等の各地に暮らす朝鮮民族の血を引く人々にとって<高麗劇場>がやって来る日はお祭りのような日です。家族に久しぶりに再会したように涙を流して喜んだり・・・。ロシア人の母と高麗人の父から受け継いだ美しい声で愛されたバン・タマラと、100余りの役を演じた舞台の女王イ・ハムドクは、シベリアの原野を舞台に慰労のステージを披露しました。その2人のDIVA(歌姫)の生き様を綴ります・・・。原題は「고려 아리랑: 천산의 디바」です。
 ⑧「風に濡れた女」は、製作開始から45周年を迎えたロマンポルノのリブート・プロジェクトの1作。昨年12月公開され、国内での評価も高かったようですが、私ヌルボ、観てません。観るべきだったかな? うーむ・・・。韓国題は「바람에 젖은 여자」です。
 なお、「廬武鉉です」は9,04の高ポイントですが、その採点者数が6,077人にも達しているのはオドロキ。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
②(2) セールスマン  8.20(5)
③(3) 夜の海岸で独り(韓国)  7.83(6)
④(6) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑤(-) 私たち(韓国)  7.66(14)
⑥(7) 聲の形(日本)  7.50(4)
⑦(-) ゲット・アウト  7.17(6)
⑧(-) 影の島(韓国)  7.14(7)
⑨(10) エイリアン:コヴェナント  7.13(8)
⑩(-) 午後8時の訪問者  7,00(6)

 今回新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績5月26日(金)~5月28日(日) ★★★

         ドキュメンタリー「廬武鉉です」がオドロキの2位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・パイレーツ・オブ・カリビアン・・5/24 ・・・・・・・・1,155,358・・・・・・・・・・1,526,548・・・・・・・・12,902 ・・・・・・・1,328
        /最後の海賊
2(30)・・盧武鉉です(韓国)・・・・・・・・・・5/25・・・・・・・・・・・510,149 ・・・・・・・・・・・596,212・・・・・・・・・4,901 ・・・・・・・・・774
3(1)・・ゲット・アウト・・・・・・・・・・・・・・・・5/17・・・・・・・・・・・402,607・・・・・・・・・・1,722,815・・・・・・・・14,176 ・・・・・・・・・616
4(2)・・ごろつき集団 ・・・・・・・・・・・・・・・5/17・・・・・・・・・・・111,133 ・・・・・・・・・・・846,259・・・・・・・・・6,869 ・・・・・・・・・485
        :悪い奴らの世界(韓国)
5(4)・・ザ・ボス・ベイビー・・・・・・・・・・・・5/03 ・・・・・・・・・・・99,715・・・・・・・・・・2,340,538・・・・・・・・18,119 ・・・・・・・・・500
6(新)・・君と100回目の恋(日本) ・・・・5/25・・・・・・・・・・・・23,630 ・・・・・・・・・・・・30,132・・・・・・・・・・・244 ・・・・・・・・・140
7(7)・・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・・5/03・・・・・・22,264・・・・・・・・・・2,722,334・・・・・・・・23,351 ・・・・・・・・・168
        :リミックス
8(6)・・保安官(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・・20,770・・・・・・・・・・2,575,554・・・・・・・・20,759 ・・・・・・・・・239
9(3)・・キング・アーサー ・・・・・・・・・・・・5/17・・・・・・・・・・・・20,035 ・・・・・・・・・・・408,198・・・・・・・・・3,321 ・・・・・・・・・313
10(5)・・エイリアン:コヴェナント ・・・・・5/09・・・・・・・・・・・・15,804 ・・・・・・・・・1,296,445・・・・・・・・10,662 ・・・・・・・・・156
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1位はこのところどんどん入れ替わるものの、ほとんどアメリカ映画。それもシリーズ物がなんと多いことか。それでも観客はそこそこ集まるのでいいということか? 日本では大高宏雄さんがしばしば指摘しているように翳りが感じられるのになー。韓国でも1位にはなっても長続きしないし・・・。
 今回の新登場は1・2・6位の3作品です。
 1位「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」は、ジョニー・デップ主演の人気シリーズ第5弾。伝説的なカリブの海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)の前に、かつてジャックにはめられ、海の死神として“魔の三角海域“に幽閉されたサラザール(ハビエル・バルデム)が復讐のために現れます。両者の間に隠された巨大な秘密・・・。ジャックはこの<最恐の敵>に勝ち抜くべく、死闘を開始します・・・。韓国題は「캐리비안의 해적: 죽은 자는 말이 없다」。日本公開は7月1日です。
 2位「盧武鉉です」は韓国のドキュメンタリー。盧武鉉は、国会議員、市長選挙など出馬する選挙ごとに何度も落選した万年最下位の候補でした。その彼が2002年の大統領選挙にも参戦し、新千年民主党の国民参加の予備選挙に臨みます。済州を皮切りに、全国16都市で行われた予備選挙では熾烈な争いが展開され、二転三転する状況の中、済州3位、蔚山で1位、そして光州をも席巻します。支持率2%の最下位候補盧武鉉が全国を揺るがし始め。ついには大統領の座に上ります。盧武鉉元大統領の映像や、彼を支えた人々へのインタビュー等々で構成され、まさに大統領選挙という状況下で、当然後継者というべき文在寅候補陣営の政治宣伝っぽい映画。ソウルで観たSARUさんのツイート(→コチラ)によると、「後半、大統領となってのパレードが、突然、暗転して、同じ路上ながら葬列のシーンへ」となり、「このあたりから周囲の韓国人が何人も泣き出して、劇場が明るくなるまで止まらない」とか。また「盧武鉉が大統領として国政に当たった時期について、ほとんど触れられていない」とのこと。ふーむ・・・。原題は「노무현입니다」です。
 6位「君と100回目の恋」は、今年2月の公開だったのか。ラブ・ストーリーである上に、設定自体に「??」の念を抱いたのでヌルボはためらうことなくスルーしたのでコメントする資格ナシです。韓国題は「너와 100번째 사랑」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・君と100回目の恋(日本) ・・・・・・・・5/25 ・・・・・・・・・・・23,630 ・・・・・・・・・・・30,132・・・・・・・・・・・・・244・・・・・・・・・140
2(1)・・ロスト・イン・パリ・・・・・・・・・・・・・・・・・5/18 ・・・・・・・・・・・・3,078 ・・・・・・・・・・・16,317・・・・・・・・・・・・・131・・・・・・・・・・39
3(51)・・ネルーダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/25 ・・・・・・・・・・・・2,215 ・・・・・・・・・・・・3,611・・・・・・・・・・・・・・28・・・・・・・・・・36
4(新)・・牛バエ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/25 ・・・・・・・・・・・・1,930 ・・・・・・・・・・・・3,913・・・・・・・・・・・・・・29・・・・・・・・・・49
5(5)・・徐舒平(ソ・ソピョン)、・・・・・・・・・・・・・4/26 ・・・・・・・・・・・・1,868 ・・・・・・・・・・・98,236・・・・・・・・・・・・・727・・・・・・・・・・19
        ゆっくり平穏に(韓国)

 1・3・4位の3作品が今回の新登場です。
 1位「君と100回目の恋」については上述しました。
 3位「ネルーダ」は、チリの伝説的な詩人パブロ・ネルーダを主人公にしたチリ映画です。権力に抵抗した政治家であり、民衆の声を代弁するネルーダ'。公然と政府を非難した彼を捕まえて来いという大統領の令を受けた秘密警察のオスカーは、妻のデリアと共に隠れ住むネルーダの痕跡を昼夜を問わず追います。ところが皮肉なことに、隠遁生活が長くなるほどネルーダは世界的英雄になって行き、彼を捕まえなければならないオスカーさえ彼が残した本の中の文章に魅了されてしまいます・・・。韓国題は「네루다」。日本公開は年内とのことです。
 4位「牛バエ」は韓国の犯罪・ドラマ。区庁に勤めるヘウク(キム・ジヌ)はスギョン(イ・ヨンドゥ)との結婚を控えていました。素朴ながらも幸せだった彼の日常は、父と姉がある不法金融会社にだまされ、大きな損害を受けてから徐々に壊れていきます。ヘウクは被害者の集まりに参加し、事件解決のために努力するものの、未解決のまま事件の容疑者であるチュ会長(イ・ギョンヨン)の死亡が伝えられます。このまま事件は一段落してしまうように見えましたが、ヘウクは死亡したと伝えられた会長を探し出すために飛行機に乗ってベトナムに向かいます・・・。原題は「쇠파리」です。

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