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韓国の児童書「宿題株式会社」を読む

2010-09-10 12:33:29 | 韓国の小学生~高校生向き小説・物語
       

 1ヵ月前に川崎市立図書館で借りた児童書キム・チャファン著「宿題株式会社(숙제주식회사)」を読了しました。
 1996年刊行で、今は絶版になっている本です。
 たまたま図書館で何か読みやすそうな本を、と物色し、韓国の夏休みはどんな感じかな?と思って選びました。

 読んでみると、現実の学校の話ではなく、少し理想化された架空の<日光子ども学校(햇빛아린이학교)>が舞台。その学校の守衛さん(実は元社長の学校設立者)が校長先生(実は元社長秘書)に提案して、学校の基本計画を子どもたちの意志に任せることにします。
 そしてさっそく提起されたのが「夏休みの期間をどうするか?」。子どもたちが話し合って決めた結論は「明日から3ヵ月間」。期間だけでなく、「20日間どこかに旅行する」等々その間の生活についても自分たちで決めます。

 「宿題株式会社」というと、古田足日の「宿題ひきうけ株式会社」を思い浮かべる人も多いかも・・・。1966年以来のロングセラーです。こちらは当時のいろんな社会問題が盛り込まれていますが、「宿題株式会社」は実社会の問題は出てきません。しかし、子どもたちがしっかりしている点は共通しています。物事をよく考えるし、自分の意見もしっかり述べるし。かったるそうな雰囲気はありません。(近頃の日本の子どもたちはどうなんだろう? ・・・と思ってアマゾンを見ると案の定「無気力な子たちとの戦いに疲れています」という先生のレビューがあったりして・・・。)

 「宿題株式会社」の主人公は6年生の子どもたち。夏休みに入って、宿題に苦労する(主に)下級生のために、各教科の担当者を決めて手伝ってあげるというもので、丸ごと代行するわけではありません。悩みごと相談担当の女の子もいます。

 ・・・理想的ですねー。子どもたちの自主性尊重が、という点だけでなく、子どもたちが信頼に応えて考え、話し合い、行動するということまで含めて。
たとえば6年生のいじめっ子が脅しをかけて自分の宿題を全部やらせようとします。家庭的に恵まれず愛に飢えている少年ですが、(いろいろあって)結局は友だちの仲間入り。
 最後は男子4人女子5人+先生2人で南海への旅行。暴風雨からテントを守りぬいたり、いろんな試練を経て精神的にも成長し、友情の絆が結ばれていく・・・。

 作者のキム・チャファンさんは2008年57歳で亡くなったそうです。あるサイトによると
自由な生活を愛した、麗水の代表的な作家であり教育者だったとのこと。
 韓国の子どもの多くは、ストレスが溜まるほど勉強に追われているとか・・・。この本はそんな現実に対して作者が「こうだったらいいな」という思いを作品化したものということでしょうか。

[韓国語の勉強]
샅바 =韓国相撲(씨름)で腰と右の太ももに締めるまわし。
용(을) 쓰다. =力を込める。(용は勇)
③あれ?と思ったのが、
작전을 쓰는 수밖에 없어.(作戦を用いるしかない。)
우리들의 힘으로 쓰는 수밖에 없어.(われわれの力で解決するしかない。)
 ・・・「쓸 수밖에」、「할 수밖에」のように未来連体形になるとは限らないんですねー。どういうふうに違うのか、今ひとつよくわかりません。
コメント (3)
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