ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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ゼッタイお薦め! 「妻が結婚した」 軽くて深い、ラブ・コメディ(かな?)

2009-10-01 22:08:06 | 韓国映画(&その他の映画)
         
 韓国映画「妻が結婚した」は、予測を良い方に裏切る快作でした!
 今年、今まで40本ほど観た中でベスト3に確実に入ります。

 原作は、パク・ヒョヌクの小説。なぜか「もうひとり夫がほしい」(新潮社)という邦題で訳本が出てます。(訳者はあの蓮池薫さん) 原題の方がずっといいのに。読んでないですけど・・・。

 内容は、およそ映画&本の邦題から見当がつく通り。
 趣味が合って(熱狂的なサッカーファン)、肉体的にも魅力的で、やっとのことで結婚にこぎつけたのに、ある時その奥さんが言うわけです。「好きな人ができたの、その人とも結婚したいの」。夫として認められるはずはないのに、事態は認めなくない方へどんどん進行していって・・・。

 私ヌルボは原作も読んでないし、これだけの情報しか知らなかったから、もっとドロドロ、グチャグチャした重たい話なんだろうなー、と何となく思っていました。

 ところが、冒頭に「予測を良い方に裏切る快作」と記したのは、逆にとても軽い描き方をしていて、何度も場内で小さな笑いが聞かれるほどでした。
 たぶん、そんな<現代的>で<都会的>な感覚が小説も映画もヒットした大きな要素だったのでしょう。
 たしかに、<既存の結婚観をひっくり返す異色のラブ・コメディ>と宣伝文句にもありました。
 音楽もそんな描き方にマッチした、ノリのいいものでした。
 これがこの映画の魅力その1です。

 魅力その2は、セリフのおもしろさです。
 先に「とても軽い描き方をしていて」と記しましたが、テーマの捉え方等は決して軽々しくはありません。むしろセリフ(独白も含めて)はなかなか深いものがあります。
 それも決して深刻な言葉ではなく、妻と親しくなったきっかけがサッカーということで、とくにサッカーに関する気の利いた事例や警句等が多出します。自分ともう一人の<夫>を翻弄される妻は<2トップ制>を指揮する監督に例えられるとか・・・。
 ここらへんのセリフのおもしろさは、おそらく原作本に拠るものでしょう。

 魅力その3は、ヒロインを演じるソン・イェジンの魅力ですね、やっぱり。
 「ラブストーリー」で、いかにも純愛映画らしい初々しさ一杯で、韓国俳優の顔も名前もなかなか覚えられないヌルボにも印象に残っているソン・イェジン。
 当時(たぶん)20歳だった彼女も、その後6年ほどの間に順調に(!)成長して、今回は「清純派女優として活躍してきたソン・イェジンの大胆な演技も見所」と書かれるようになりました。
 たしかに、さるサイトにあるように「過激な台詞と官能的なショットにも驚かされた」という反応がフツーだろうとは思いますが、それでも初々しい魅力は変わってませんからねー。まあ、でなけりゃ2人の男性を夢中にさせられないということですけどね。

 原作小説と、その映画化作品を比べると、映画の方が優っている例はせいぜい2割程度だと思います。あの「風と共に去りぬ」とか戦車競走で有名な「ベン・ハー」でも・・・。<映画の勝ち>は「2001年宇宙の旅」くらいしかすぐには思いつきません。
 しかし、この「妻が結婚した」は、未読の原作と十分に戦えるレベルに達していると思われます。

 このブログの8月29日の記事で、ヌルボは「グッド、バッド、ウィアード」を推奨しましたが、ソチラを10点満点で7.5とすると、コチラは9.0をつけます。

※こんないい映画を、首都圏では新宿バルト9しかやっていないとは・・・・(嘆)
 蛇足ですが、先週の「週刊文春」(9月24日号)で<おすすめシネコン・ベスト10>という記事を載せていて、その第1位が新宿バルト9だったんですよ。ヌルボとしては大いに異議あり! 早めに行っても座る所がないのは大減点。空間的な広さも、ここを上回るシネコンはいくつもあります。映画館だけでなく+αも考えると、川崎チネチッタは入れないわけにはいかんでしょ?(10位までにも入ってなかったが・・・)

※話の筋とは全然関係ありませんが、ポカリスエットが目立つシーンがありました。あれは意図的? ソン・イェジンは韓国ポカリのCMをやってました。今もやってるのかな?
コメント
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