ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [1月26日(金)~1月28日(日)]

2018-01-31 23:57:05 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸今しがた、長くコリアキネマ倶楽部で韓国映画や北朝鮮映画、また関連の日本映画の上映会を続けてこられた<てじょん>こと大田雅一さんが1月29日亡くなられたことを知りました。もう20年ほど前(?)か、千石三百人劇場での韓国映画祭(?)の帰途に立ち寄った喫茶店で、同好の士と見て話しかけてこられたのが最初の出会いでした。2016年2月21日立教大学のチャペルで催された尹東柱の追悼の集いの折お見かけして言葉を交わしたのは偶然というより必然でしたね。ご冥福をお祈りします。

▸29日に観た「はじめてのおもてなし」は難民問題をテーマにしたドイツ映画ですが、コメディということで予定調和的な作りになっている分甘味が多すぎて、ちょっとリアリティが欠けているように思いました。登場人物の中で一番まともで好感が持てる人物が当の難民だし・・・。しかし、まあそういう設定だからドイツで400万人以上を動員し、2016年度のナンバーワンヒットとなったのでしょう。

▸先週の記事でドキュメンタリー「自白(자백)」のことを書きました。韓国で公開中の「1987」等も同様ですが、国家情報院による冤罪や拷問を扱った作品です。こうした中、文在寅政権は1月14日国家情報院の対共捜査機能を警察に移管しました。続いて1月23日韓国外交部(日本の外務省に相当)は朝鮮籍の在日コリアンの入国制限を緩和し、8日以内の訪韓を特別な事由のない限り認めることにしたとのこと。すでに報じられているように平昌五輪の応援には朝鮮総連から170人規模の応援団が韓国入りするとか。国情院の権限の縮小については朝鮮日報はこれに対して「国家情報院の弱体化、北の対南工作を利するものではないのか」という社説(→コチラ.日本語)を掲げました。どうも北朝鮮の工作員のために韓国政府が道路を舗装してやってるような気がします。日本でも講演等の場で顔を隠して登壇せざるをえない脱北者がいるという現実の怖さを、韓国の進歩系の人たちはどれほどわかっているのでしょうか? 寒心に堪えません。(2016年4月寧波市の北朝鮮レストランの従業員が集団脱北した事件も、国家情報院による陰謀という枠組みで洗い直されているんじゃないかな?)
    
「朝鮮日報」1月27日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

환갑 넘은 리엄 니슨의 묵직한 액션

 「トレイン・ミッション」

    還暦を越えたニースン、堂々たるアクション
   ※《週末の劇場街》で紹介






 「ワンダー・ホイール」

   丸ごとウディ印の映画 ★★★☆



 「1級機密」

   表現をもっと洗練して ☆



 「ビーバップ・ア・ルーラ」

   ご両親と観るにはよい ★★

 上記のすべての作品は以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(1月30日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) 妓生:花の告白(韓国)  9.75(4)
②(-) 劇場版 ミラキュラス・レディバグ 2  9.70(177)
③(1) ジェクスキス エイティーン(韓国)  9.69(265)
④(2) ワンダー  9.40(1,027)
⑤(3) グレイテスト・ショーマン  9.39(10,547)
⑥(-) アイ・キャン・スピーク(韓国)  9.34(13,257)
⑦(-) ビー・バップ・ア・ルーラ(韓国)  9.34(450)
⑧(10) 血の年代記(韓国)  9.30(81)
⑨(4) 1987(韓国)  9.28(26,737)
⑩(5) ゴッホ~最期の手紙~  9.19(4,836)

 ①②⑦の3作品が新登場です。
 ①「妓生:花の告白」は韓国のドキュメンタリー。20世紀初頭、文化芸術界にモダンな文化の担い手として登場し、やがて消えて行った女性たちがいました。<解語花(ヘオファ)>とも呼ばれた妓生(キーセン)たちです。妓生は外的な美しさだけでなく、演技・ダンス・楽器演奏、そして芸術の教養まで備えた文化エリートであり、伝統の継承だけでなく、新しい文化も取り入れていった先駆者でした。「彼女たちはワインを飲み、コーヒーとタバコを楽しんだ」と言われます。また「崔承姫(チェ・スンヒ)のような有名なダンサーがダンスを学びに群山まで降りてきた」という言葉があるほど、彼女たちの芸は優れていたそうです。しかし、妓生という立場は人々から歪んだ目で見られ、妓生出身ということは隠すべきこととされ、やがては妓生もその文化も忘れ去られていきました。文化財指定を前にして、そんな彼女たちの物語を綴ったドキュメンタリーです。原題は「기생 : 꽃의 고백」です。うーむ、これはちょっと興味深いぞ。
 ②「劇場版 ミラキュラス・レディバグ 2」は、元はフランスのテレビアニメ。しかし製作には韓国と日本も関わっています。シーズン1は2015年放映され、その劇場版は1年ほど前韓国でも公開されましたが、日本では未公開のままです。タイトル中の<レディバグ(ladybug)>とはテントウムシとのこと。主人公の中学生の女の子マリネッテがテントウムシ姿(?)に変身して活躍します。もう1人の主人公はマリネッテがひそかに心を寄せる級友のアドリアン。彼もまたスーパーヒーローのシャノワ(Chat Noir.黒猫)に変身しますが、2人は変身後お互いを認識できない、という設定。いやあ私ヌルボ、このアニメについては全然知りませんでしたが、→コチラのまとめ記事と、そこに貼ってある動画(→コチラ)を見て気に入りましたねー。(笑) やっぱり顔が(ヌルボ語の)<アナ雪顔>なのはちょっと気になりますけど・・・。で、この劇場版第2作もお決まりの悪役パピヨン(チョウチョ)が登場。主人公の2人がその正体を明らかにする、というお話のようです。韓国題は「극장판 레이디버그:미라클스톤의 비밀」です。
 ⑦「ビー・バップ・ア・ルーラ」は韓国のコメディ。人生は1度だけ、どうしようもない? いやいや、自分の人生を楽しむのはこれからだ!と集まったのは平均年齢70歳の4人のシニアベンチャーズ。家族のために今まで先送りしてきた各自のバケットリスト(やりたいことリスト)を実行し始めるのですが、予想を超える彼らのプロジェクトにご近所はひっくり返るほどの騒ぎに? ところで、タイトルの「ビー・バップ・ア・ルーラ」は1950年代後半ジーン・ヴィンセントが歌って大ヒットした米国のロカビリー・ソングなのですが、今知ってる人は何割くらいいるのでしょうか? (ロカビリーなんてのも、とっくに死語になってるか。) 日本でも大流行して、幼かった小生も意味不明ながら「♪ビーバッパルーラ シーズマイベイビー」と歌っていたものです。プレスリーの歌がよく聴いていたような・・・。→YouTube
 当時韓国でもたぶん日本と同様にアメリカのヒット曲がほとんどリアルタイムで入っていたので、小生と同年配のロートル韓国人にとっても懐かしいのでしょうね。あ、ロートルも死語? 韓国題は「비밥바룰라」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 牯嶺街少年殺人事件[デジタルリマスター版]  9.00(6)
②(2) ア・ゴースト・ストーリー  8.33(6)
③(4) パターソン  8.20(9)
④(5) 1987(韓国)  8.08(12)
⑤(6) リメンバー・ミー  7.83(6)
⑥(7) スター・ウォーズ/最後のジェダイ  7.71(7)
⑥(-) タンジェリン  7.71(7)
⑧(-) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑨(8) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
⑩(9) メリー・クリスマス ミスター・モ(韓国)  7.33(15)

 ⑥「タンジェリン」と⑧「共同正犯」が新登場です。
 ⑥「タンジェリン」は2015年のアメリカのコメディ。日本では2017年1月公開されましたが、そんなに話題にはならかったのでは? 韓国題は「탠저린」です。
 ⑧「共同正犯」は2009年1月20日の<龍山(ヨンサン)惨事>を扱った韓国のドキュメンタリー。<龍山惨事>とは、龍山の再開発地域で、撤去に反対する住民が占拠・籠城していた建物(漢江路の南一堂ビル)に警察特殊部隊隊員が投入された後、屋上望楼から発生した火災が主原因となって籠城者5人と警察隊員1人が死亡した事件です。その後検察側は「火炎瓶による火事と見ている」と発表しましたが強い疑念も残り、また警察が強硬手段を取ったことにも批判の声があがりました。このドキュメンタリーでは、この事件後初めて集まった受刑者たちの姿を撮っています。つまり、原因の分からない火災の中から助かったものの、仲間と警察官を殺したという罪名で有罪となった人たちです。「お久しぶり!」という挨拶もしばし、やがて彼らは互いのせいにして相手を非難する言葉を投げつけます・・・。<龍山惨事>についてのドキュメンタリーとしては2012年公開の「二つの扉(두 개의 문)がありました。(→関係過去記事) 今回の「共同正犯」と製作陣は重なっています。しかし、ある評論家の評によれば、今作は関係者の対立もそのまま撮っているように外部告発のみを追及したり犠牲者や抵抗者を神聖視したりせず、国家暴力が残した傷を確認しつつ、内部を凝視した作品とのことです。原題は「공동정범」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月26日(金)~1月28日(日) ★★★

         ねばる「神と共に-罪と罰」、1,400万人に到達

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(2)・・それだけが私の世界(韓国) ・・・・・1/17 ・・・・・・・・・672,709・・・・・・・・1,978,814 ・・・・・・・16,209・・・・・・・・・956
2(3)・・リメンバー・ミー・・・・・・・・・・・・・・1/11・・・・・・・・・483,415 ・・・・・・・・2,556,333 ・・・・・・・20,286 ・・・・・・・1,026
3(1)・・メイズ・ランナー:最期の迷宮・・1/17・・・・・・・・・361,217 ・・・・・・・・1,953,768 ・・・・・・・16,228・・・・・・・・・771
4(5)・・神と共に-罪と罰(韓国)・・・・・・・・12/20・・・・・・・・・230,200 ・・・・・・・13,948,431 ・・・・・・112,049・・・・・・・・・704
5(4)・・1987(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/27 ・・・・・・・・・186,809・・・・・・・・7,026,187 ・・・・・・・56,609・・・・・・・・・610
6(新)・・トレイン・ミッション・・・・・・・・12/27 ・・・・・・・・・150,566 ・・・・・・・・・223,184 ・・・・・・・・1,819・・・・・・・・・575
7(42)・・一級機密(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・1/24・・・・・・・・・109,181 ・・・・・・・・・164,390 ・・・・・・・・1,333・・・・・・・・・512
8(新)・・劇場版 ミラキュラス・レディバグ 2・・1/25 ・・・・・20,832 ・・・・・・・・・・26,133・・・・・・・・・・197・・・・・・・・・305
9(7)・・グレイテスト・ショーマン・・・・・12/20 ・・・・・・・・・・19,249・・・・・・・・1,319,292 ・・・・・・・10,820・・・・・・・・・121
10(新)・・ビー・バップ・ア・ルーラ(韓国)・・1/24 ・・・・・・・・・17,486 ・・・・・・・・・・34,471・・・・・・・・・・245・・・・・・・・・325
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「神と共に-罪と罰」は1月30日1,400万人に到達。この分だと韓国映画歴代2位の「国際市場で逢いましょう」(1,425万人)に届きそうです。「1987」は700万人を超えました。
 上位5作品は順位が変わっただけで顔ぶれは同じ。新登場は6・7・8・10位の4作品です。
 6位「トレイン・ミッション」は、アメリカのサスペンス&アクション。原題は「The Commuter(通勤者)」で、韓国題もそのまま「커뮤터」ですが、リーアム・ニーソンが列車テロリストたちに立ち向かう超アクションブロックバスターということで、3月30日公開の日本題は「トレイン・・・」にしたようです。キャッチコピーは「通勤時間105分。始点から終点までのリアルタイム・サスペンス!」。元刑事のマイケル(リーアム・ニーソン)は、ある日電車内で突然「終点に着くまでに、ある靴を持つ人物を電車内から探し出せ」という奇妙な脅迫を受けます。それも最愛の妻を人質に取られて。やむなく要求をのんだマイケルは、そのことによって大きな陰謀に巻き込まれていきます・・・。
 7位「一級機密」は韓国のドラマ。国防部軍需本部の航空部品購入課の課長として赴任したパク・テイク中佐(キム・サンギョン)のところに、ある日空軍の戦闘機パイロットのカン・ヨンウ大尉(チョン・イルウ)がやって来て戦闘機の部品購入業者の選定についての疑惑を提起します。テイクが部品購入書類を確認している途中、アメリカのエアスター社の部品の購入が目立っていることに気づきます。その後カン・ヨンウ大尉が戦闘機墜落事故に遭うと、それがパイロットの過失として隠蔽されようとする様子を見て、テイクは大きな衝撃を受けます。テイクは記者のキム・チョンスク(キム・オクビン)と共に軍の裏に潜む次世代戦闘機導入をめぐる疑惑に迫っていきます・・・。原題は「1급기밀」です。
 9位「劇場版 ミラキュラス・レディバグ 2」と10位「ビー・バップ・ア・ルーラ」については上述しました。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ワンダー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/27 ・・・・・・・・・・11,303 ・・・・・・・・・・226,148 ・・・・・・・・・1,754・・・・・・・・・・62
2(17)・・ワンダー・ホイール・・・・・・・・・・・・・・1/25・・・・・・・・・・・7,035 ・・・・・・・・・・・10,587・・・・・・・・・・・・85・・・・・・・・・140
3(2)・・パターソン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/21 ・・・・・・・・・・・2,003 ・・・・・・・・・・・57,081・・・・・・・・・・・468・・・・・・・・・・23
4(新)・・カノジョは嘘を愛しすぎてる(日本)・・1/24 ・・・・・・・・1,628 ・・・・・・・・・・・・3,469・・・・・・・・・・・・28・・・・・・・・・・90
5(新)・・夜明け告げるルーのうた(日本)・・1/31 ・・・・・・・・・・・・1,496 ・・・・・・・・・・・・1,760・・・・・・・・・・・・17・・・・・・・・・・・9

 2・4・5位の3作品が新登場です。
 2位「ワンダー・ホイール」は、ウディ・アレン監督の新作ドラマ。舞台はニューヨークのリゾート地コニー・アイランド。主人公のジニー(ケイト・ウィンスレット)は遊園地の技師として働くハンプティ(ジム・ベルーシ)の妻で、ウェイトレスとして働いています。その彼女が海岸の安全要員ミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)と恋に落ちます。ところが、思いもよらず疎遠になっていた娘キャロライナ(ジュノ・テンプル)が帰って来ます。そして3人の男女のすれ違いロマンスが始まります・・・。韓国題は「원더 휠」です。
 4位「カノジョは嘘を愛しすぎてる」は、(例によって)私ヌルボ、青木琴美の原作コミックも読んでなくて、この映画も観てないので、なんともコメントのしようがありません。とりあえず韓国題は「그녀는 거짓말을 너무 사랑해」です。
 5位「夜明け告げるルーのうた」も、私ヌルボ、観てません。(そんな話題にならなかった?) 韓国題は「새벽을 알리는 루의 노래」です。

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