ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[6月22金)~24日)]

2012-06-26 23:53:30 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 この記事は26日夜にupするつもりが、その直前に寝入ってしまったので大幅に(15時間以上)遅れてしまいました。しかし諸般の事情で(?)日時をごまかしてupしちゃいます。

 4月24日の記事で、映画「ドライヴ」について「女優(キャリー・マリガン)が心に残ります」と書いたら、その後「週刊文春」(先々週)で小林信彦さんが彼女のことを絶賛してましたね。ファン宣言といった方が正確かもしれませんが・・・。地味そうに見えて、意外にもてる人は(一般人にも)けっこういるものです。

 この1週間観た映画で、ゼッタイお薦めは「誰も知らない基地のこと」。米国防省によると全世界で、38ヵ国に716もの米軍基地があるが、実際にはそれ以上とのこと。人類学者のキャサリン・ラッツによれば、ほとんどの基地は戦争の戦利品というべきもので、「基地を残すことが戦争の究極の目的」なのだそうな・・・。イラク、コソボ、アルバニア、ボスニア、アフガニスタン、クルディスタン等々、近年米軍が派遣された紛争地には基地が造られ、それが恒久化される。戦争がその絶好の機会。軍隊維持のため冷戦終結後も中国、テロリスト、麻薬等々新たな敵が次々に設定される。背後には巨大な軍産複合体が・・・、ということ。ところがアメリカ国民の多くは「平和は最前線で守ってくれている人々のおかげ」と思い、兵士たちもそんな使命感を持つ。・・・私ヌルボ思うに、アメリカ映画の一大ジャンルを占めるスーパーヒーロー物も根っ子は共通してるゾ。「自分は100%正義の側にいる」という思い込みは、思想の左右を問わず、宗教の如何を問わず怖ろしいものです。

 韓国映画、ようやく「ムサン日記 白い犬」を観ました。なんともコメントの難しい作品。難しいながらも書こうとすると長くなりそうなので、思い切って今回は何も書かないことにします。少なくとも、ヌルボにとっては、全然感動はしませんでしたが、意味のある映画ではありました。

         ★★★ Daumの人気順位(6月26日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①おばあさんは1年生(韓国)  9.7(42)
②ヤコブへの手紙  9.5(23)
③語る建築家(韓国)  9.5(46)
④アンニョン、ハセヨ!(韓国)  9.5(45)
⑤第七の封印  9.4(22)
⑥二つの扉(韓国)  9.3(67)
⑦オモニ(韓国)  9.3(21)
⑧Delicacy  8.8(32)
⑨ミックマック  8.7(54)
⑩石打ち刑  8.6(28)

 今回の初登場は⑥「二つの扉」だけ。原題は「두 개의 문」。このランクおなじみの、韓国のドキュメンタリーです。その分野は、キリスト教関係、左派の立場からの社会問題関係、障碍者等の社会的弱者関係の3つに大別されるとみてよさそうですが、この作品はその2番目にあたります。
具体的には、2009年1月20日の竜山(ヨンサン)惨事を扱ったものです。竜山の再開発地域で、反対派の撤去民が立てこもった建物に警察特攻隊員が投入され、望楼から発生した火災が主原因となって撤去民5人と警察特殊部隊隊員1人が死亡した事件です。その後検察側は「火炎瓶による火事と見ている」と発表しましたが、遺家族たちの同意もなく死体剖検が強行されたこと等に対し強い疑念も残り、またこのような強硬手段を取ったことにも野党側から批判の声があがりました。そのような疑念は今も解消されず、社会的関心は薄れていません。
 この作品については、<レイバーネット>のサイト中に「金碩基(イ・ソッキ.当時ソウル地方警察庁長官)と李明博がぜひ見るべき映画」と題して、竜山惨事真相究明委のチョン・ヨンシンという人が詳しく紹介しています。それによると、この事件についてこれまで作られたドキュメンタリーが撤去民や、遺族の葬儀闘争を主なテーマとしていたのに対し、この作品は裁判に出てきた警察特殊部隊の証言や陳述調書を基礎に事件を再構成したものとのことです。
 「二つの扉」とは、このビルの屋上に上がる2つの扉のことで、片方は望楼に通じる扉、もう一方は反対の建物に通じる扉なのですが、そこに入った特殊部隊の誰もがそのことを知らず、混乱したそうです。「彼らの感じたであろう恐怖と、撤去民の恐怖は同じかもしれないという思いが、映画を見ている間ずっと胸を打った」と寄稿には書かれています。
※<レイバーネット>には、この他にも龍山惨事関係の記事が掲載されています。→コチラ。そしてコチラコチラも。
※6月25日の<OhmyNews>の記事「二つの扉 興行突風」という記事によると、「「牛の鈴音」より熱い雰囲気」で、「孫鶴圭や鄭東泳等の進歩陣営の政治家も相次いで観覧」ということです。(左派系の)<OhmyNews>の記事という点は多少割り引いてみる必要はあるかもしれませんが・・・。
※韓国在住28年の専業主婦という方のブログに「「竜山惨事」に思う」と題した惨事後まもない頃の3回続きの記事がありました。

【専門家による順位】

①第七の封印  9.0(2)
②メランコリア  8.3(6)
③The Future  8.0(1)
④二つの扉(韓国)  7.8(5)
⑤アベンジャーズ  7.7(7)
⑥よその国で(韓国)7.6(6)
⑦レッドマリア(韓国)  7.5(2)
⑧アルマジロ  7.3(3)
⑨プロメテウス  7.2(9)
⑩建築学概論(韓国)  7.1(6)

 新登場は④だけ。上述しました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月22日(金)~24日(日)] ★★★

         「ミスGO」が初登場1位。「私の妻のすべて」は400万人を突破!

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ミスGO(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・268,768 ・・・・・・・・・・331,660 ・・・・・・・・・2,464・・・・・・・439
2(1)・・後宮:帝王の妾(韓国) ・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・・・・・224,477・・・・・・・・・2,187,962 ・・・・・・・・16,142・・・・・・・429
3(2)・・マダガスカル3・・・・・・・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・・・・・219,371・・・・・・・・・1,275,524 ・・・・・・・・10,034・・・・・・・449
4(26)・・ごますりの王(韓国) ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・・・213,947 ・・・・・・・・・・270,610 ・・・・・・・・・1,936・・・・・・・426
5(3)・・私の妻のすべて(韓国)・・・・・・・・・5/17・・・・・・・・・・・・・・179,441・・・・・・・・・4,144,281 ・・・・・・・・30,987・・・・・・・327
6(4)・・ロックアウト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/14・・・・・・・・・・・・・・・87,591 ・・・・・・・・・・411,818 ・・・・・・・・・3,021・・・・・・・284
7(5)・・チャ刑事(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・・・・・81,855・・・・・・・・・1,258,871 ・・・・・・・・・9,146・・・・・・・226
8(6)・・メン・イン・ブラック3 ・・・・・・・・・・・・5/24・・・・・・・・・・・・・・・60,485・・・・・・・・・3,346,713 ・・・・・・・・27,067・・・・・・・222
9(7)・・プロメテウス・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/06・・・・・・・・・・・・・・・58,763・・・・・・・・・・・929,919 ・・・・・・・・・8,273・・・・・・・211
10(新)・・フェイシズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・・・・41,091・・・・・・・・・・・・53,123 ・・・・・・・・・・・404・・・・・・・173
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 初登場は1・4・10位の3作品。しかし1~4位が20万人台とは、ドングリ同士で競り合っているという感じですね。
 1位「ミスGO」はコ・ヒョンジョン主演のアクション・コメディー。対人恐怖症に悩む小心な女性が偶然500億ウォンがかかった犯罪組織の事件に巻き込まれ、その過程で個性豊かな5人の男に出会ってなんと犯罪の女王に生まれ変わるんですと!
 4位「ごますりの王」もコメディ。私ヌルボ、原題の「아부의 왕」の「아부(アブ)」という単語がわからず。「阿附」という漢字語で、「へつらい、おべっか、追従」と辞書にありました。まあ今なら「ごますり」がいちばんわかりやすいとこでしょうか? ポスター(下参照)なんか、いかにもですね。中身はというと、機転が利かずセンスもよくない男が、「感性営業の定石」という本まで出したごますりの名人にワザを伝授してもらって人生が変わっていく・・・。具体的には今ひとつわからんゾ。
 10位「フェイシズ」は、日本ではすでに5月12日公開されています。韓国題は「페이스 블라인드」。ペイス・プルラインドゥか、日本題同様よくわからん。

         
   【「ごますり王」のポスター。この手つきは日韓共通のようです。もしかして世界共通?】

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・Delicacy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/14 ・・・・・・・・・・・・・・・4,324 ・・・・・・・・・・・・・14,517 ・・・・・・・111・・・・・・・・・・23
2(42)・・二つの扉(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・3,753 ・・・・・・・・・・・・・・5,852 ・・・・・・・・42・・・・・・・・・・16
3(2)・・よその国で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・5/31 ・・・・・・・・・・・・・・・2,028 ・・・・・・・・・・・・・26,688 ・・・・・・・206・・・・・・・・・・18
4(新)・・哀愁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1940年・・・・・・・・・・・・・・・・1,723 ・・・・・・・・・・・・・・3,174・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・・・1
5(新)・・星空・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/05・・・・・・・・・・・・・・・・・・345 ・・・・・・・・・・・・・・4,355・・・・・・・・・32・・・・・・・・・・・1

 初登場は2・4・5位の3作品。
 2位「二つの扉」は前述しました。
 4位「哀愁(애수)は往年の名作。江陵独立映画劇場신영(新映?)という映画館で上映してるようですよ。他の上映作品を見るとなかなか魅力的なラインナップ! 1度行ってみたいなー。
 5位「星空」は、今年(2012年)3月に開かれた第7回大阪アジアン映画祭に特別招待作品として上映された台湾映画。韓国題は「별이 빛나는 밤(星が輝く夜)」。孤独な少女が、同じような男子転校生と出会い、星空を一緒に見るため家出する・・・。大人になって、人生で最も輝かしかった瞬間の記憶についての映画、だそうです。7月アメリカで公開されるそうですが、日本公開はどうかなー?

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