ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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ビミョーな映画 「地球を守れ!」

2009-10-12 22:28:50 | 韓国映画(&その他の映画)
       

 九州に行く新幹線の車中で、気になっていた韓国映画のDVD1本を一気に観ることができました。
 その映画は「地球を守れ!」。

 私ヌルボ、めぼしい韓国映画はきっちり情報を仕入れて、ほとんどは映画館で観てるつもりですが、なんとなく観ないままになってるのもあるし(「シルミド」とか「華麗なる休暇」とか・・・)、そう多くはないですが、何年も前に作られた映画で「えっ、そんな注目作があったの!?」と気がつく作品もあります。
 「地球を守れ!」は後者で、韓国映画関係のサイトをいろいろ見ていると、けっこう高い評価を得ている作品中にこの映画が多くあげられているではありませんか。
韓国では興行的にはそれほど成功した映画ではなかったものの、映画祭やDVD等を通してファンたちが急増したとのことです。
 レンタルでも出てなかったのですが、過日たまたまアマゾンにあったので購入したというわけです。

 それで、観た感想なんですが・・・。
 他のサイトでも書かれていたのですが、「喜劇かと思っていたらそうじゃなかった」。
 ヌルボも同様です。
 いや、観る人によってはやっぱり喜劇なのかも・・・。
 また、SFなのか、リアルなのか、も判然としません。

 で、ヌルボの感想もはっきりしません。名作なのか駄作なのか?!

 物語は、度重なる不幸(社会的抑圧)に見舞われた青年が、「地球を侵略しつつあるエイリアン(韓国語では外界人)をやっつけて地球を守る!」と叫んで、エイリアン(といっても実は自分を不幸にした人たち)を倒してゆく・・・、というもの。

 主人公本人は真剣なんだけど、その訴える内容は、人々に受け入れられるどころか、はっきり言って精神が病んでしまっているとしか見られないのは当然で、たぶん観客の多くもそう見るでしょう。
 その主人公の真剣さと、この映画自体のマジメさがダブる感じですねー。作品自体のマジメさは頭では理解できるものの、共感するのはむずかしい、ってとこですかねー。
 もうちょっとユトリというか、アソビというか、そんな要素があればよかったんだけどなー・・・・。
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小倉・松本清張・朝鮮

2009-10-12 21:25:36 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 10・11日と仕事で宮崎市へ。飛行機はキライなのでJRではるばる行きましたよ。
 いやー、宮崎は遠いです! って、首都圏からの話。しかし新幹線で、小倉で乗り換えてからも約5時間ですからねー。大分でリレー特急を乗り継いでからもぬわんと3時間!
 以前鹿児島に行った時に、<独立国>めいた雰囲気を感じたのですが、宮崎も<隠れた独立国>のような趣がありますね・・・。って、別に宮崎の人が<隠れ住んでる意識>があるわけじゃぜーんぜんないんですけどね。

 で、宮崎を午後2時頃発つと、もうその日のうちに帰宅するのはムリ。ということで小倉に泊って半日市内巡り。あ、区内めぐりか。

 小倉といえば、無法松もありますが、今年は何と言っても生誕100年の松本清張ですね!
※今年生誕100年の作家といえば、他に大岡昇平・埴谷雄高・中島敦・太宰治。すごいなー、太宰以外は・・・。

 ・・・・ということで、行ってきましたよ、松本清張記念館へ。

 感想はというと、ただ「すごいなー」の一言です。もちろん記念館がじゃなくて、松本清張その人が、ですよ。生涯の著作が約1000冊。推理小説から歴史小説、評伝、邪馬台国をはじめとする古代史関係、昭和史関係ノンフィクション等々の多岐にわたるその幅広さと深さはフツーじゃないです。

 彼の<城>=書斎・書庫を東京の高井戸からそのまま移してガラス越しに見られるようになっていますが、いやあ、<汗牛充棟>とはまさにこのことですねー、立体迷路のような書庫に本がギッシリ!
 それも<密度>がハンパじゃないです。ヌルボの部屋のようなゴミ・ガラクタ・雑本のような<混じりモノ>の比率ばかり高い<物理的密度>じゃなくて、書物の<質的密度>です。古今東西の実に多方面にわたる専門書や資料が大半で、古書ファンならヨダレタラタラでしょう。版本も相当数ありました。
 たまたま目にとまった金廷鶴「韓国の考古学」という本はなぜか2冊あったりして・・・・。

 本の執筆だけでも大変なのに(口述筆記とはいえ・・・)、この膨大な資料を必要な部分に限っても読む時間があったとはオドロキというか、フシギというか・・・・。

 ここから本題です。
 テーマは「松本清張と朝鮮」。
 数多い彼の著作中、朝鮮に関わるものといえば、私ヌルボがまず思い浮かぶ作品は「北の詩人」。
 戦前プロレタリア詩人として活躍していた林和(イムファまたはリムファ)のことを初めて知りました。
※戦後<脱北>した林和のことや「北の詩人」の問題点、中野重治の有名な詩「雨の降る品川駅」に呼応する林和の詩「雨傘さす横浜の埠頭」のこと等々、関連ネタいろいろありますが、例のごとくまた今度・・・。

 また「黒地の絵」という小説もありますね。朝鮮戦争当時、戦死した米兵の死体処理を行っていたジョウノ・キャンプのあった小倉での事件を描いた作品。これもずいぶん前に読みましたが、舞台がまさに小倉だったんですねー。まるっきり記憶に残ってなかったです、はい。(汗&笑)

    ★★★ 松本清張は朝鮮・全羅北道で終戦を迎えた ★★★

 記念館で清張の年譜を見てて、「えーっ、そうだったの!」と驚いたのが、清張が1944年34歳で二等兵として陸軍に配属され、送られた先が朝鮮だったんですね。
 同年7月から京城の竜山で衛生兵として勤務し、1945年5月からは全羅北道の井邑(チョンユ)という所に移る。空襲もない平穏な田園地帯で約3ヵ月間を過ごし、そこで終戦を迎えたとか・・・。
※記念館で出した特別展パンフレット「松本清張の軍隊時代 朝鮮の風景」に載っている写真によると、竜山の当時の兵舎は今もそのままの外観で米軍施設として使われているのですね。

 以前すごく感動して読んだ清張自身による「半生の記」にその頃の思い出など書かれていたのですが、これまたすっかり忘れてしまっていました。

※上記のパンフレットに当時の京城の市街の写真が載せられています。(多くは「別冊1億人の昭和史 日本植民地史1朝鮮」より) 竜山地区と京城市街地は路面電車で結ばれていた。日本人街の本町通り(現在の乙支路)はソフト帽の男性や和服姿の女性でにぎわっている。

 当時の地図と照らし合わせてみると、先月行った戦争紀念館は当時兵営のあった所。その向かい(南側)の韓国国防部の位置に当時は師団司令部があった。

 上記パンフレットによると、彼の軍隊体験を反映した作品で、現在入手できる本として以下のものがあげられていました。

「赤いくじ」・・・『或る「小倉日記」伝』(新潮文庫)・『松本清張全集35』(文春文庫)
「市長死す」・・・『遠くからの声』(講談社文庫)・『青春の彷徨』(カッパノベルズ)
「厭戦」・・・『空白の意匠』(カッパノベルズ)・『松本清張全集38』(文春文庫)
「繁盛するメス」・・・『失踪の果て』(角川文庫)
「百済の章」「走路」・・・『絢爛たる流離』(文春文庫)・『松本清張全集2』(文春文庫)
「半生の記」・・・『半生の記』(新潮文庫)・『松本清張全集34』
「遠い接近」・・・『遠い接近』(文春文庫)・『松本清張全集39』(文春文庫)

 うーむ、読んだのは3冊、それも記憶はナシ。ということで、これからボチボチ読み始めることにします。「遠い接近」なんておもしろいかも・・・。
コメント (1)
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