大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第23回

2011年02月21日 14時25分36秒 | 小説
僕と僕の母様 第23回


この 名前を言った事で 入部が決定したようなものだ。

僕のバカ、順平のバカ! 

そうなんです 僕はブラスバンド部に入ってしまったんです。 それも今年の三年生が引退すると 部員の数の減りが目立ってしまうほど少人数の 明日か、来年かいつ潰れるか分からないようなクラブです。

順平のうな垂れた後姿の事なんて もうその時には頭から消えていた。

その日は結局 部員のパートとか 学年や名前、趣味などの自己紹介を聞かされてから開放してもらったが 今度から練習に参加しなくてはならなくなった。

家に帰って 母様に理由の説明が面倒くさいから

「何がどうなってか分からないけど ブラバンに入る事になった。」 と報告した。

いつもの母様なら 誰とどうして等と必ず理由を聞くのに「何がどうなってか分からない」 と言う僕のごまかしを 全然突っ込むことなく

「きゃー いいじゃない 高校生になったんだから クラブに入らなくちゃね、うれしいね」 と満面の笑みだ。
  
確かに僕が小学校から中学校に上がるときに「中学校に入ったら ブラスバンド部に入りたい」 と言っていた。

でも 実際は中学校にはブラスバンド部がなくて 入る事を断念したのだが 母様がそれを覚えていたのかどうかは 定かではない。 でも僕がピアノを辞めたいと言った時には 相当なショックがあったようで

「お母さんは 陵也にピアノをずっと続けてほしいと思ってるし、それ以外の楽器も 経験してほしいと思ってる。 出来るだけ音楽に毎日触れていてほしいと思うけど それより一生に一度しかない高校生活を 自分の思うように楽しむ事のほうが大切だからね、それにもう一度ピアノがやりたいと思えば その時にまた始めればいいことだもんね」 と無理矢理 母様自身に言い聞かすかのように いつもの元気無くそう言っていた。

本当は時間的に厳しくなって辞めたのではない 普通に授業が終わって すぐに帰ってくればちゃんと間に合うんだ。

でも 駅周辺にある商店街なんかで遊んでいると 時間なんかすぐに経ってしまう。 そんな事のほうがその時の僕にとっては ピアノより何より楽しかったんだ。

それに そんなにピアノを習っていたいとも思わなかったし、どちらかと言えば 何かきっかけがあれば辞めたいと思っていたほどだ。

だから その時母様に嘘をついて 学校が終わってから行くと レッスンの時間がギリギリ遅刻になってしまうから辞めたいと言った事に あまり罪悪は感じていなかったが、今この母様の喜ぶ顔を見たら あの時はすごく悲しかったのかなと その時のシーンを鮮明に思い出した。

それを思うと 明日からブラバン部員になろうと したくもない決心をした。

でも結局 こういう形になったということは もしかしたら母様は 夜な夜な黒魔術でもしていて 母様の思うように 僕のこの先は転がされて行くのだろうかと ふと考えたりもしたが そんなことが出来る母様じゃないし 実際にそんな事は無いだろう。 

イヤ、それより思い出した。 事の発端は順平だった。



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