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2000年代の外国映画と、韓国映画の個人的ベスト・テン [&日本映画]

2020-07-17 13:33:32 | 韓国映画(&その他の映画)
    

→ <1990年代の外国映画と、韓国映画の個人的ベスト・テン>の続きです。

 2018年7月下旬特別号の<1970年代外国映画ベスト・テン>に始まる「キネマ旬報」の<創刊100年特別企画>なのですが、かなり本格的な映画オタク(&韓国オタク)になって年に70本以上見うになったのは90年代以降。そこらへんの事情は前の記事で書きました。) そんなわけで、個人的に○○年代外国映画ベスト・テンを作成してみたのは上掲が最初。
 そして今回は、「キネ旬」7月上旬特別号に<2000年代外国映画ベスト・テン>が載っていたので、さっそく考えてみました。

《私ヌルボの2000年代外国映画ベスト・テン》


①ヤン・イクチュン監督「息もできない」(2008.韓国)
②クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト」(2008.米)
③クリント・イーストウッド監督「グラン・トリノ」(2008.米)
④ダニス・タノヴィッチ監督「ノー・マンズ・ランド」(2001.仏・伊・ベルギー・英・スロヴェニア)
⑤ギレルモ・デル・トロ監督「パンズ・ラビリンス」(2006.スペイン・メキシコ)
⑥姜文監督「鬼が来た!」(2000.中国)
⑦ラージクマール・ヒラニ監督「きっと、うまくいく」(2009.インド)
⑧ロジャー・ドナルドソン監督「世界最速のインディアン」(2005.ニュージーランド・米)
⑨クァク・ジェヨン監督「猟奇的な彼女」(2001.韓国)
⑩マルク・ローテムント監督「白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々」(2006.独)


[次点]
・ユン・イノ監督「僕が9歳だったころ」(2004.韓国)
・ハイレ・ゲリマ監督「テザ 慟哭の大地」(2008.エチオピア・独・仏)
・ポン・ジュノ監督「殺人の追憶」(2003.韓国)
・ポン・ジュノ監督「グエムル 漢江の怪物」(2006.韓国)
・クリント・イーストウッド監督「ミリオンダラー・ベイビー」(2004.米)
・イ・ヘジュン監督「彼とわたしの漂流日記」(2009.韓国)

 今回は10位まですべて日本での公開年に映画館で観た作品ばかりです。
 ①は確定で、②と③は順不同、④~⑥も順不同。⑦以下と次点の6作品もほとんど差はありません。
 1~10位と次点を書き出した後「キネ旬」のベスト・テンを見て照らし合わせてたら、「キネ旬」の9位(13作品)までに入っているのは②と③の2作品で、次点の「殺人の追憶」「ミリオンダラー・ベイビー」も含めると4作品。なおヌルボの①「息もできない」は「キネ旬」では14位でした。ま、そんなもんでしょ。なお、韓国映画ではイ・チャンドン監督の「オアシス」が9位に入っています。この「オアシス」は私ヌルボずっと気が進まず、やっと昨年観たのですが、→コチラで書いたように、やっぱり自分には合わなかったです。

 今回も、歴史や社会を考えさせてくれる作品が結果的に多くなりました。③や⑤は「キネ旬」でも上位に入りましたが、④と⑥にそれぞれ3人と2人が票を投じているのはうれしい! しかし、⑩「白バラの祈り」はゼロ。(ヒトラーに命を賭して抵抗した人たちのことはぜひ中高生たちに広く知ってほしいものです。) 次点の「テザ 慟哭の大地」は、専門家でも観ている人は多くはなさそう? 1974年エチオピアでは経済危機等が続く中、軍部が主導して40年以上続いたハイレ・セラシエ皇帝を廃位し、社会主義をめざした革命が起こります。当時ドイツにいたエチオピアの留学生仲間の中にも帰国した者もいましたが結局は軍事独裁政権を支える側に・・・。主人公は約20年後エチオピアの故郷の村に帰りますが・・・。(詳しくは→コチラ。)

 この特集にはベスト・テン以外にも00年代の映画の特色がいくつかの記事にまとめられています。たとえば森直人さんによる「9・11以後の映画」は、01年のあの同時多発テロが「アメリカの“正義”の所在を問うみとになった」とし、その例として「ダークナイト」を上げて、ここでのジョーカーは「既存の社会コードを失効させるゲームチェンジャー」で、一方「バットマンは価値基準から相対化されてしまう」と記しているのはまさに同感! そこにこそ「タークナイト」の新鮮な魅力がありました。※昨年の「ジョーカー」は、ジョーカー誕生の説明がありきたり。こんな程度でジョーカーになっちゃダメ! むしろ多くの人々が仮面を被って街に出て行くあたりがキモか。)
 そして当然のように「韓国映画隆盛の幕開け」と題した佐藤結衣さんの記事があります。やはり最近の多くの韓国映画関係の記事同様「シュリ」から書き起こしていますが、その登場の背景として90年代前半から起きていた映画業界の構造変化がある」と指摘している点に注目しました。それまでの監督中心の映画制作だけでなく、「若いプロデューサーたちがマーケティングを意識した企画を立てて大企業の投資を呼び込み、新人監督たちを起用して撮影するといった形で新鮮な作品を生み出せるようになった」とのことです。なお、94人の選者の中で、「2000年代は怒涛の韓国映画に尽きる」と記している塩田時敏さん、冒頭から「とにもかくにも韓国映画 !!」と書き出している山田耕太さんをはじめ韓国映画について特別に触れている人は約15人いました。90年代後半以降に生まれた若い世代にとって、「シュリ」以前(or「冬ソナ」以前)の日本人の韓国文化の認知度がどうだったか想像がつかないでしょうね。世代間の韓国のイメージの差が非常に大きいことが伝えられていますが、よくわかります(が、どうしようもないか・・・。)
 というところで、前回に続いて2000年代の韓国映画の個人的ベスト・テン。

《私ヌルボの2000年代韓国映画ベスト・テン》

①ヤン・イクチュン監督「息もできない」(2008)
②クァク・チェヨン監督「猟奇的な彼女」(2001)
③ユン・イノ監督「僕が9歳だったころ」(2004)
④イ・ヘジュン監督「彼とわたしの漂流日記」(2009)
⑤ポン・ジュノ監督「殺人の追憶」(2003)
⑥ポン・ジュノ監督「グエムル 漢江の怪物」(2006)
⑦カン・ヒョンチョル監督「過速スキャンダル」(2008)
⑧ナ・ホンジン監督「チェイサー」(2008)
⑨パク・チャヌク監督「オールドボーイ」(2003)
⑩イ・チャンドン監督「シークレット・サンシャイン」(2007)


 こう見てみると、この時期の韓国映画のレベルの高さがわかります。2010年代より明らかに上。
※下の画像(左)は「息もできない」の韓国版ポスター。原題は「똥파리(糞バエ)」。まさか、このホンマモンのチンピラでは、という風貌の男サンフンがヤン・イクチュン監督とはオドロキでした(笑)。女高生ヨニ(キム・コッピ)との出会いも印象的でしたが、何と言ってもあの夜の漢江のシーン。セリフもないのに、ワタシヌルボの目にも涙・・・。(思い出しただけで泣けてきます。) 下右は、3年ほど前、渋谷のユーロライブで偶然キム・コッピさんに会った時いただいたサインです。
 

 さて、ここまでのつもりで記事を書き始めたところが、いつのまにか次の「キネ旬」7月下旬特別号が書店に出てて、コチラは<2000年代日本映画ベスト・テン>が載ってます。
 私ヌルボ、外国映画ほどは観てないので、10本も選べるかなと過去のメモを頼りに書き上げていったら思いのほかいろいろあるではないですか。ということで、コチラもベスト・テンを作成してみました。ただし、細かい順位はつけていません。◎と○でちょっと差をつけましたが、なんとなく今ボンヤリ残っている印象だけで決めた感じです。

《私ヌルボの2000年代日本映画ベスト・テン》

○中江裕司監督「ナビィの恋」(2000)
○矢口史靖監督「ウォーターボーイズ」(2001)
◎宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」(2001)
◎中島哲也監督「下妻物語」(2004)
◎内田けんじ監督「運命じゃない人」2005)
○本広克行監督「サマータイムマシン・ブルース」(2005)
◎犬童一心監督「ジョゼと虎と魚たち」(2006)
○生野慈朗監督「手紙」(2006)
○佐藤祐市監督「キサラギ」(2007)
◎中島哲也監督「パコと魔法の絵本」(2008)


[次点]
・アン・ヨンヒ監督「ディア・ピョンヤン」(2005)
・西川美和監督「ゆれる」(2006)
・佐々部清監督「夕凪の街 桜の国」(2007)
・周防正行監督「それでもボクはやっていない」(2007)
・岩田ユキ監督「檸檬〈れもん〉のころ」(2007)
・門井肇監督「休暇」(2008)

 「キネ旬」のベスト・テンに入っているのは「千と千尋~」(8位)だけ。あとは「ゆれる」(4位)。そして「ジョゼと~」が11位、「下妻物語」(2004)といったところ。やっぱり、「キネ旬」は1位「顔」、2位「EUREKA〈ユリイカ〉」以下、ちょっとカクチョーが高そう。

 次は2010年代か。外国映画はいろいろありそう。しかし日本映画・韓国映画はどうかなー?

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