市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

母の声衰へたりと聞きながらあと何度会ふこの世のえにしか

2021-11-02 20:13:00 | Weblog

 母からの電話に。
 施設に入ってからコロナのためにほとんど面会できない。最近やや緩和されたから、いずれ事態は変わるだろう。それにしても、急激に老いこんだ声音に驚く。


 さて。

 昨日今日読んだ本2冊。

 


 赤染衛門作と伝えられる「栄花物語」を題材にした平安宮廷の権力構造分析。面白く読んだが、やはり原典の「栄花物語」を読み終えてから、こうした学術に入った方がいいと思った。「栄花物語」を私はまだ通読していない。
 紫式部が見た宮廷風景と、赤染衛門の構成した物語との比較に興味がある。同時代の才女2人、「紫式部日記」と「栄花物語」は、どちらも半ば公的な記録だが、その構図にはきっと大きな違いがあるはずだ。

 

 
「仮想集団」は今日読み終えた。いまさらながら、山﨑豊子さんは、まったくすばらしい作家だ。読後の満足感がいつも嬉しい。
 心理描写や情景描写、キャラクターの書き分け、語り始めと終末を呼応させてひっくり返す決め技に驚く。
 文体も美しい。こちらの感性に潤いをくれる、新鮮で美しい叙述がいたるところに散りばめられている。
 例えば、勤音のミュージカルスターに抜擢された辻亜矢子が、主人公の流郷に向かってささやく、
「私、不良が好き。身体中にステンドグラスの破片みたいなキラキラしたものをくっつけてる。。。」
 
 こんなレトリックは、まるで三島由紀夫のようだ。

 面白い本のおかげで、毎日が豊かだ。

 感謝。

 


 
 



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