歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

『珈琲屋の人々』最終回 ⑤ ささやかな幸福?・・・ラストはこの世とあの世を結ぶ桜の木の下で結ばれる?

2020年07月05日 | テレビの話し

前回の続きで、最終回です。

予定どうりのと云うか、安心の結末と云うか、すべては、落ち着くところに落ち着いて、ヨカッタ、ヨカッタで、目出度し、目出度しでした。

でも、私としては、ハッピーエンドではなく、いろいろ異なる解釈ができるような、そんな終わり方が・・・・・・。 

と云う思いもあって、更新が遅れてしまいました。

兎に角、いろいろあって、それなりに楽しめました。何といっても、舞台が、背景が、東京は、荒川区で、三ノ輪橋でヨカッタのです。都電荒川線がヨカッタのです。

都電の走る町に暮らす人々がヨカッタのです。まあ、こちらの勝手な思い込みですが、下町感、取り残され感、寂れ感、うらぶれ感・・・、これらがドラマの味付けとなっています。

それに不器用な宗田行介を演じる、不器用な高橋克典の演技と、不幸な柏木冬子を演じる、不幸女優の木村多江のキャスティングがヨカッタ。

それで、自分で誘っておいて、デートをすっぽかした行介。やっぱり気持ちの整理がつかないのです。何たって、殺した相手の奥さんですから、被害者と加害者です。

赦されたとしても、愛してはいけない、愛し合ってはいけないのです。

それにしても、このスケートリンクは何処?気になる!

楽しみにしていたデート、現れなかった行介。章枝に

『あの人の気持ちは良く分かったから、もう、珈琲屋さんには行きません』

『あなたも女の子なのね』

『もう、いいんですから、からかわないでください』

章枝は病院を抜け出し、都電に乗り三ノ輪橋商店街に向かう。

冬子から話に聞いていた、珈琲屋に集う人々の様子を見て回り、一言コメント。

主人がキャバクラ嬢と「浮気」した花屋。

『懐の深~い妻 久子さん』

クリーニング屋では、

『お弁当屋さんに「恋」をした直道さん。元子さん、こちらも辛抱強くよく耐えたわね』

旦那の直道さんは、浮気では無く、本気の恋なのです。この夫婦は奥さんが悪い!旦那に同情します。元の鞘に収まらない方が、私としては・・・。

それに引き換え、花屋の主人は「若いからだ」を目的とした「浮気」ですが、まあ、もっと、上手く、こっそりと・・・やるべきでした。浮気相手を店で働かしてはいけません。

そして、そして、目的の珈琲屋。

店内には英治。そして、キャバクラを辞めた千果。

病院を抜け出した章枝を追って冬子が来る。章枝は「もう行かない」と行った冬子に、行介と合わせる為の機会をつくったのです。

章枝は、

『思いどおりに生きてきたわ。だから一つも悔いはない。だけど、それでも、もしかしたら別の人生があったんじゃないか、何て思うこともあるの。ひとりは気楽。だけど・・・寂しいわ』

『若い頃の私に云ってやりたくなる事があるの・・・ もうちょっと可愛くなりなさいって』

と云って、冬子に、そして、行介に、語りかけているのです。

そして、居酒屋の女将木綿子のDV騒動に巻き込まれる冬子と行介。この話の展開は、かなり無理があります。壇蜜と云うキャスティングもよくない。

木綿子を心配する行介の言葉に冬子は、

『私は。私のことは・・・。私はどうすればいいのでしょう』

『柏木さん・・・あなたの事はいつも幸せを願っています』

『わたしは、あなたのご主人だったひとを・・・』

『それは・・・わたしのなかでは終わった事です』

『毎日コーヒーを淹れて、それをいろんな人が飲みに来てくれて、おいそうに・・・楽しそうに笑ってくれて、友達がいて、ボクシングもあって、ささやかですが、これが幸せかなって。私はじゅうぶん幸せです』

家に戻り冬子は、行介への思いを手紙に綴るのです。

木綿子のDV騒動で重傷を負い生死を彷徨います。そのさなか、章枝から冬子の手紙を受け取る行介。

『ささやかだけれど、いまが幸せだと聞いて、私はスゴくうれしかった。・・・あなたと、私をつなぐものは、あなたを苦しめている過去でした。それは永遠に消えるものではありません。でも、どうしてか、あなたを思うたびに私には笑みが浮かぶのです。コーヒー豆を挽く音、ベルの音、あたたかな空気、そこには、いつも、あなたがいる。それが、わたしにとっての幸せなのです。だけど、一緒にスケートに行きたかった。正直がっかりしました。あなたの幸せの中に私もいられたらいいなって。あなたをもっと知りたいって・・・。いつのまにか思っている自分がいます・・・』これは、とても、とても、素敵なラブレターです。私も貰ってみたい。

冬子の素直な気持ちを知り、行介も、素直に冬子への思いを解き放つのです。

行介の呼びかけに意識をとりもどす冬子。このとき初めて、柏木さん!ではなく、冬子さん!と呼びかけます。

行介の「冬子さん!」は冬子に届いたのです。意識を取り戻すのです。

そして、ラストシーン。

花びらが散り始めるカットから、別々の方向から歩いて来て、桜の木の下で出会う。二人の関係性を表現しています。別々に暮らし、時々は二人で・・・。

わたしとしては、冬子の生死を明らかにするシーンは入れず、そこは見る人の解釈に任せる。ラストシーンは、冬子の消えてゆく意識のなかを描いた心象風景?として・・・。

ラストシーンで、観る人に、疑問を残しつつ、余韻を残しつつ、ENDマーク。

桜は、古来より、あの世と、この世を、結ぶ華?柳田国男もそんな事を、云っていたような、いなかったような・・・。

まあ、それなりに、ドラマの中に入り込めて、それなりに面白い大人のドラマでした。

本日(5日)4時半から再放送があります。

 

それでは、また。

 


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2 コメント

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Unknown (さかいのぶよし)
2020-07-06 08:45:01
登場人物は小池百合子都知事に投票する。人間、隣、近所のしがらみで。政治は廃れても芸能は健全。職業芸能人は稽古、鍛練していれば、民衆は感嘆。あの世とこの世。始めがあれば終わりがある。輪廻転生。復活、蘇る。80までは、お互いにブログの交流をよろしくお願いいたします。
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Unknown (鎌倉霊園正門前太刀洗)
2020-07-23 12:54:21
珈琲屋の人々は、次からはTBSで「火曜ドラマ珈琲屋の人々」として放送するそうですが、TBSの火曜ドラマでの珈琲屋の人々はリメイク版のため、納得がいかない点があります。吉行和子さんがかとうかず子さんに、小林稔侍さんが國村隼さんに、東根作寿英さんが松嶋亮太さんになっていることと、さらに舞台が東京の南千住・三ノ輪橋から横浜に変更されるため、登場する電車とロケ地が洪福寺松原商店街の場合は相鉄線・横須賀線・東海道線に、イセザキモールの場合は京急線と根岸線に、横浜橋商店街か弘明寺商店街の場合は京急線に変更されるためです(高橋克典さん、木村多江さん、倉科カナさん、八嶋智人さん、壇蜜さん、美山加恋さん、山谷花純さんはTBSリメイク版もそのまま続投する)。もう吉行和子さんも小林稔侍さんも高齢化のせいで演じる意味もなくなってしまったことと、東根作寿英さんも未満警察で立て続けに暴力をふるってしまったとかでそぐわない・ふさわしくないことと、作中にたびたび登場した都電の7000形電車も廃車もしくは引退してしまったとかで都電の表情も雰囲気も大きく変わってしまったからです。
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