「オペラ座の怪人」、「ノートルダム・ド・パリ」など、華やかな劇場や荘厳な教会のバックヤードには、美しさや神聖さとは対象的な闇の世界がある、と、いうのは、とてもカトリック的な発想でもあり、そうした環境に育った人々が生み出す光と闇の対称性を題材にした芸術作品は多種多様にあります。
先日、国立能楽堂のバックヤードを隈なく静々と歩き回り、陰の気と陽の気がどんなものか佇んでみましたが、ヨーロッパで感じる光と影の体感は得ませんでした。
自然界に含まれる肉体と精神は、既に何かに含まれているような感覚で、境界線があるとしたら見所と舞台の結界がそれにあたるかな、と感じました。
つまり、「人の体内に宿る陰と陽」を自分自身がコントロールしたり翻弄されたりするのであって、環境が整えられていれば、それを活かすも殺すも自分自身だ、という、空気感をまざまざと感じさせられたのです。
自分の中にある光と影は、対極的なものであるわけですが、自分の中にある陰と陽は、対極でありながらも常に廻り続けているものであることを自分の中で証明したような体感を得ました。
「含まれる」「廻る」そして対極の間には必ず「即ち」という言葉が入ることが日本人のアイデンティティを語る上で不可欠であることを証明できるのが能であるようにも思います。
翁になり、鬼になり、里女になり、武者にもなり、それらを自らが廻ることで一人の人間に在る「陰即陽」を表現できるのが能の面白さでもあり、取り憑かれてゆく要因にもなるのだと、ひとり頷いております。
私自身、カトリックというフィールドに実際立つことで「空論」を体感で納得することを目指していることが薄々感じては居ましたが、自分の中に在る空を求める欲求が能に投影されている事を改めて気付かされています。
自分とは何者か? 結局は、こういうことを考えて居たい私なのです。フィールドに立ちながら、ね。
立たねば解らん。立たねば感じぬ。然り。
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自分の中にある光と影は、対極的なものであるわけですが、自分の中にある陰と陽は、対極でありながらも常に廻り続けているものであることを自分の中で証明したような体感を得ました。
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私自身、カトリックというフィールドに実際立つことで「空論」を体感で納得することを目指していることが薄々感じては居ましたが、自分の中に在る空を求める欲求が能に投影されている事を改めて気付かされています。
自分とは何者か? 結局は、こういうことを考えて居たい私なのです。フィールドに立ちながら、ね。
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