ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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定年前退職S氏のソウル・慶熙大学校10週間留学記 (15)

2015-09-27 23:54:48 | S氏の慶熙大学校10週間留学記
<ヌルボより>  S氏の留学記も今回の番外編で最後。私ヌルボが4月に行って彼に会った時、「修了式の後は何日か日程のスキマができるのでどうしようかな」とか言ってましたが、寄宿舎を出て(出ざるをえない)ヌルボが泊まっていた安ホテルに移り、そして14~15日に束草に行ったのですね。

≪ソウル留学番外編≫
◎6月14日(日)~15日(月)
 日本から来ていた2人連れの友人のガイド役が終了。カンさんと日本から来ていた彼の友だちもずいぶんと助けてくれた。明日は束草(ソクチョ)への一人旅を決めた。カンさんからは「せっかくだから江陵(カンヌン)まで行ってくれば」とか、「バスに乗るときは前の席に座り景色を眺めながら行った方がいいよ」と言われた。翌日の15日朝5時45分に起きる。なんと雨の音がする、風も強そうだ。さあ困った。ネットで天気予報を見るとソウルも束草も今日一日天気は悪そうだった。気が滅入る。中止しようかと思ったが、せっかくなので意を決して行くことにした。
 外は肌寒く、長袖が欲しいくらいだ。6時45分、宿を出て地下鉄2号線の乙支路(ウルチロ)3街駅に向かう。幸運にも小降りになった。7時20分、江辺(カンビョン)駅前にある東部バスターミナルの切符販売所でチケットを買うが、バスは7時に出た後で次は8時20分。1時間待つことになる。簡単にキンパプ(のり巻き)をコンビニで買って朝食にする。美味しくない。
 バスに乗ると、28人乗りの優等(ウドン)バスだが中はガラガラ。乗客は6人しかいない。一番前の席は空いていた。カンさんに前の席に座れといわれたのを思い出し、運転手に前の席に移っていいかと聞いたところ、「いいよ」とのことで席を移動する。天気は回復し晴れ間が出てきた。定刻通り出発。漢江の陽の光の反射を見ながらバスは高速道路に入る。予定では10時35分ごろの到着。9時半になってバスは休憩所に入り15分間の休憩。出発時間になったが1人戻ってこない。5分経っても戻らないので運転手が探しに出た。それから数分して70歳くらいのおじいさんを連れて戻ってきた。手には買い求めたと思われる2本の茹でたとうもろこしを持っていた。10分程度の遅れで出発。後ろを盛るとおじいさんはとうもろこしを美味しそう食べている。
 山景色と水田ととうもろこし畑を見ながらバスは進み、束草まであと8キロという標識を見た後少し長めのトンネルに入る。出たところは深い霧で、先ほどまで薄日が差していたのが嘘のようだ。視界は10数mくらいしかなく徐行運転。数分して市内に入ると霧は晴れていた。そんなことで束草の高速バスターミナルに着いたのは11時近かった。ターミナルの真横に観光案内所があり、さっそく今日の宿を探す。綺麗な部屋を探して欲しいというと、観光客は少ないのですぐ探してくれた。雪岳(ソラク)山にも行って見たかったので、「ロープウェイは動いているか?」と聞いたところ、「運行している」とのこと。宿はターミナルの真横だ。部屋を見てから決めようと思ったが、宿の50歳前後と思われる主人は感じが良く料金は3万5千ウォン。ルームキーを渡されて6階の部屋にゆくと大きめの部屋でなかなか綺麗な部屋だった。これなら文句はない。
 15分ほど休憩し、近くのバス停から市内バスで雪岳山のロープウェイ乗り場の終点まで行く。乗車時間は約20分。バスを待った時間は数分程度。薄日は射しているものの山はどうせガスっていると思ったが、まあしょうがない。案の定,山の上は雲がかかり、景観で有名は雪岳山も今日はだめだ。天気が悪くとも日曜日のためそれなりに観光客は多い。入山料3500ウォンを払って公園を進み、ぱっとしない食堂で昼食。ロープウェイに乗場周辺にはおしゃれな食堂がいくつかあった。ここで食べればよかったと悔やまれた。往復9000ウォンのチケットを買い乗車。チケットを買う際、「上に上がっても景色は見えないですがいいですか?」と念を押される。数分乗車して駅に着いたが、着く直前に目の前に急峻な岩が現れる。駅から整備された山道を十数分上ると権金城と呼ばれる絶景で有名なところだ。ちなみに城はない。広場のような自然の岩場があって多くの人が休憩したり更に上の方に登ったりしている。時おり霧の晴れ間から少し景観が現れるが、目の前は切り立った断崖絶壁。しかも柵はなく転落したら一巻の終わりだ。さすがに足がすくむ。あと2、30m上がると頂上だ。遠いところまで行ったが、急な岩場でロープを伝わなければいけない。霧も濃く、たいした靴をはいていないので無理することない。下山することにした。ロープウェイの乗り場まで戻ると霧はだいぶ晴れてきていて、下の乗り場が見えるようにまでなっていた。
 いったん宿に戻り、次はアバイ村を目指すことにした。3時半頃出発。海岸に近いところを30分ほど歩く。アバイ村へはケッペという人力の箱のような船に乗らなければ行くことはできないと思っていたので、小さな船着場を見つけ乗船。20mくらいの幅の運河のようなところをワイヤーロープに先の曲がった鉄の棒を引っ掛けて引っ張ると船が進む。乗客も手伝いながら2分程度で到着。アバイ村は小さな島のようなところのはずだが、ちょっと歩くとバス通りがある。おかしいと思ったら乗ったところがアバイ村だった。すぐに引き返して再度乗車。なるほど小さなところに3、40軒の食堂がひしめき合っている。ここでの名物はアバイスンデオジンオ(イカ)スンデだ。トウミからアバイスンデは大して美味しくないと聞いていたので。店の前でてんぷらを揚げているアジュンマの誘われるま店の軒先に座りオジンオスンデを注文。まあまあいける味だったが、サービスで出してくれたエビとイカのてんぷらが衣がサクサクしてとても美味しかった。
 食べていると向かいの店がやけに騒々しい。その店の隣人と思われるおばあさんが隣の店の従業員を怒鳴り散らしている。物を投げているような音もする。日ごろの鬱憤を晴らしているようだった。ひとまず収まったと思ったが、また人目を憚る様子もなく大騒ぎを始める。韓国人の感情表現のもの凄さに驚きあきれる。
 食後もう一度ケッペにのる。ここでぽつぽつと雨が降り出す。今日はもう降らないだろうと思って傘を宿に置いてきてしまった。バス通りを渡ると大きな市場があってしばし見学。乾物中心に肉、魚介類、野菜、雑貨、何でも売っている。特に地元の特産のタラコ、めんたいこが目についた。雨は強くはないが降りやまず雷鳴まで聞こえてきた。しかたなく傘を1本購入。小雨の中、海沿いを延々と歩いて埠頭をめざす。降ったり止んだりする中を4、50分ほどひたすらに歩く。埠頭の手前にカニ料理と干し魚を売る店が道路の両脇に百数十メートルは続いているところに出る。店の前の生簀に種類別に分けられていたが、どれも美味しそう。残念だが高くて量も多くとても手がでない。埠頭までたどり着き、展望台から海を眺めた。さすがに疲れた。それにしてもこの3日間歩きづめのような気がする。われながら何でこんなに元気なのか、と思いつつ市内バスに乗り、宿に着いたのは8時ごろだった。宿の名前はロコステル。けっこう大きなピンク色の宿。今は料金が安いがシーズンになるとかなり高くなるそうだ。束草はもうあまり見るところはなさそうだ。江陵にでも立ち寄りソウルに戻ることにしよう。

<ヌルボより> 昨夜(26日)、サークル関係の飲み会で、このS氏の留学記についてT兄(ヒョン)、「Sさん、悪いけど俺はアンタが行った所は全部行ったよ」とニヤニヤ。
 ヌルボが済扶島(チェブド)(→コチラ)にも行ったのかと訊くと、もうずいぶん以前に行ったらしい。ということは、世宗大王陵(英陵)とか、利川のなんとかにも行ったのかな? うーむ、なんという人だ。
 私ヌルボはT兄の足許にも及ばないものの、この束草には去年6月行ったゾ! 楊口(ヤング)とか高城(コソン)統一展望台に行った時に・・・というところで、振り返ってみると、本ブログでは旅の始まりで酒を飲んでる場面(→コチラ)と、高城展望台関係(→コチラ)しか書いてないことに気づきましたがな、ハハハ。
 そういうわけで、その時撮った写真の中で今回の≪番外編≫にも関係するものを貼っておきます。
     
 有名なケッペ(갯배)。目と鼻の先くらいの距離を結ぶ「渡し船」。・・・というか、直訳すると「犬舟」なので「ニセ舟」といった感じでしょう。舟の進行方向と反対側にロープを引っぱります。動画は→コチラ
 これも昨夜の話で、T兄がケッペを知ったのはNHKの「ぐるっと海道3万キロ」で見たのが最初とか、・・・ってヌルボと同じでないの! 今ネットで調べたら1985~88の放送。そんなに昔だったのかー・・・。
      
 ケッペを下りたすぐのところにある「秋の童話」のウンソ(ソン・ヘギョ)ジュンソ(ソン・スンホン)の像。韓国での放送は2000年9~11月だったのか。ソン・ヘギョは1982年生まれ。ふーむ。ソン・スンホンは1976年でウォンビン1977年か。みんな同じように年を取っていきます・・・。
      
 海岸には北朝鮮から越南してきたアバイ像と、ここにも「秋の童話」の説明板がアバイ(아바이)とは咸鏡道(ハムギョンド)方面の方言で「おじいさん」の意味。
      
 アバイスンデ(左)とオジンオスンデ(右)。オジンオスンデの方が美味しいかもしれませんが、アバイスンデも決して美味しくないわけではありません。チラと写っていますが、いろんな魚のゴッタ焼きも食べました。
     
 刺身は韓国でも安くはありませんが無性に食べたくて・・・。で思い出したのは、6月1日の日記で「韓国のひとは食べないらしい」と記されていた<刺身のツマ>のこと。この写真でもわかる(?)ようにダイコンじゃなくて透明です。たぶんこれのことだったんでしょうね。店の主人に訊ねると「海藻から作られ(?)、食べられる」とのことで食べてみると大根よりも硬い感じ。今調べてみると<海藻クリスタル>といって日本にちゃんとあるでないの。(→コチラ参照。)

 ・・・というわけで、15回の連載もオシマイです。S氏のおかげでヌルボもいろいろ勉強になりました。コマウォヨ!
 あと、続編みたいなもので、タンソという楽器とその楽譜についていずれ記事を書く予定です。

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